グローバル化が進んでいく中、「英語力を身につけて、いつかは仕事で役立てたい」と英語を学ぶ人は多いのではないでしょうか。英語力は、仕事の可能性を広げてくれるための重要なスキルです。
一方で、「英語を使う仕事」の範囲は非常に広いのも事実。それぞれ具体的な仕事内容や必要な英語力のレベルがわかりにくいという課題もあります。闇雲に英語を学んでも、希望の仕事への転職に直結しない可能性も…。
この記事では、英語を使う仕事の内容のほか、仕事を選ぶ際のポイントや役立つ資格、そして英語を使う仕事をレベル別にご紹介します。
英語力を活かした仕事とは?
「読む」「聞く」「書く」「話す」という英語の4技能を活用する仕事が、一般的に英語力を活かす仕事とされています。業種や仕事内容によって求められる英語力のレベルは異なりますが、英語力を活かした仕事は、大きく2つのパターンに分けられます。
英語を駆使する仕事
従業員が仕事において、日常的に英語をフル活用する仕事が、英語を駆使する仕事です。通訳や翻訳家などの専門職はもちろん、「英語が社内公用語」「海外とのやりとりが頻繁に行われる」といった企業での業務が英語を駆使する仕事の代表例です。
英語力があるとプラスになる仕事
英語が使えなくても仕事はできるものの、英語力によってさらに活躍できる仕事もあります。海外とのやりとりが単発的に発生する仕事、ホテル従業員や外国人観光客がよく訪れる店での接客業などが該当します。
英語を使う仕事を選ぶ際のポイント
「英語を使って働きたい」という一心で英語力を磨いても、闇雲に応募していては一向に仕事につながらない可能性があります。続いては、英語を使う就きたい仕事がある場合と、まだ定まっていない場合について、どのように選んだらいいのか解説します。
就きたいと思う仕事がはっきり決まっているケース
あなたが「英語を使ってこの仕事がしたい」と具体的なイメージを持っている場合、現時点での自分の英語力と、目指している仕事で求められる英語力やスキルのレベルを確認する必要があります。もし、英語やスキルのレベルが不足しているようなら、英語力アップやスキルアップを目指し、学びを深めましょう。
また、現時点の英語力でも就業可能な仕事へいったん転職し、実務を通じてレベルアップを図る方法もあります。
就きたいと思う仕事が決まっていないケース
あなたが「英語を仕事に活かしたい」という気持ちは持っているものの、就いてみたい仕事の内容や難度が明確ではない場合、「自分はどんな仕事をしたいのか」を言語化した上で、必要な英語力と自分のスキル(専門知識)を客観的に把握することから始めましょう。
仕事を探す際には先入観にとらわれず、俯瞰的な視点が必要です。日系グローバル企業・外資系企業への転職に強い転職エージェントに相談し、客観的なアドバイスを受けながら、現在のスキルに見合った企業を紹介してもらうのも有効な手段といえます。
英語系の資格は必要?
海外生活が長い帰国子女や、日常的に英語を使う環境で育った人、日々業務で英語を利用している人を除いて、転職活動で英語力をアピールする際には、何らかの資格を有していることが望ましいでしょう。ここでは、英語で仕事をする上で役立つ資格についてご紹介します。
英検(実用英語技能検定)
英検は、国内では最もよく知られている英語関係の資格であり、英語力を示す上で日本人にわかりやすい指標です。筆記やリスニングのほか、面接ではスピーキングの力も測られます。仕事で英語を活用したいなら、2級以上の取得が望ましいでしょう。
国連英検(国際連合公用語英語検定試験)
国連英検は、「真に役立つグローバル・コミュニケーション能力」の育成を目的として、外務省が後援する資格です。英語力だけでなく、コミュニケーション能力を重視している点が特徴といえます。
試験ではリスニングの比重が高く、B級以上(英検2級レベル)では国際時事問題に関する作文問題が全体の約20%あります。合格には、世界平和や人権問題、食料問題など、国連情勢に関する知識を幅広く持っている必要があるでしょう。
B級に合格すると「問題なく日常会話ができるレベル」と判断されます。
TOEIC
TOEIC(TOEIC Listening & Reading Test)は、日常生活やビジネスシーンでの英語力を測る資格です。一般的に「600点以上から対外的にアピールできるレベル(満点は990点)」とされていますが、英語を活かす仕事で即戦力であることをアピールするなら、800点は取っているのが望ましいでしょう。
TOEFL
TOEFL(TOEFL iBTテスト)は、世界最大規模の非営利教育団体ETS(Educational Testing Service)が主催する国際基準のテストで、英語で学ぶ力を測るために開発されました。試験では、英語4技能が総合的に問われます。学術分野における英語力を測るため、日常的なコミュニケーションには登場しないような専門用語も多く出題されるのが特徴です。
レベル別・英語力を活かした仕事とは?
