インタビュアー: Yoshiko Osamura
制作: RGF Professional Recruitment Japan Marketing Team
世界43ヵ国をベースに、組織・人事、福利厚生・ウェルビーイング、年金・資産運用における総合コンサルティングサービスを130ヵ国のクライアント企業に提供するマーサー(英語社名:Mercer、本社:ニューヨーク)。
今回は、その日本拠点であるマーサージャパン株式会社の組織・人事変革コンサルティング部門 L&D(人材開発)チーム マネージャーのMさまと同じく組織・人事変革コンサルティング部門 ゼネラルチーム マネージャーのAさまにお話を伺ってまいりました。
マーサーの特徴のひとつはお客様からの引き合いが多くあること
本日はお時間いただきありがとうございます。
はじめに自己紹介をお願いいたします。
Mさん:
私は新卒でメガバンクに入り、その後コンサルティングファーム2社を経て、マーサーに転職をしました。メガバンクからコンサルティングファームにキャリアチェンジをした理由は、若手のうちから裁量を持てるお仕事をしたいと考えたこと、上下関係にこだわらず、フラットに議論ができるような環境で仕事をしたいという思いの2点です。そのような中で、外資系やコンサルティングファームであれば、自分の望むような働き方ができるのではないかと考え、第2新卒でコンサルタントの仕事をスタートしました。
最初の転職先である外資系コンサルティングファームでは、特定の産業を支援するチームに配属されました。仕事自体にやりがいは感じられるものの、業務やシステムを変えても人が変わらないとなかなか効果が生まれ難い場面も多く、今後はもう少し人材関連に特化した形でコンサルティングをしたいとの思いから、別の総合系のコンサルティングファームに人事コンサルタントとして転職をしました。そこでは人事領域を幅広く担当しましたが、自分自身の興味として、人事制度などの仕組み作りよりも、今後は「人を変えていく」、「人を育てていく」という人材開発の領域を中心にキャリアを歩みたい気持ちが強くなり、人材開発領域に特化して仕事ができるチームのあるマーサーへ転職しました。現在は人材開発領域の仕事を中心に進めています。
人材開発のプロジェクトについて詳しく教えていただけますか?
Mさん:
まず人材育成のゴール、つまりあるべき人材像を定義します。その上で、定義した人材像に対して、誰を特に優先的に育てるべきかという選抜、そしてアセスメントを行います。
アセスメントを通じてその人材の強みや課題が見えてくるので、それぞれの強みや課題を踏まえた組織全体の育成体系を設計していきます。それと同時に、個々人の育成計画の設計も行います。
あるべき人材像を定義して、選抜して、人を育てていく。そういった一連の流れが人材開発で特に重要なところです。
ありがとうございます。
Aさんも自己紹介をお願いいたします。
Aさん:
私は新卒で総合系のコンサルティングファームに入社をしまして、ヘルスケア領域を扱うチームに入り、製薬会社中心に公立病院等向けのプロジェクトを担当していました。
業界カットのチームという特性上、いろいろなサービスラインのプロジェクトがありましたが、組織設計に関わることが多く、製薬会社の部門の再編に関わる組織づくりや、特定の部門の立ち位置を上げていくにあたり、部門の戦略を考えて組織に落とし込むといったプロジェクトの経験が増えるにつれて、組織・人事に関するナレッジをもっと身につけたいという思いが強くなり、組織人事系では規模も大きくてプロジェクトの数も多いマーサーに転職しました。
マーサーの強みや特徴について教えていただけますか?
Mさん:
各種の報酬に関わるデータや、最近よく耳にするジョブ型人事制度に関わるジョブ・職務の役割の大きさを測るツールを保有していることは強みだと考えています。
日本企業に限らずデータ・ツールを活用できるため、グローバルレベルで支援が可能なことも特徴です。もちろんジョブ型が必ずしも良いわけではありませんが、環境変化のスピードが加速し今後ジョブ型の制度に切り替えていく会社が多くなると想定されます。そのような環境下、ジョブ型の芯となる報酬やジョブのレベルを測るツールを通じて、クライアントにより価値を提供できることは、他社と比べてマーサーの大きな強みです。
Aさん:
グローバルとの連携はかなり強いですね。マーサーではプロジェクトの編成にも海外のメンバーが入ることもありますし、海外の事例をチャット等で気軽にヒアリングできるのも、マーサーの特徴のひとつです。外資系のファームといえど、中にはあまり連携がないところもあると聞きますが、海外との連携の強さは入社してからよく感じています。
総合ファームではなく、専門ファームで働くことの違いや魅力は何かありますか?
