外資系企業に転職する際は、「グローバルな環境で実力を試したい」「キャリアアップしたい」といった思いがあるでしょう。しかし、入社後に日系企業とのカルチャーや仕組みの違いにとまどい、活躍のチャンスを逃してしまう人は少なくないようです。
外資系企業で実力を発揮するには、事前に外資系企業ならではの特徴を知っておくことが大切です。今回は、外資系企業の特徴についてご紹介します。
外資系企業とは?
はじめに、外資系企業の定義について確認しておきましょう。外資系企業と一口にいっても、その種類はさまざまで、明確な定義は定められていません。
最も多いのは、外国の企業が日本で設立した日本法人(100%子会社)を外資系企業と呼ぶ場合です。Googleのように資本に余裕があり、進出前から日本でも著名な企業がほとんどでしょう。
次に、外国企業が日本に進出するにあたって、日本企業と共同出資で会社を設立した場合です。出資比率はケースバイケースですが、外国企業の出資比率が高いと、外資系企業と呼ばれることがあります。
また、海外の企業に買収された日本の企業を、外資系企業と呼ぶこともあります。基本的には経営権が買収先に移りますが、中には戦略的な理由で日本の企業が経営権を維持したままのこともあります。英語が公用語になったり、上司が外国人になったりと、社内にドラスティックな変化が起きやすいパターンです。
このほか、外国の企業が日本に進出する際に設置した日本支社・営業所を、外資系企業と呼ぶこともあります。
外資系企業の特徴とは?
さまざまな形がある外資系企業ですが、どのような特徴があるのでしょうか。一般的な外資系企業の特徴を見ていきましょう。
1 社員は全員即戦力、研修や育成制度が少ない
外資系企業では、社会人としてのスタート地点が「どの企業に入るのか」ではなく、「どの職種を選ぶのか」にあります。転職の際も募集要項とのマッチ度を重視して、その職種ですぐに活躍できる技術や経験を持った即戦力を採用します。
そのため、基本的に研修や育成制度といった「入ってから育てる」仕組みがほとんどない場合もあります。
2 過去の転職回数はあまりチェックされない
日系企業の転職活動では、転職回数が多いとそれだけで「今度もすぐ辞めるのではないか」「トラブルメーカーなのではないか」といった、マイナスイメージを持たれる可能性があります。このように、不利な状態からスタートしなければならないのは大変です。
一方、外資系企業の場合、過去の転職回数はあまり問題にされません。チェックされるのは、「なぜ転職したのか」という理由と、「それぞれの企業でどのような仕事をしてどのような成果があるのか」という実績のみ。各企業で結果を出した上でのキャリアアップの転職であれば、むしろ歓迎されるでしょう。
3 完全実力主義・成果主義
外資系企業では、年齢や社歴などに関係なく、採用後に成果を出せるかどうかが評価の基準となります。プロセスを含めて、目に見える成果を出した人だけに昇給・昇格のチャンスがあるのです。
もちろん、給与も成果によって決定されます。
4 年収が高い
外資系企業には、日系企業に比べて年収が高いというイメージがあります。そうしたイメージは、ある意味で正しく、ある意味で間違っています。実情を理解せずに転職すると、「こんなはずじゃなかった」というミスマッチにつながりがちですから注意しましょう。
外資系企業の年収が高い理由には、大きく下記の3つがあります。
成果が給与に反映される
外資系企業は絶対的な成果主義で、年齢や性別にかかわらず、結果を出せば給与に反映されます。同じ年齢、同じ職種であっても、日系企業の同期より年収が高いことは十分考えられます。反対に、ずっと成果を出せないでいれば、年収が下がる可能性もあることに注意が必要です。
福利厚生に力を入れていない
日系企業では、通勤手当や家族手当、住宅手当など、社員の働きやすさを考えたさまざまな福利厚生を用意しているところが多いです。しかし、外資系企業は、「会社は仕事をするところ」と割り切って、ほとんど福利厚生がないところも珍しくありません。
最近では、日系企業並みに福利厚生を充実させている企業もあるようですが、福利厚生が少ない分、月々の給与に上乗せされていると考えられます。
退職金制度がない
組織のために働くという概念があまりない外資系企業では、いわば尽くしてくれた見返りともいえる退職金という概念もありません。福利厚生同様、退職金の分も月々の給与にプラスされています。
5 個人主義
外資系企業の人付き合いは、ドライだといわれています。仕事とプライベートは完全に別と考える人が多いので、会社の人間関係を終業後まで引きずって、付き合いを強制されたりすることはありません。イベントやお祝いはもちろんありますが、あくまでも皆で楽しく過ごそうというもので、程良い距離感が保たれています。
日系企業のようなファミリー感はない代わり、仕事に集中できる環境だといえるでしょう。「自分の仕事が終わっても、チームの仕事が終わるまでサポートするのが美徳」というような、日本的な考え方とも無縁。チームワークは重視するけれども、自分のやるべきことをしっかりやったら、無駄な残業はしないというのが外資系企業では一般的です。