英語を使う仕事は、企業や職種によって求められる英語レベルが大きく異なります。実際に応募する際には、求められるレベルについてしっかりと調べる必要がありますが、ここでは、求められる英語レベル別に、英語を使って活躍できる代表的な職種と、その仕事内容の例をいくつか見ていきましょう。
日常会話レベル(目安:TOEIC400~600点・英検2級程度)
日常会話レベルの英語は、資格でいうとTOEIC400~600点、英検2級ぐらいのレベル。そのレベルを求められる仕事は下記のとおりです。
・飲食店や観光地の接客スタッフ
世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大を経て、観光需要が戻り始めた2022年夏、再び注目されているのがインバウンド需要です。著名な日本国内の観光地には、今後、多くの外国人観光客が訪れると推測されます。料理や支払いについての説明、道案内や観光スポットなどを紹介できる柔軟な英語力が身につけられるでしょう。
・通関業者の通関士
貨物の輸出入にあたって、通関手続きや税関への申請を行ったり、税関検査に立ち会ったりする仕事が通関士です。通関士の多くは、フォワーダーと呼ばれる通関業者に在籍しています。通関手続きの必要書類は英語で書かれているので、ビジネスにおける基礎的な英語レベルが求められます。
なお、通関士になるには、国家試験である通関士試験に合格する必要があるので注意が必要です。
ビジネス会話レベル(目安:TOEIC600~800点・英検2級~準1級)
ホテル従業員や貿易事務などで英語を使って仕事をするには、TOEIC600~800点、英検2級~準1級ぐらいの英語レベルが必要です。
・ホテル従業員
インバウンド需要の高まりにより、日本国内のホテルには海外からの宿泊客が訪れます。特に、都心や観光地にあるホテルは、観光やビジネス目的で来日する外国人宿泊客が多く、宿泊客からの質問に慌てず適切な対応ができるだけの英語力が必須です。
外資系でグローバル展開しているホテルなどでは、TOEICのスコアを応募要件として設定する場合もあるので、応募の際には注意してください。
・貿易事務
貿易事務は、海外製品の輸入や日本製品の輸出において、受発注や倉庫手配などに伴う煩雑な手続き全般や書類作成を担う仕事です。通関関係の書類作成やメール、電話のやりとりに英語が使われるほか、輸出入の業務に関わる海外スタッフとの英語でのコミュニケーションが日常的に発生します。貿易事務は、通関士のような国家資格は不要ですが、求められる英語レベルは通関士より上です。
企業によって求める英語レベルは異なりますが、応募要件にTOEICなどのスコアが設定されているケースが多いでしょう。
・外資系企業のバックオフィス
外資系企業の事務職は、本国とのやりとりが多く発生します。外資系であれば上司が外国人であることも多く、それぞれの分野の専門的知識を含めたビジネスレベルの英語力が求められます。
そのため、たとえば経理職では専門用語を英語で理解できるよう、米国公認会計士(USCPA)や国際会計検定(BATIC)の資格も持っていると、企業からの引き合いは多くなります。
・外資系企業の受付
外資系企業の受付には、海外クライアントや本国の関係者が多く訪れます。企業の顔としての存在だけに、高い英語力をもってスマートに案内できる必要があるでしょう。
専門会話レベル(目安:TOEIC800~900点・英検準1級)
専門性の高いビジネスにおいて英語を駆使して仕事をするためには、TOEIC800~900点、英検準1級レベルの英語力を求められます。
・通訳案内士
日本を訪れる外国人観光客に対して、日本の自然や歴史、文化等に関する幅広い分野の知識を有し、プロのガイドとして適切なサービスを提供するのが通訳案内士です。すべての案内を英語で行うため、専門的な内容も理解した上で説明できる、高い英語力が必須です。
・国際公認会計士
企業の財務書類を調査し、会計が適切に行われているかどうかをチェックするのが公認会計士の仕事です。一般的に国際公認会計士とは、米国公認会計士資格(USCPA)を有する者を指し、日系企業のグローバル化に伴って需要が高まっています。
USCPAは企業会計の知識はもちろんのこと、試験自体がすべて英語のため、専門用語を含めたリーディング、ライティング、リスニングのスキルを鍛えなくてはなりません。
・特許事務員
特許事務員とは、特許事務所や弁理士事務所、企業の知財部門に所属し、特許申請や弁理士のサポート、特許の期限管理など、特許に関する事務全般を担います。海外とのやりとりも多いため、多くの求人がTOEIC800点以上、英検準1級以上といった条件を付記しています。
・外資系企業の秘書
外資系企業の秘書は、外資系企業の日本法人や日本支社で、上司のスケジュール調整、顧客対応、書類作成などを行う仕事です。外資系企業の場合、上司やクライアントが外国人だったり、本国とのやりとりに英語を使ったりするケースが非常に多く、日常業務のコミュニケーションのために一定以上の英語レベルを有している必要があります。さらに、国際秘書検定の資格保有が望ましいでしょう。
ネイティブ会話レベル(目安:TOEIC900点以上・英検1級)