Aさん:
マーサーでは、既存クライアントからのリピート案件やお問い合わせからプロジェクトがスタートすることも多く、前職との違いを感じました。クライアントとなる各企業の人事部に対して、マーサーの専門性や、これまでのプロジェクトのクオリティを認めていただいている証だと感じています。
また、繰り返しになりますが、報酬データは非常に大きな魅力です。近年の賃上げの動きもそうですがそれ以前からも、日本企業がグローバル人材を採用する場合などに、競合となりうる外資系企業の報酬水準を知るためのツールとして期待され、マーサーにお声がけいただくケースは多くあります。
また同じ人事制度の案件であっても、以前マーサーがサポートさせていただいた人事制度を、今の組織に合わせて変更したいというお問合せも少なくないことから、クライアントとの強固な関係性を結べていると感じます。
Mさんはいかがでしょう?
Mさん:
プロジェクトのテーマという観点でみると、マーサーには充実した報酬や職務評価のツールがあるため、人事制度に関連したプロジェクトが多く、この時点で前職との違いがあります。
また、プロジェクトの中身においても、前職と少し関わり方が違います。たとえば、前職で私が関与したプロジェクトは、マーサーがジョブ型の骨格を作り、前職ではその中で細かい職務記述書を大量に作成する役割でした。その際に、ジョブ型プロジェクトの本質的な領域にマーサーは関与できているのだなと感じたことが印象的でした。
ジョブ型に限らず、クライアントの本質的な課題に最初の段階から関与する案件が多い点は魅力に感じます。
マーサーでは、一人が複数の案件を同時進行で進めていく
前職と比べて働き方で何か違いはありますか?
Mさん:
総合ファームの場合、基本的にメンバークラスは一人ひとつのプロジェクトにアサインされデリバリーすることが通例のように思いますが、マーサーではメンバークラスから複数のプロジェクトにアサインされます。
複数のプロジェクトを同時に抱える難しさは当然ありますが、一方で若手のうちから複数の領域を経験できるため、アサインの希望が通りやすいとも言えます。
私は前職においては、一つのプロジェクトにアサインされていましたので、別の領域を経験したいという気持ちがありつつも、そのプロジェクトが終わるタイミングで経験したいテーマのプロジェクトがなければ関与も実現しないため、希望はなかなか叶いませんでした。
そのため、複数のプロジェクトを経験できるマーサーの体制は、アサインの希望が叶いやすいと感じています。
みなさんいくつのプロジェクトを同時進行で行っていますか?
Mさん:
標準が2つで、マネージャープロモーションを見据える頃には、一部それ以上のプロジェクトに携わる人もいます。
もちろん、個人の状況や希望に合わせて選択の自由がありますので、ワークライフバランスを考えて一定の負荷に留めておきたいというメンバーもいれば、今は頑張りたい、という時期に負荷を高めて早期のプロモーションを目指す人もいます。
とはいえ、中途入社の場合はまずはマーサーのカルチャーや環境に慣れていただくことが最優先です。そのため、シングルアサインを前提に、徐々に慣れていくにつれて複数案件に関わっていただくようにしています。
1プロジェクトと2プロジェクト以上を同時進行する時で、仕事の進め方に違いはありますか?
Mさん:
はい、同じ領域を複数抱えるケースは少なく、人事制度とアセスメントや、人材開発体系の構築と人事制度導入後の研修を行う等、異なる領域を担当しますので、頭の違う部分を稼働させる必要があります。
当然、シングルアサインよりも大変ではありますが、必要に応じて周りのメンバーに相談できますし、上司からのサポートも得られますので、チームメンバーと協力しながら複数案件を回しています。
マネージャーになるにあたって、幅広い経験を積んでいる必要はありますか?
Mさん:
いずれのコンサルティングファームでも同様かもしれませんが、プロジェクトマネジメントのスキルは一番重要です。組織人事領域における経験や特定の専門性があることももちろん大事ですが、やはり複数案件を抱えるということは、複数のメンバーや多くのタスクを抱えているということですので、プロジェクトマネジメントができていなければ、デリバリーの品質が高く保てないと思います。
ゼネラルチームの方も同じでしょうか?
Aさん:
そうですね。ゼネラルチームでもマネージャー以上の方たちが新しいことにチャレンジしている姿を多く見てきました。経験を積むチャンスはこれからもたくさんある一方で、どのプロジェクトにおいても共通のプロジェクトマネジメントを自分である程度コントロールできること、つまりスケジュールを立てて管理し、メンバーを活かしながらマネジメントできることが重要です。
1プロジェクトあたり大体何人くらいで回されていますか?
Aさん:
ゼネラルチームは、プロジェクトオーナーを含めて多くて4名です。プロジェクトオーナーが出張続きで物理的に稼働が難しいケースもありますが、マーサーはプリンシパルクラスの方もデリバリーに入ることが多く、実稼動は3から4名が平均だと思います。
Mさん:
専門領域に特化した組織のプロジェクトでも平均は同じくらいです。それ以外に、案件によっては複数のチームが一緒にプロジェクトに取り組むケースもあるので、規模が大きいプロジェクトになる場合もあります。たとえば、いま私が取り組んでいるプロジェクトは、全体で10名前後で取り組んでいます。マーサーでは、規模が小さいものから大きいものまで様々なプロジェクトの経験を積むことも可能です。
プロジェクトの期間は、どれくらいのものが多いですか?
