元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日のテーマは将来を見据えた人事の課題です。
2021年、まだまだ難しい状況が続く中、日々の会社のオペレーションを回していくために、人事がすべき仕事は山積しています。例えばテレワーク、副業のルール作りなどです。 毎日の仕事に忙殺されると遠くを見ることを忘れがちですが、10年先20年先を見越して人事が今から着手すべき課題もあります。本日はそのうちの3つについて説明します。
リーダーシップ人材の確保
自社に将来のリーダーを育成するプログラムやプロセスが存在するかどうかは、企業によってまちまちでしょう。
例えば、私の最初の職場GEには、マネージャーからCEOレベルまで、それぞれの階層向けに何週間にも及ぶ研修プログラムが存在します。Succession Plan(サクセッション・プラン)と言う、後継者マップのようなものや、未来のリーダー候補に対しての育成計画もあります。
一方で、プログラムが社内に存在せず、いまだに定性的・属人的な判断で昇格が行われている企業もあります。リーダーにコミュニケーション力は必須ですが、評価の項目が「人間力」・「実行力」・「先見性」など数字で測れないものが多いと、「情」の人事になってしまう可能性もあります。世界はグローバル化が進み、ますます競争が激しくな 李、ロジカルなプロセスで選ばれたリーダーが舵取りすべき時代です。
リーダーは一日にしてならず。「はい明日からお願いね」と言うリクエストで、成功できる人はほとんどいません。前もって、将来のポテンシャルが高い人材のプールの中にいて、それなりの教育を施され自分でも勉強してリーダーが誕生します。
5年後もしくは10年後に社長になる人は誰ですかと人事に問いかけて、候補者が並ばない場合は、プロセスを導入する必要があります。
DX人材の確保
DX(デジタル・トランスフォーメーション)人材とは、単にテクノロジーの知識を持つ人材ではなく、デジタルテクノロジーを活用して、ビジネスの変革を図れる人材のことを指します。ビジネスの変革でわかりやすい例は、電子書籍でしょう。出版社が書籍を作り、印刷屋さんに印刷を依頼し、卸業者を経由して書店に並んでいた本が、ネットで購入できるようになり、間の工程が不要になりました。
DXはブランド業界でも例えばバーバリーが積極的に取り入れています。DX人材については、すでに熾烈な採用競争が始まっているので、後発組にならないよう社内の人材需要を早急に確認したいです。少ない人材をGAFAやベンチャー企業が高い給与で採用しているのが現状です。日本企業の年功序列型の給与体系には収まらないであろうDX人材採用には、その部署だけ切り離して子会社にする等の特例措置を取る必要もありそうです。
「うちの業界は関係ない」と決めつける前に、なるべく早く社内でのニーズ確認を行いたいです。
ダイバーシティー
外資ではかなり当たり前の概念がダイバーシティーです。特に男女、ジェンダーについてのダイバーシティは、1980年台にアメリカで大きく取り上げられ、女性の大幅な登用が進みました。現時点でジェンダーについてのダイバーシティを検討しているのは正直遅いと言わざるを得ません。例えば25年間、外資に勤務した私は「女性だと不利なのかもしれない」と感じたことが1回しかありません。外資におけるダイバーシティは、「人種」「宗教」「LGBT」を意味することが多いです。(注:外資なら100%ジェンダーの問題は無いと申し上げているわけではありません)
日本におけるダイバーシティーは、残念ながらまだまだ男女のジェンダーにとどまっていることが多いです。 女性で出来るかどうかの「能力」、すぐ感情的になるので一緒に仕事しにくいかなど「情緒的特徴」については、環境と女性の側の覚悟にも左右されるので、チャンスを平等にあげて欲しいと願います。女性のためにというよりも、日本の将来のためにです。
2020年の出生率は1.34、出生数は84.7万人1974年以降の出生数の減少を食い止められない日本の現状を考えると、10年、20年後、深刻な働き手不足に直面する事は今から見えているので、その時のために備えておきたいからです。
日本企業で女性を昇進させるにあたっては、一度に2人を昇進させる。1人だと孤独を感じたり妬まれたりして余計なことに神経を使うことになることを避けることが必要かもしれません。 日系グローバル企業であれば、役員手前の女性リーダーを海外支店の支店長として鍛えることもできそうです。ミニ経営者としての経験を甘えることなく積めます。
ダイバーシティに真剣に取り組み、来るべき労働力不足に備えて、女性に戦力になってもらう策を講じたいものです。
本日は、将来を見据えて人事が考えるべき課題3つについて解説しました。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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