外資系企業や海外の企業への就職・転職に際しては、日本の就活とのギャップを感じるシーンがあります。その中でも代表的なものが、カバーレターではないでしょうか。
日本語では送付状・添え状などと呼ばれますが、英語のカバーレターと日本語の送付状はかなり異なります。外資系企業への入社を目指す場合は、その作り方をしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
そこで今回は、カバーレターの概要と、その書き方について詳しく解説していきます。
カバーレターとは?
英文履歴書を送付する際は、併せてカバーレターを送ることがあります。カバーレターとは、英文履歴書に同封する送付状・添え状を指しています。しかし、日本語の送付状・添え状とはかなり役割が異なります。
日本語の送付状は、「封筒の中に履歴書が入っている旨」や、「応募する機会をくれたお礼や感謝」などを示すことが目的です。一方のカバーレターは、相手への感謝を伝えることのほか、日本語の送付状にはない重要な役割があります。
英文履歴書には、志望動機や自己PRを書く項目がないのが一般的で、そのような内容を記載するのがカバーレターです。そのため、カバーレターは重要な選考材料となり、応募者多数の場合、カバーレターの内容によって英文履歴書を見るか否か判断されることもあります。
カバーレターにまとめるべき内容
ここからは、カバーレターにまとめるべき内容について見ていきましょう。国内外問わず、書類にはある程度定められた形式が存在しますので、そこから逸脱しないように作っていくことが大切です。
カバーレターに書くべき内容は、下記の7つに分けられます。
1 コンタクト情報(氏名、住所、電話番号、メールアドレス)
カバーレターの冒頭には、自分の情報を記載します。特に決まった書き方はありませんが、氏名、住所、電話番号、メールアドレスは必ず記載しましょう。英語の住所の書き方は日本語とは異なり、建物や番地から書き始めることに注意してください。海外の企業に送る場合は、電話番号の前に国番号をつけ、電話番号の最初のゼロを省略します。
選考の合否や面接日時の連絡の際にコンタクト情報が使われるため、間違いがないようにしましょう。
例)
Taro Suzuki
6F ThinkPark Tower
2-1-1, Oosaki, Shinagawa-ku, Tokyo 141-6006
Mobile: (+81) 90-xxxx-xxxx or (090-xxxx-xxxx)
E-mail: name@address.com
2 日付(作成日)
コンタクト情報の次は、1行空けて日付を記載します。日付の書き方は日本と異なり、アメリカ式だと「月、日、年」という順番になります。イギリス式の場合は「日、月、年」の順になるため、できれば応募先企業に合わせて使い分けるといいでしょう。
例)
January 1, 2020 ※アメリカ式
1st January 2020 ※イギリス式
3 応募先情報(会社名、担当者名、住所、電話番号、メールアドレス)
応募先の情報を記載します。会社名、担当者名、住所、電話番号、メールアドレスの順に記載しましょう。担当者名は、「Mr.」や「Ms.」などの敬称と、フルネームを記載します。担当者の性別がわからないときは、「Mr./Ms.」と、どちらともとれるようにします。
担当者の名前がわからない場合は、Hiring Manager(採用責任者)、HR Department(採用部門)などとしても良いですが、送り先を特定した形のほうが丁寧です。事前に応募先企業に問い合わせるなどして、担当者の名前を聞いておきましょう。
応募先企業から個人名ではなく部署宛になどと指定された場合は、それに従ってください。
例)
RGF Talent Solutions Japan K.K.
