元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。 本日のテーマは、一見必要なさそうに思える「日本企業の人事の方こそ、英語ができると仕事の幅が広がる」です。
先日、日本企業の人事本部長をしている元部下と話をしました。人事の話をしながら、「これから5年先10年先を見据えると、日本企業の人事パーソンにとって、必要なスキルもしくは経験は何だと思う?」と聞いてみました。
私は、最新の人事のトレンドを学ぶことや、外資人事制度の良いところを適宜取り入れる柔軟性などが答えとして返ってくると思っていたら、彼の答えは「英語力」でした。
理由を聞いてみると、彼の会社は日本企業ですが最近外資系企業と合併し、英語が急に必要になったそうです。
会社への貢献
1. 頼める仕事の範囲
彼の人事部に英語ができる人は、買収した会社出身者を除くと、彼以外には1人しかいないそうです。かなりの資料やメールが英語でしか存在しない中、それぞれの部下にどのような仕事を頼めるかが変わってしまったとのこと。機械翻訳がめざましく発達したとは言っても、M&Aという双方様子見をしている微妙な状況下、英語力があるかどうかが、こんなに重要になるとは思ってもいなかったそうです。
彼としては今まで仕事を一緒にしてきた気心が知れたメンバーに、仕事を頼めないのはストレスです。部下たちは部下たちで、合併先の外資出身の人たちに自分たちの仕事を取られるのではないかと、不安になっているようだとのこと。
これから海外進出が加速した場合、海外人事の担当者は英語がある程度はできないと業務に支障をきたし、駐在員の苦労がわからないことになるので、英語力がある人だけがつける仕事になるでしょう。業界・職種によっては、日本語があまりできない人を英語で採用する可能性もあり、面接官が務まるかどうかは英語力に直結しています。
今現在、英語力がなくて仕事に支障がなかったとしても、もっと幅広い仕事をしたい場合や、海外人事をやりたいと思ったら英語力は必要になるということです。
2. 多様性を受け入れる柔軟性に結びつく
日本の公用語は日本語であり、日本企業に勤めていたら今すぐ英語が必要になるわけではありません。ただ将来、私の元部下のように外資と合併になる可能性はゼロとは言えません。新しい企業文化や、上司や同僚が外国人になる変化を受け入れられるかどうかは、変化の激しい激動の時代にあって重要といえます。
多様性を受け入れる力と語学力が直結しているわけではありませんが、外国語を学ぶと言う事は背景にある文化も学ぶことになるので、英語ができる人は多様性を受け入れる準備が整っている可能性は高いです。 英語を学びながら、外国人の方々と交流し意見を交わし、日本人としてのアイデンティティをしっかり確立してこそ、相手をリスペクトする姿勢が身につきます。その延長線上に、国籍とは関係ない「多様性」を受け入れる姿勢も培われます。
個人のメリット
年功序列型の日本企業に勤めて、40歳くらいで転職を考えたくても、経験・スキルと比較して年収が高い可能性はあり、英語というプレミアムなしで年収を維持することは難しいことが多いです。たかが英語されど英語。日本では「英語力」は年収を上げるプレミアムになります。 「年収」という大事な現実を上げるために英語ができることがプレミアムになる国に住んでいるのですから、手に入れないのは勿体ないです。
キャリアインデックス社の調査によると、日常英会話や読み書きができる人の割合は、以下になります。
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年収700万円以上で48.7%
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年収500万円〜700万円未満で34.0%
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年収500万円未満では22.4%
(引用:「英語力と年収は密接な関係あり。年収700万円以上の人は約半数が英語での日常会話や読み書きができると回答」年収・転職実態調査 vol.7 )
英語力と年収が相関関係にあることが明確に現れていますね。 今すぐ英語は必要なさそう、もしくは外国語はあまり好きではないので今から英語を勉強するのは億劫など、考え方はいろいろあるでしょう。現在のこの瞬間ではなく5年後10年後を見据えて、少しずつ英語を勉強できたらいいですね。今なら、オンライン英会話・ YouTube ・クラブハウスと学びのツールはたくさんありますので、うまく活用して皆さんの将来の選択肢を増やせますように。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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