英語表現を日本語表現に置き換える仕事では、両言語の微妙なニュアンスを理解している必要があります。TOEIC900点以上、英検1級ぐらいの高い英語レベルがなくてはなりません。
・翻訳家
翻訳家の仕事は、海外の小説や詩、歌詞などを翻訳する「文芸翻訳」、海外ビジネス書やマニュアル、学術書などを翻訳する「実務翻訳」、海外映画・ドラマなどの映像作品に日本語字幕をつける「映像翻訳」の3つに大別されます。
海外作品の雰囲気を的確に表現する力、当該分野の専門的な知識、さらにスラングや時代背景に対する理解力などが求められ、英語・日本語ともに非常に豊富なボキャブラリーが必要です。
・通訳
通訳は、国際会議や商談、著名人インタビューなどのシーンで活躍する仕事です。話者の話を即座に翻訳する「同時通訳」、ある程度まとまったところで翻訳する「逐次通訳」などの方法があります。いずれも国際的な常識と対話内容に関する専門的知識にもとづき、発言内容を的確かつ迅速に表現する英語力が求められます。
・経営・戦略コンサルタント
クライアント企業の依頼を受けて経営課題を分析し、解決策提示や新たな戦略を考案するのが経営・戦略コンサルタントです。担当するクライアント企業が外資系企業だったり、日系グローバル企業が海外展開するためのプロジェクトだったりする場合、チームや関係者に外国人がいることは珍しくありません。
このような海外に軸足を置いたプロジェクトにおいて、英語力を持つコンサルタントは、価値のある人材として高く評価されます。
未経験で英語を使う仕事に就くためのポイント
実務未経験で英語を使う仕事に就くには、求められる英語レベルを把握したり、実務経験を何らかの手段で積んだりする必要があります。英語を使う仕事に就くために意識すべきポイントを解説します。
仕事で実際に求められる英語力を知る
志望業界・職種がある場合、まずは就きたい業種や職種を絞り込んだ上で、自分の英語力で問題なく仕事ができるかどうかを確認しましょう。その仕事で実際に求められる英語力と、自分の英語力に乖離がある場合は、必要な英語レベルに近づくための努力をする必要があります。
履歴書などに記載する客観的指標がない場合は、英検やTOEICなどの資格試験にチャレンジして測定することもおすすめです。
実践的なビジネス英語を学ぶ
ビジネスの現場では、高度で専門的・実践的な英語力が求められます。即戦力として認めてもらえるよう、日常会話に使う英語ではなく、ビジネス英語を学び直しましょう。
最近では、オンライン英会話レッスンも充実しています。現職と両立しながら学びやすい環境が整っているので、活用してみてください。
英語を使う仕事の実務経験を積む
即戦力が求められる業種・職種が多く、いきなり正社員として採用されるのが難しいようなら、派遣社員やパートタイムなどの勤務形態で、英語を使う仕事の実務経験を積む方法があります。自分の英語力を人材サービスの会社に伝えておけばそれに適したレベルの仕事をアテンドしてくれるため、現時点の自分の英語レベルを把握するのにも役立つでしょう。
特に、外資系企業においては雇用形態の区別があまり明確ではなく、派遣社員であっても責任ある仕事を任せてもらえる可能性が高いのが特徴です。新卒の正社員として入社するのが難しい大手の日系グローバル企業や外資系企業で働けるチャンスがあるのも、派遣社員の特権といえるでしょう。
ただし、外資系企業の場合は即戦力を求めていることが多いため、頻繁に英語を使用するポジションの場合は、入社時点で一定レベル以上の英語力が必要となります。
英語を使う仕事に詳しい転職エージェントに相談する
履歴書や職務経歴書、および面接で英語力をアピールする場合、言葉の選び方や記載の仕方などに工夫が必要です。外資系企業や日系グローバル企業とのコネクションが太く、英語を使う仕事の案件を豊富に抱えている転職エージェントに、応募書類のチェックや面接対策の相談をしてみるのがおすすめです。
未経験からのチャレンジならRGFに相談しよう
一定以上の英語力がある人にとって、能力を活かして働きたいと思うのは当然のことでしょう。しかし、意欲が高くても、実務未経験あるいは実務経験が少ない場合、なかなか転職先が決まらないこともあるかもしれません。
そんなときは一人で悩んでいるより、「英語力を求める仕事」の実情を熟知している転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
外資系企業の転職に強いRGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンは、未経験者の「英語を使う仕事に就きたい」という相談にも、しっかりと寄り添います。RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンに、ぜひご相談ください。
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンでは、外資系・日系グローバル企業の案件を中心に、国内外のさまざまな優良企業の採用活動を支援しています。そのため、それぞれの方が求める最適なキャリアの選択肢をご紹介可能です。
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