Mr. Taro Suzuki
6F ThinkPark Tower
2-1-1, Osaki, Shinagawa-ku, Tokyo 141-6006
Tel: 03-xxxx-xxxx
E-mail: name@address.com
4 宛名(担当者名)
宛名はDearから始まり、敬称と担当者の「姓」、最後に「:(コロン)」か「,(カンマ)」をつけます。
担当者がわからない場合は「Dear Madam or Sir,」といった書き方もありますが、確認しておくのが望ましいでしょう。
例)
-
Dear Ms. Smith:
-
Dear Mr./Ms. Smith: ※担当者の性別がわからない場合
-
Dear Jessie Smith: ※担当者の性別がわからないが、フルネームはわかる場合
-
Dear HR Department, ※部署宛
-
To Whom It May Concern: ※担当者が分からない場合
5 本文
宛名を書いたら、カバーレターの本文です。後述しますが、基本的には三段構成で、志望動機や自己PRなど、英文履歴書も読みたいと思わせるように工夫しましょう。できるだけ1文は短く、簡潔に書くのが基本です。
6 結びの言葉
本文が書けたら、結びの言葉も忘れずに記載してください。
「Sincerely,」がビジネス上で利用される結びの言葉ですが、より丁寧にしたい場合は「Yours sincerely,」または「Sincerely yours,」と記載しましょう。
7 署名(手書き)
最後に、締めとして自分の名前を手書きでサインします。
サインは日本にはあまりない文化ですので、忘れずに記載しましょう。日本語でも英語でも構いません。
カバーレターの本文は三段構成にする
カバーレターの本文は、三段構成で作成するのが理想的とされています。それぞれどういった内容を記載すべきなのか、解説します。
1 応募したい職種を明確に
本文では、まずは要点を伝えます。応募したい職種を明示し、どのようにして求人情報を知ったかを簡潔に説明してください。現在の状況と、なぜ応募したのかを記載しましょう。
2 自己PR・志望動機
自分のスキルや経歴と、その職種に対して自分がどれだけ貢献できるかを記載します。1段落は2~3行程度にし、多くても4段落以内でまとめましょう。英文履歴書に記載したスキルや経験と、求人情報の仕事内容や求める人物像などがつながるように調整してください。
日本では謙遜が美徳とされることもありますが、「My ability to ... would be a valuable asset to your company. (私の~の能力が御社の資産となるでしょう)」などと、自分を採用するメリットをはっきりと記載することが重要です。
「As noted in my enclosed resume (同封の履歴書にあるとおり)」「As you can see from my enclosed resume (同封の履歴書でご覧いただけるように)」など、読み手が履歴書を読んでくれるような表現を使いましょう。
3 読んでくれたことへの感謝と面接のお願い
最後の段落では、カバーレターを読んでもらったことへの感謝の気持ちと、面接のお願いを書きます。
例)
I hope you would arrange an interview for me at your earliest convenience. Thank you for your time and consideration. (面接の機会をいただきたく存じます。お時間をいただきありがとうございました)
Thank you for your consideration and I look forward to hearing from you soon. (お時間をいただきありがとうございます、お返事をお待ちしています)
カバーレターを書く際の注意点
最後に、カバーレターを書く際にどのようなことに注意すべきかご説明します。
英文履歴書の内容と相違ないか
カバーレターは、あくまでも英文履歴書を読んでもらうための導線です。履歴書との内容に違いがあったり、まったく同じことを記載したりしていては、本来の目的が果たせません。
履歴書のポイントをハイライトし、自分のセールスポイントにつながるように書きましょう。
応募職種と自己PRに矛盾がないか
応募職種と自己PRに矛盾がないかどうかも、しっかりと見るようにしましょう。プログラミングスキルを自己PRとしているのに、応募する職種が営業では、担当者も首をかしげてしまいます。
一方で、どこにでも使えるような抽象的な自己PRも避けてください。使い回しのような表現では、担当者の心を動かすことができず、英文履歴書を読んでもらうという本来の目的も達成できません。
スペルや文法にミスがないか
スペルミスや文法ミスは厳禁です。スペルや文法に間違いがあれば、「見直さずに提出した」「あまり意欲が高くない」と判断される可能性があります。
声に出して読んでみるなど、誰でも対策ができるポイントで減点されないようにすることが大切です。
採用担当者に響くカバーレターを書こう
外資系企業に応募する際に提出する、カバーレターについて紹介してきました。英文履歴書には自分の想いを伝える項目がなく、カバーレターの果たす役割は重要です。しっかり自己分析や企業理解をした上で、採用担当者の目に止まるようなカバーレターを作成しましょう。
カバーレターのサンプルはこちらからダウンロード可能です。
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