元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。テレワークが長引き、精神的なストレスを感じている社員が増えています。
そこで、テレワークが原因の精神的ストレスに人事としてどのように対処すべきかについて解説いたします。
1. 社員の体調不良に対処する
テレワークが長引き、企業は社員の健康が損なわれるリスクを抱えています。
オフィスのイスではなく、自宅にある普通の椅子で長時間テレワークする場合、姿勢が不自然になり肩こりや腰痛が増えると言われています。こちらは、身体に現れる不調です。
もう一つ見逃せないのは、孤独からくるメンタルの不調です。
テレワークが始まり、毎日通勤電車に揺られて同じ職場に出社することから解放され、自由になったと感じる社員もいます。一方で、同僚と雑談をする時間もなくなり、特に独身の場合、所属する「場」を無くした感覚が強く、孤独感からメンタルに不調を起こす社員もいます。
昨年より続いているテレワークが原因で、約31%の人が体調不良を感じていることが、オムロンヘルスケア株式会社による調査で明らかになりました(2020年4月実地)
(引用元:オムロンヘルスケア株式会社 「テレワークとなった働き世代1,000人へ緊急アンケート」)
上の図からわかる通り、61%の人が精神的なストレスを感じています。人事そして各部署の管理職は、個人の努力に委ねるだけではなく、解決策を考えないと企業としての生産性が落ちていくことになりかねません。
オンラインで集まる場合、ミーティングの議題をこなすことに終始して、雑談をする時間がなくなりがちな傾向があります。
解決策として、セクションや部署で週一くらいの頻度でオンライン飲み会をしている部署もあるようですが、残念ながら20代・ 30代の社員には不評です。「参加したくない」と言い出せないために、義務感から参加はしていますが、実際はよく話を聞いていなかったり、カメラに写らない下の方で他のことをしているなど、コミュニケーションを円滑にという目的を考えると、マイナスの効果を生んでいるケースもあります。
セクションや部署で、オンラインを介して集まる事はとても良いことですが、就業時間内にすることと、頻繁になりすぎないことに注意したいです。
雑談だけでは場がもたないかもしれないので、オンラインでやる楽しいゲームをご紹介します。
やるのはNHKで放映されていた「物しりとりです」
基本はしりとりをするのですが、自分が口に出した「物」をオンラインのカメラの前に持ってくるところがプラスαです。例えば、私が参加者で「キャベツ」と言ったら、冷蔵庫からキャベツを持ってくることになります。車と言ったら、車を家の中に持ってくるのは不可能なので、車が写っている写真・パンフレット等をみんなに見せられればOKです。普通のしりとりと同じで「うん」で終わる単語を口にした人が負けです。
私が運営するオンラインサロンで英語版をいちどやってみたところ、非常に盛り上がりました。単語を考えるだけではなく、実際にそのものを見せることでワイワイ感が増しますし、笑い声も大きくなります。同僚同士でやると、意外な一面が見えて親近感が増しそうです。
2. 採用
既存の社員のメンタルヘルス・ケアを考える事は非常に重要です。さらに人事としては、採用も見直す必要があります
そもそも変化が多い時代なので、レジリエンスの高い人材を採用することは重要です。逆境や困難、強いストレスに直面したときに適応する精神力が弱い人材を採用して、メンタルバランスを崩されると、難しいケースでは休職、復帰、休職を繰り返すことにもなり、企業の生産性が下がることになります。(パワハラやセクハラなど、明らかに企業がフォローすべき社員の休職は別問題です。)
ストレス耐性が高い人材かどうかを、面接で見極めるのは簡単ではありませんが、ストレス耐性について面接でぜひ聞きましょう。
ストレスの対処力の高さ、課題から逃げないで解決できるタイプかどうかを確かめるには、下記のような質問が有効です。
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「今までのご経歴で、最もストレスが高かった仕事はなんですか? どのように解決し、乗り越えましたか? 」
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「トラブルが起きたとき、どのように解決しますか? 具体例をあげて説明してください。」
上記のように尋ねて、候補者が今までに乗り越えた難しい状況のスケールの大きさ、本人のストレス耐性・気分転換力を確認するのです。返答が漠然としている場合は、具体例を出してもらいます。表面をなでるだけで終わらせると、本当にレジリエンスが高いかどうかはわかりません。
辞めてもらうことが難しい日本だからこそ、入社時のハードルはある程度の高さから下げないことが後のトラブルを防ぐことになります。
本日は、テレワークが長引く中、孤独感からメンタルにバランスを崩す社員がいる現状で出来る工夫、また中途採用の社員のレジリエンスを必ず確認することについて解説しました。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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