転職先の企業を選ぶとき、給与額は大きな判断基準となるでしょう。転職のタイミングで自身のキャリアやスキルに見合った年収の獲得を目指す人は多いものです。転職の際に希望に沿った年収を確保するため、給与交渉は有効な手段といえます。しかし、考えなしに行ってしまうとマイナスな印象を与えてしまうため、失敗するリスクがないわけではありません。
ここでは、給与交渉を成功させるコツや、スムーズに進めるためのテクニックのほか、どのタイミングで切り出すべきなのかについて見ていきましょう。そもそも、給与額はどのように決められるのか、一般的に企業で採用されている基準についてもご紹介しますので、知識として役立ててください。
転職時に給与交渉はできる?
そもそも転職の際に、給与交渉をすることは可能なのでしょうか。まずは、給与交渉に関する日系企業の考え方や動きのほか、転職活動における給与交渉の可否とリスクについてご紹介します。
日系企業においても給与交渉を容認する動きが
以前の日系企業では、給与は「転職先の規定に合わせるべき」という意識が強く、「給与は働いて与えられる分を黙って受け取るべき」という考え方を持つ経営者は珍しくありませんでした。
しかし、昨今のグローバル競争の激化を背景に、競争力の源泉となる優秀な人材を確保するため、日系企業においても給与交渉を容認する動きが出てきています。
外資系企業への転職でも慎重に行うべき
それでは外資系企業において、給与交渉は容認されているのでしょうか?
「実力主義の外資系企業で自身のキャリアや実績、今後活用していける能力に見合う給与額を要求するのは当然のこと」と、考える人がいるかもしれません。
しかし、タイミングや態度によっては、面接官の心象を悪くしてしまうケースもあります。外資系企業への転職においても、給与交渉は慎重に行うべきでしょう。
基本的に給与交渉は可能だが、成功するとは限らない
転職活動における給与交渉は、基本的には可能です。転職活動における面接は、企業にとっても任せていきたい仕事内容と合わせて、給与額を検討または再検討する機会となるからです。
とはいえ、こちらが提示した希望年収と、企業側が適切であると判断した給与額が合致しているとは限らないため、給与交渉したからといって、希望どおりに交渉が成立するわけではありません。
一歩間違えると、給与のことしか考えていないと思われる
給与交渉が可能であるといっても、自身のキャリアやスキル、その企業でどのように貢献していくつもりなのかなど、明確な根拠がないまま一方的に希望の給与額を主張しても、採用担当者の印象を悪くするだけです。一歩間違えると、「給与のことしか考えていない」「お金目あて」と思われ、働く意欲まで疑われてしまうでしょう。
転職時の給与はどうやって決まる?
そもそも企業は、転職の際の給与額をどのように設定しているのでしょうか。続いては、企業が給与額を決定する際に用いる、2つの基準をご紹介します。;
企業内の給与テーブルをベースに給与額を決める
給与は、基本的に企業ごとの給与テーブルをベースとして決められます。給与テーブルとは、年齢や職務、役職などに応じて設定される、基準となる給与額のことです。
一般的に、給与テーブルで設定された基準となる給与額に、「入社後、これくらい貢献してくれるだろう」といった期待値が加算された金額が、最終的な報酬金額となります。
前職の年収・活かせるスキルをベースに給与額を決める
特に同業界・同職種への転職の場合は、前職の給与をもとに給与額を決定する企業も多いでしょう。
前職の年収をベースに、転職先で活かせるスキルを加味して給与額が定められます。
給与交渉のタイミングはいつ?
