人事として25年以上の経験を持ち、様々な外資系企業で人事本部長等を歴任されたグローバル人材プロデューサー鈴木美香子氏に、日本におけるグローバル化についてお話を伺って参りました。
本日はよろしくお願いいたします。
ミッキーさんは今までのキャリアを通じて10,000人以上の候補者と面接してこられたとのことですが、良い候補者が持っている共通の素質は何かありましたか?
これまでの採用面接を通じて、候補者について多くのことを学ぶことが出来ました。例えば、面接では候補者のこれまでの職業経験だけでなく、彼らの価値や性格、コミュニケーションスタイルについても知ることが出来ます。
基準は職種によって異なりますが、私が候補者にインタビューする際には常に4つの重要な素質を持っているかを見るようにしています。
インタビュー時にチェックする4つの要素
4つの素質とは何ですか?
最初は候補者の実績です。一流の候補者は常に良い結果を出しているため、それらを知ることは非常に簡単です。また、常に良好な結果を出している候補者も、目標を達成するために賢く働いていることを証明しています。
なるほど。過去の実績が新しい仕事でも成功する可能性が高いと証明しているのですね。
それでは2つ目は何でしょう?
2番目は優れたコミュニケーションスキルです。これは、インタビューを実施するとすぐにわかります。候補者が自分の考えを明確、簡潔かつ論理的に伝えることが出来れば、日常的に社内外でのコミュニケーションを伴うどんなビジネス環境でも成功する可能性があると言えます。
コミュニケーションスキルの有無はどれくらいで分かりますか?
通常10分以内です。特に候補者の自己紹介でわかります。ちなみに自己紹介では、コミュニケーションスタイルだけでなく、今までの経験や性格についても知ることが出来ます。
確かにそうですね。他の2つの素質は何ですか?
3つ目は常識があり、かつ人に良い印象を与えることが出来るかどうかです。チームの一員となる人を採用する以上、一緒に働くメンバーが快適に感じられる人であるかどうかは重要になります。
そして最後が、アサーティブネスです。ビジネスにおいてあなたの意見を届けるためにはアサーティブである必要があります。
アサーティブネスの重要性
以前、アサーティブネスについてお話していただきましたが、グローバルで成功したい場合、これがますます重要になっているようですね。しかし、日本の場合、従来より問題を起こさない事が重要視されます。
その通りです。伝統的に日本人は目立つことを避ける傾向にあります。ほとんどの日本人は、幼少期から自己主張をあまりせず、人と対立しないように教育されてきました。しかし、世界はますますグローバル化しており、これに伴い我々を取り巻く環境も変化しています。日本人がこの変化にうまく対応することが出来ることを示す一つの良い例は、多国籍企業で働く日本人を見ることだと思います。
それはどういう事でしょうか?
私のキャリアを通して多国籍企業で働く多くの日本人従業員を見てきた中で、彼らは独自性と個性をより重要視していることに気づきました。その結果、多国籍企業で働いている日本人は、自分の考えをより表現し、リスクを取る傾向にあります。これは、多国籍企業で働いている場合、他の国の社員や文化、他の働き方、他の考え方に常に晒されているので、驚くことではありません。
つまり、日本人もアサーティブになれるという事ですか?
その通りです。アサーティブネスは必ずしも生来の特性ではなく、自分で磨くことができるスキルであると信じています。そして、アサーティブネスが奨励される環境にいる限り、誰でもこの特性を習得可能です。
新卒で働き始めて以来、私は常に多国籍企業で働いてきました。そこでは常に自分の考えを持ち、自分の意見を伝えるように教えられました。最初の頃は、いつも自分の考えを尋ねられ大変でしたが、次第に自分の意見を持つことが出来るようになりました。結果として、私は自分の考えを表現することを学び、最終的により積極的になることが出来ました。今は常に正しいとは限りませんが、少なくとも自分の意見を持っており、それを誇りに思っています。
アサーティブネスが習得可能なスキルである場合、よりアサーティブになるにはどうすればよいですか?
毎日の小さなことから始められると思います。例えば、同僚一緒にランチに行った時、他の人と同じ料理を注文する代わりに、自分が本当に食べたいものを注文する。誰かが何かしらの出来事について意見を聞いてきたら、正直な意見を述べるなどです。
自分の意見を伝えるときに、本当の考えを隠して、あえて「賛成です」と言う必要はありません。相手の意見を聞いたうえで、自分自身の考えを伝えてみてください。
千里の道も一歩からという事ですね。
グローバル化が日本人に与える影響
以前、世界がますますグローバル化していると仰っていましたが、これは日本人にとって何か影響がありますか?
大きく2つの側面があると思います。
まず、機会の増加です。たとえば、現在、特に多国籍企業内で、より多くの人事スペシャリストが必要になっています。今までの日系企業は生涯雇用が基本であったため、人事スペシャリストよりも人事ジェネラリストのニーズがありました。企業は人事ジェネラリストが人事のすべての側面をカバーできるようになるまで、従業員をしっかりと教育してきました。しかし、国内外でより多くの機会が出現するにつれて、生涯雇用の崩壊と高度に専門化された仕事が増えてきました。
2つ目は労働力です。グローバル化と日本の労働人口不足の影響で、日本にも海外の人材が入ってくることになります。ただし、この傾向は日本だけのものではありません。これは、さまざまな産業および雇用市場のダイナミクスを変化させている世界的な現象です。日本人と外国人共に、これらの変化に対応しなければいけません。
グローバル化が時代の変化に対処する必要があるのは明らかです。しかし、なぜこれが日本人と外国人双方にとって必要だと思いますか?
世界がグローバル化するにつれて、ビジネスオペレーションとビジネスのやり方はよりボーダレスで、多様性を持ち、オープンになりつつあります。そのため、私たちが今後も今までと同様の方法と解決策にこだわり続けたら、新しい世界に順応することが難しいかもしれません。つまり、順応するためには、私たちからやり方をアジャストする必要があります。さもなければ、ビジネスの発展と進行が止まってしまうかもしれません。
グローバル化する世界の高まるニーズに、今後日本企業はどのように適応すべきでしょうか?
1つの簡単な解決策は、ダイバーシティとインクルージョンのイニシアチブを企業の人事開発戦略に取り入れることです。L&Dへの投資効果の検証は困難ですが、この種のトレーニングは言うまでもなく日本人にとって有益です。
ダイバーシティとインクルージョンへの取り組みは、他の文化、価値観、働き方、成功事例を理解するのに役立ちます。また、自身の文化、価値観、働き方、成功を共有することで、全員がお互いをよりよく理解できるようになります。この理解により、職場だけでなくビジネスでも多様性を認識し、受け入れることが出来るようになります。
このような考え方を持つことで、より効果的に協力し、お互いから学び、共に成長し、グローバル化された未来に対して対応することが出来るはずです。
ありがとうございました。
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