元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは「グローバル人材の定義」です。
何をもって「グローバル」とするかには様々な考え方があります。最もグローバルな人材とは、自力で専門性と英語力を身につけ、海外にわたって就労ビザをスポンサーしてくれる企業を探せる人かもしれません。ただそれぞれに事情もあり嗜好も違うので、必ずしも全員が海外を目指すと訳ではありません。本日は日本に存在する外資系企業で外国人と仕事をする環境下を思い浮かべながらお話します。
私は、グローバル人材を「いつでもどこでも誰とでも仕事ができる」人材と定義しています。それぞれの意味を詳しく見ていきます。
いつでも
これは「時差」と関わりながら仕事することを意味します。海外とオンライン会議と言うと格好よく響きますが、実際は時差の関係で夜の10時からテレコンに参加するようなことが起こりえます。外国語で参加するのですから、一生懸命ヒアリングし、何か気が利いたコメントや質問を発しなければいけません。頭を活発に使っているうちにアドレナリンが出て眠れなくなることもあったりします。もちろん外資の場合は、翌朝は遅めに出社して良いなど配慮があるので、通常通りに出社することが期待されている日本企業よりだいぶ楽です。
どこでも
これは、ホーム(自分の国)とアウェイ(海外)に分かれます。
Home ホーム
日本に存在する外資系企業に勤めている場合は、文化的に慣れた環境で仕事をしているのでカルチャーギャップは比べると小さいといえます。海外に暮らした経験がない方は、外資=海外と思うことがあるようですが、日本人率が高い場合は意外と日本的だったりと、日本の文化・生習慣の影響を強く受けています。自分の上司が外国人になったら、または本社やアジア・パシフィック本部に出張するようになったら、相手の文化に対する尊敬の念を表すなど多様性とともに仕事ができるようにならないと出世できません。
Away アウェイ
ここでは自分が日頃生活している国以外に出張する場面を思い浮かべてみます。すべての国が先進国ではないので、飛行場に着いた瞬間に大きなカルチャーギャップを感じることもあります。はじめての出張先で100%の実力を出す事はなかなか難しいので、前もって行き先の生習慣や特徴的な国民性などを調べておく、またその国詳しい同僚がいたら話を聞くなど備えが肝心です。
一言にするとAwayでのビジネスでは想定外対応能力が試されますので、くれぐれも「日本だったら~」発言をしないようにしましょう。
誰とでも
これは年齢・性別・人種・宗教・ LGBRQなどすべての多様性を表します。現在日本企業にお勤めの方は、無意識のうちに年功序列・男性優位の企業文化に慣れています。転職先の外資系企業では全く通用しないのでどうか気をつけてください。
外資系の大きな特徴は成果主義であることです。相手が女性でも自分よりはるかに年下でも、実績をあげていれば自分より役職は高くて当たり前です。無意識のうちの差別がポロっと口から出てしまわないように、カテゴリーベ別にNG具体例を挙げておきます。
年齢: 大手日系メーカーから部長として転職された方が、昇進を決める際に「彼/彼女はまだ若いから」発言が多くて困りました。本部長「年齢関係ないから」と注意されました。
性別: 私自身は25年間外資系にいて女性で不利だと思ったことは、1度しかありません。その1度は大手商社の社員の方が、3次面接官として入手した私の顔見た瞬間に、「え、女が出てきた」と顔に表した時です。企業文化の差を感じました。
宗教: 日本は無宗教とも言えるので、深く信じる宗教がある方のニーズを理解することが難しいこともあります。特に出張者を迎える時には、食事に始まり日々の行動でNGは何なのかを調べておきましょう。例えば、イスラム圏から金曜日を日本で過ごすことになる出張者を迎えるなら、ハラルの食事だけでなく金曜日にお祈りをする個室/会議室の確保も必要です。私は率直に「あなたが来日して困るといけないので、日本にあるかどうか疑問なことを教えておいて欲しい」と尋ねることにしています。自分のことなので、詳しく教えてくれます。
人種: 私は、米国オハイオ州に出張した際に、大きなショッピングセンターで頭のてっぺんから足のつま先までジロジロ見られた経験があります。理由は簡単で、私がその場にいる唯一の黄色人種だったからです。アジア人を下に見る日本人がまだ多いですが、態度に出ないようにしてください。
LGBTQ: 日本における許容度が高くなることは良いことです。感受性豊かで優しい方が多い傾向にあります。仕事をする上での経験値・スキル・資質に全く影響がないことを何度も経験していますので、もちろん職場では対等でありたいものです。
皆さんは、「いつでもどこでも誰とでも」英語で仕事ができる人材」でしょうか? 世界のビジネス公用語はこの先も英語であり続けるでしょう。AIがどれほど進化しても、語学習得に伴う異文化理解を皆さんにロボットが教えてくれる事は無さそうなので、英語力も向上させながら真のグローバル人材を目指してください。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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