転職活動において給与交渉が成功するかどうかは、切り出すタイミングによって左右されるものです。給与交渉を行うのに、適したタイミングをご紹介します。
基本的には内定後、オファー面談前に行うのが望ましい
基本的に給与交渉は、内定後に行うのが望ましいといえます。内定後であれば、応募者は面接時より有利な状態であり、精神的に余裕を持って給与交渉を進めることができるでしょう。ポイントとしては、給与交渉は内定後、「オファー面談の前までに行う」ことが大切です。
オファー面談とは、入社後の労働条件や詳しい仕事内容、入社日の調整などを行う、内定後に実施する面談です。オファー面談の前に給与交渉を終わらせておけば、オファー面談時に希望どおりの給与額を提示してもらえる可能性が高くなります。
オファー面談時にいきなり給与交渉を行うと、「条件と異なるので内定は見合わせます」となる可能性もあるでしょう。給与交渉を行うタイミングは、「内定後、オファー面談を行う前までがベスト」と覚えておいてください。
明確な給与額がわからない場合は面接時に聞くのもあり
求人広告に提示される給与額ですが、企業によっては「◯万円〜◯万円が目安」として幅を持たせて記載している場合があります。その場合、具体的な金額が提示されるのは、内定が出てからとなるのが一般的です。
しかし、転職先を選ぶ際の条件として「希望の給与額を満たしていること」と考える人もいるでしょう。給与優先で転職活動を進める場合、仕事内容が魅力的で、目に止まった求人であっても、「明確な給与額がわからないので、エントリーするかどうか迷う」と考えてしまうかもしれません。求人広告に明確な給与額が記載されていない場合、面接時に給与に関する質問と併せて、給与交渉をするのも選択肢のひとつです。
その際は、いきなり給与の話を切り出すのではなく、企業としての今後のビジョンなどを聞いた上で、「今一度給与体系について確認したい」といった具合に話を向け、具体的な交渉に移っていくと採用担当者の心象を害することなくスムーズに進めやすくなります。
また、面接の最後に、「何かご質問は?」と尋ねてくれる企業は少なくありません。そのタイミングを狙い、仕事内容や事業の方向性などに関する深い質問から入り、話の流れで「条件面に関しまして、いつご共有いただけますか?」と、丁重に交渉を切り出すのもテクニックのひとつといえます。
給与交渉前に準備しておくべきこと
給与交渉を成功させるためには、事前に十分な準備をすることが大切です。企業と給与交渉する前にまとめておくべきことや、調べておくべきことをご紹介します。
企業側を納得させる給与交渉の根拠を準備
給与交渉を成功させるには、提示する金額を支払ってまで自身を採用する価値があるのか、企業側を納得させる客観的な根拠が必要となります。これまでの経験や実績、スキルなどを提示できるよう、棚卸をしておきましょう。実績やスキルは、「新規開拓営業において目標成約数120%を達成した」など、できる限り具体的に伝えることが大切です。
入社後、自分がその企業でどのくらい貢献することができるのか企業側がイメージすることができれば、スムーズな給与交渉が可能となるでしょう。
希望する業界の年収に関して情報収集
転職を目指す業界における、給与額の相場を調べておくことも大切です。
業界によって給与額の相場は異なります。提示する希望の給与額が相場とかけ離れていないか、志望する業界の求人情報などを参照し、把握しておきましょう。
応募する企業の給与水準を調べておく
応募する企業がさまざまなポジションで募集を行っている場合、自分が目指すポジションだけでなく、それぞれのポジションで提示されている給与額に目を通しておくことも重要です。
給与交渉で提示する給与額を設定する際、応募する企業が設定する給与額の最低額や最高額を把握しておけば、給与水準からかけ離れた金額にするというリスクを防ぐことができます。
優先すべき転職の目的を明確にしておく
給与交渉を行う前に、転職の一番の目的が何であるのかを明確にしておきましょう。
「どうしてもその企業に入社したい」と考えるのか、「企業にこだわらず給与アップを目指したい」と考えるのか、転職の目的によって給与交渉に臨む姿勢は変わるはずです。特に、給与交渉がうまくいかなかった場合、それでも応募した企業に入社すべきかどうか、目的が明確であれば判断しやすくなります。