6 一人ひとりの裁量権が大きい
外資系企業では、若くても入社したばかりでも、「できる」と判断すれば、思い切って仕事を任せてくれます。もちろん、期待値を込めての割り振りなので、うまくいかなかったからといって、すぐに評価が落ちることはありません。その人の実力よりもレベルが上で、裁量権が大きい仕事を任せて自信をつけさせ、積極的な姿勢を引き出すのが外資系企業の育成方法です。
7 効率重視
コストよりも合理性と生産性を重視し、効率的な仕事を推奨するのが外資系企業の基本スタンスです。
例えば、出張の宿泊場所を選定するにあたり、現場から遠いけれども安いホテルと、現場に近くて少し高いホテルがあったら、迷いなく後者を選ぶでしょう。
移動で疲れて仕事の気力が失われるくらいなら、経費がかかっても効率良く仕事をするという考え方です。
8 スペシャリストになれる
日系企業には、定期的に部署を移動させ、さまざまな職種を経験させるジョブローテーションを行う企業が多くありますが、外資系企業にはほぼないと考えて間違いないでしょう。ジョブベースで採用しているので、キャリアの初めのころに適性がないと判断された場合を除いては、人事異動して別の職種で適性を見ることはありません。
働いている側も、ひとつの職種を極めたプロフェッショナルであることを前提に働いていますから、職種の横断を望む人は少ないでしょう。徹底してスペシャリストを目指せるのが、外資系企業で働くメリットです。
外資系企業に転職するためには?
ここまでご紹介した外資系企業の特徴を踏まえて、外資系企業に転職するために何が必要か考えてみましょう。
スペシャリストとしての実績
前述したように、外資系企業はジョブベースの採用で、その人が持つ実績とスキルを評価して採用を決定します。転職を成功させるには、その職種のスペシャリストとして、第三者を納得させるだけのスキルや実績を持っておく必要があります。
昇進を目指すなら英語力
「外資系企業はハイレベルな英語力が必須」と思っている人は少なくありません。しかし、取引先のほとんどが日本企業だったり、上司や同僚が日本人ばかりだったりするポジションでは、英語力は問われない場合もあります。
ただし、外資系企業でキャリアアップしていくと、レポートライン(指揮命令系統)が海外になったり、外国人の経営層と接する機会が増えたりするため、ビジネスレベルの英語力が必須です。目安として、マネージャー以上を目指すなら、入社後にでも英語の勉強をしておくことをおすすめします。
はっきりと自己主張できる力
強すぎる個性や主張が敬遠される日系企業と違って、外資系企業では積極的に自己アピールしなければチャンスをつかみ取ることはできません。日本で美徳とされる謙遜も、外資系企業では「意欲のない人」「仕事ができない人」という評価につながる可能性があります。
常にポジティブな意思表示をし、積極的に自己主張していかなければ、外資系企業で生き残っていくのは難しいでしょう。
柔軟に異文化になじむ姿勢
外資系企業では、さまざまな国籍を持つ人が働いています。国籍が違えば、常識も、考え方も違って当然です。異質なものを遠ざけたり、違いを受け入れるのが難しかったりする人は、外資系企業になじみにくいかもしれません。
多彩なバックボーンがあること、その違いがさまざまな発見をもたらしてくれることを、「おもしろい」と思える柔軟性が必要です。
チームで活躍した経験
外資系企業は、個人主義かつ成果主義です。自分自身が成績を残すことに集中しなくてはなりませんが、チームでの成果も重要です。
チームで仕事をして成果を出した経験はもちろん、チームの中でメンバーを率いて実績を残している人は、評価されやすい傾向があります。
効率的な働き方を模索できる力
効率性、合理性を重んじる外資系企業では、成果だけでなくそこに至るプロセスも重要。どれだけ結果を出しても、そこに至るまでに時間をだらだらと費やしていれば、評価はマイナスです。与えられた環境の中で、どうすればよりスピーディーに成果を出すことができるのか、模索する姿勢と力が必要です。
また、自分が何を目的に何をしているのかを、定期的に上司に知らせる必要があります。上司はマネジメントすることが仕事ですから、部下が何をしているのかわからなければ仕事ができません。そのためにも、効率的な働き方を模索することと、それを報告することが必要です。
外資系企業らしさは企業によって異なる
ここで挙げた外資系企業の特徴はごく一般的なもので、すべての企業にあてはまるとは限りません。「外資系企業」とひとくくりにせず、企業ごとにしっかりと下調べをして、風土やスタンスが自分に合うかしっかり見極めることが重要です。
転職活動をより有利に進めたいと思ったら、外資系企業専門の転職エージェントを利用して、外からはわからない企業の雰囲気やマッチする人材像について情報収集することをおすすめします。
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