Aさん:
人事制度設計の場合、平均的には半年を超えるぐらいのものが多く、長ければ1年近くかかるケースもあります。人事制度設計が一番期間として長くなりやすい印象ですね。
Mさん:
人材開発は、人事制度よりも短めの傾向があります。たとえば、育成体系の仕組みを作るというプロジェクトであれば3ヵ月程度ですし、アセスメントも大体3、4ヵ月ぐらいですね。
研修の設計をして、実際に講義を行う個別プログラムを支援するような場合は、2ヶ月程からですが、短い案件であれば1ヵ月といったものもあります。
マーサーには色々なことにチャレンジして、学べる環境がある
現在の目標やこれからチャレンジしてみたいことを教えてください。
Mさん:
人材開発の一連の流れと連動した支援の実績をもっと増やしていきたいと考えています。具体的には、人材の要件を定義して、選抜して育成をしていくプロセスにおいて、1つのプロセス単独の支援だけでなく一気通貫で支援する実績を増やしていきたいです。
また、個人的なチャレンジでもあり、マーサーに転職しようと思った理由のひとつでもありますが、将来的に政府の人事関連の取り組みに何かしら携わりたいですね。
会社が変わるにはコンサルが支援することももちろん重要ですが、働き方改革や人的資本といった、政府が出した方針によって企業、特に大手の企業は動いていくところが今までのプロジェクト経験上からもあると考えています。そうした中でマーサーは、省庁の議論の場にも入ったりしていますし、霞が関などパブリックセクター向けのプロジェクトも手掛けている等も含めたリレーションもありますので、そのような取り組みに今後何かしら関わっていきたいです。
ありがとうございます。まさに最上流ですね。
Aさんはいかがでしょう?
Aさん:
私は4月からマネージャーになりましたので、メンバーを巻き込んでしっかりプロジェクトを回していきたいです。
テーマという観点では、これまで主に人事制度設計に関わることが多く、ハード面の仕組みを変えることに取り組んできましたが、それだけではうまくいかないケースも数多く目にしてきました。この経験から、制度を作るだけでは本当の意味で会社を変えることはできないと強く感じましたので、今後はいかに人事制度を会社に浸透させていくかという運用面のサポートにも挑戦したいです。
また、最近クライアントと議論をしていると、管理職以上のマネジメントスキルや育成スキルに悩みを持つ会社が多いように思っています。今後はマーサーならではのノウハウやアプローチを通じて、世の中のマネジメントスキルの底上げに貢献していきたいと考えています。
最後にプロジェクト全体的な目標になりますが、マネージャーになると、より経営者目線での話が求められてくるため、経営側の意思決定をリードできるようなプロジェクトのデリバリー方法を身に付けていきたいです。
最後に転職を検討されている方へのメッセージをお願いいたします。
Mさん:
知的好奇心や学習意欲が高い方はマーサーにフィットをすると思います。それはプロジェクトの面でも、メンバーの頃から複数の領域でいろいろな経験ができるからというのがも理由のひとつです。
また、マーサーは前職と比較しても、教育体系が充実しています。例えば中途で入社した方には、コンサルとしてのスタンスや、PowerPoint、Excel、マーサーの報酬ツールの研修といったものがあります。それ以外にも、任意で受けることができる研修や、他社あるいは省庁に出向するようなプログラムも用意されています。
メンバークラスのコンサルタントにだけではなく、マネージャー以上のクラスに対しても充実した研修が提供されているため、マーサーは教育に投資をする意思があると感じています。
総じて、マーサーは学びたい方にとってはかなり良い環境ですし、知的好奇心があって、新しいことをやってみたいという方には最適な場所だと思います。
Aさん:
活躍している人がどういう人か、という観点で見ると、「自分のやりたいことはこれだけなので、これしかやりません」という人よりも、「色々なことをやってみたい」と領域を広げる意識がある人の方が、様々なプロジェクトで活躍している印象はありますね。
積極的に出向に行っている人も、戻ってきてからそこのナレッジをマーサーに還元してくれていますし、自分の守備範囲を決めずに色々と興味を持っている方は、社内でも多様なプロジェクトにアサインされているイメージがあります。
また、グローバル志向がある方もマーサーにはフィットすると思います。海外オフィスへのトレーニングプログラムで数週間現地へ行く機会もありますし、日々のコミュニケーションにおいても、海外ときちんと関わることができるコンサルティングファームに入りたいという方には、すごく向いている組織です。
ありがとうございました。
クライアント情報
企業名:マーサージャパン株式会社(Mercer Japan Ltd.)
本社:東京都港区赤坂9丁目7番1号 ミッドタウン・タワー
URL:https://www.mercer.com/ja-jp/
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