希望の給与額は幅を持たせて設定する
希望の給与額は、自分が理想とする金額から、最低限これだけはと考える金額まで、幅を持たせて設定するといいでしょう。
前述のとおり、転職の目的が特定の企業への入社であるのか、給与アップであるのか明確にしておくことは大切です。しかし、転職活動における面接では、面接官と話してみたら、「どうしても入社したいという意志が強くなった」ということや、「給与面以外の福利厚生や各種手当などの待遇面に魅力を感じた」ということがあるものです。
そんなときに、金額の幅を広く設定しておけば、給与交渉の折り合いがつきやすくなります。働きがいを感じる自分に合った企業で活躍できるチャンスを、逃さないで済むでしょう。
給与交渉のコツ
給与交渉には、成功させるためのコツがあります。給与交渉をスムーズに進めるためのテクニックをご紹介しましょう。
希望額はマイルドに伝える
給与交渉で希望の給与額を伝える際には、印象を悪くしないよう、マイルドに伝えるのがおすすめです。
応募する企業にもよりますが、「最低でも◯円は欲しいです」といったように、ドライな伝え方をしてしまうと面接官の心象を悪くしてしまうでしょう。
「前職で得たスキルを貴社にて存分に活かすことを前提に、前職での給与額の◯%アップを希望します」という風に、マイルドな伝え方を心掛けましょう。
給与交渉に失敗しても入社後の成果報酬を狙える
給与交渉がうまくいかなかった場合は、入社後、成果を出すことで昇給してもらえるよう、提案してみてはいかがでしょうか?
例えば、「配属先の部署にて売上目標120%を達成したあかつきには、給与額を上げてもらうことは可能でしょうか」という風に、仕事への意欲とともに伝えれば、面接官の心象を悪くするリスクは少ないといえます。
なお、応募した企業の求人に、インセンティブに関して記載があった場合は、「どのような結果を出すことで、いくら報奨金をもらえるのか」など、具体的な内容を確認するのもいいでしょう。
転職エージェントに給与交渉を任せる
転職時の給与交渉は、内定の獲得と希望の年収の確保との両立が求められるため、何らかのリスクを伴う可能性があります。
給与交渉を自分で行うのに不安を感じるのであれば、転職エージェントに任せることも選択肢のひとつです。
転職エージェントに給与交渉を任せればミスマッチを防げる
転職エージェントを介して転職をするのであれば、給与交渉を担当のキャリアアドバイザーに任せることができます。年収や待遇面での希望なども企業側に明確に伝えてもらえますので、企業とのミスマッチを防ぐことができるでしょう。
企業に合った交渉の仕方を知っている
転職エージェントは、転職をサポートする専門家ですから、常に業界の動向や企業の傾向などを熟知しています。給与交渉をするべきか、どの程度の金額までは交渉可能かなどの判断をしつつ、交渉を進めることが可能です。年収額がキャリアに比べて少ない場合には、本人に代わって増額の交渉を行ってくれることもあります。
自分の市場価値に合った給与のアドバイスがもらえる
自分の市場価値を、自身で判断するのは難しいものです。転職エージェントでは、キャリアアドバイザーがこれまでのキャリアやスキルなどから、あなたのビジネスパーソンとしての市場価値を判断してくれます。
その上で、希望すべき正当な給与額をアドバイスしてくれるため、非常に心強いといえるでしょう。
給与交渉は根拠と自信を持ってトライしよう!
転職時の給与交渉は、それまでの自分のキャリアや能力を根拠とすれば、仕事への大きな意欲の表れ、好意的に受け取られることもあるでしょう。ただし、伝え方によっては誤解を生み、内定に響くリスクがあります。
自分で給与交渉を行うのが難しいと感じるのであれば、転職エージェントを利用してみてはいかがでしょうか。RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンは、求職者の実績やスキルから、ビジネスパーソとしての市場価値を判断し、価値に見合う正当な給与額にて、企業への給与交渉を代行いたします。給与交渉を含めた転職活動の全面的なサポートをさせていただきますので、不安がある方は一度ご相談ください。
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