元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、テレワーク下で入社する方をどうサポートするかです。
このテーマは、クラブハウスで平日開催している朝活の中から出てきた問題点です。5月1日付で転職した2人の女性が、課題として挙げたことを再びクラブハウスで皆さんと討論しました。
課題1 : 会社説明や製品紹介全てがオンラインになる中、家でじっと動画を見ているだけなので、自分の理解度が不安
1人の方は、8月まで3カ月間で見なければいけないモジュールが200個あり、トータルで200時間近い動画を見ることが課せられている状態です。膨大な量で、平日だけでこなすと、一日8時間も観続けることになるため、この頃は画面を見る時間を分散させるために土日も使って視聴しているそうです。
長い映画でも2時間半なのに、製品の紹介動画を延々とモチベーション高く見続けるのは、正直難しいでしょう。ところどころでアセスメントはありますが、これもオンラインだそうです。
ここで、2020年12月に外資系金融に転職したベテラン(Aさん)からアドバイスがありました。
彼女の会社の仕組みが違うところは、2日に1度ぐらい、トレーナーの人と20~30分話すシステムで、その時にさりげなく理解度をチェックされるようになっていることです。オンラインでテストを受けるのと、誰かと話しながらプチ・テストされるのでは雲泥の差があります。対人の方が、誰かと話せると言う点も含めて心理的にモチベーションは上がりそうです。
現在入社のオリエンテーションを、テレワークで行っている会社は多いと思います。ぜひ時々、「人」が時間を割いて、プチテストを行うと言う仕組みお勧めしたいです。
それ以外にも研修が終わったら、「私はこういうことを学びました」とレポートを作成して、お世話になったトレーナーの方々や自分の上司に配るのと良いアピールになりそうです。Aさんがやったところ、やる気があると思ってもらえたし、時間を割いてくれたトレーナーたちはやりがいを感じてくれたそうです。
課題2 : 社内の廊下やトイレで気軽にはじめての人と話しかけるようなチャンスが全くないので、どうやって社内で人脈を築けば良いのかがわからない
待ちの姿勢でいてもなかなか人脈が広がりそうにないと判断した1人が、上司にオンラインでの懇親会をお願いし開催することになったそうです。
部署全体で130人と言う規模になるとオンライン懇親会は成立しませんが、まずは自分が所属するセクションの6〜7人からスタートできれば、顔と名前も一致するようになりますし、何か質問する時にもやりやすくなるでしょう。
職場が外資であれば、周囲に10分から15分の1on1を依頼することも有効です。皆さん忙しくしているので、お願いしづらいかもしれませんが、外資では入退社が多いので、新しく入った人が早く生産性を上げられるように周りがサポートすることに慣れています。忙しさへの配慮は必要なく、短い時間であれば誰でも応じてくれます。
Clubhouse上でリスナーの方が、マネージャーとして、新しい部下を複数迎えるにあたって準備したことを共有してくださいました。顔写真のついた組織図を元に、オンラインでそれぞれの方の特徴や、他部署の誰と仲が良いかなど裏事情を教えてあげて、無意味につまずくことがないようにしてあげたそうです。部下には感謝されたとおっしゃっていましたが、自分で確かめる方法がないテレワーク下、確かに非常にありがたい情報でしょう。
課題3 : 社風がつかめない
オンライン越しに、この会社はどんな社風なのかを判断することは難しそうです。会社から流れてくるEmailでのメッセージから感じることはできないでしょうか?
Aさんの会社では、6月◯◯日までにコロナのワクチンを摂取した社員には、一律$1,000を会社が支給するというメールが流れたそうです。もちろん、アメリカ国内の話ですが、このメールを読んだだけで「社員を大事にする会社なんだな」とわかったそうです。
社風については、すぐ把握することは難しいかもしれませんが、会社から発信されるものを見落とさず、そこから社風を感じとることはできそうです。
テレワークでの入社オリエンテーション、動画を用意するだけで莫大な労力と時間とお金がかかっているはずです。その資源を有効に活用するために、ところどころでトレーナーの方が、短い時間、新しく入社人たちの理解度チェックの時間を持つことが理想です。テレワーク入社の方々の生産性を早く上げること・モチベーションを下げないことにつながります。
人間は人とのつながりを求める生き物なので、テレワーク転職者・入社者がいたら、身近な人たちでオンライン歓迎会をやってあげるのもお勧めです。テレワークでの入社プロセスを強化するには、人との繋がりを可能な限り持てるよう仕組みを考えることに尽きると言えます。
本日は、テレワーク下の入社プロセスをどう強化するかについて考えました。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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