元・外資系人事部長、10,000人を面接したグローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、「外資系企業と日本企業の違い - 仕組み編」です。
1. 年功序列でない
まずは企業の仕組みについてですが、外資系企業は年功序列でないのが大きな特徴です。もちろん、日本企業も少しずつ変わり始めてはいますが、一般的にはまだまだ年齢や性別が関係するのが実態です。
外資系が年功序列ではないことが如実に現れるのは「評価」です。会計年度の冒頭で、上司と1年間の目標を設定します。内容は勤務態度などではなく、成果・結果として可能な限り測定できる目標です。1月が会計年度のスタートであれば、6月位に中間レビューを上司と行います。ほとんどの場合は進捗の確認ですが、年初と大きく環境が変わったなど、目標設定そのものを見直す必要がある場合は、中間レビューの面談で目標を変更します。会計年度末に最終の面談をして、その会計年度の評価が決まっていくことになります。
このプロセスに年齢・性別は全く関係がなく、何年度入社の社員であるかは全く考慮されません、外資系は成果主義なので、実際に結果を残せた人が高く評価されることになります。昇進は、勤務年数に関係なく決まります。実力ある人が、自分の昇進の順番を待つことはありません。外資に入社した新卒社員のその後は、10年でかなり差が出ます。
ただ、昇給も昇進も予算がありますし、人間が行うことなので100%の絶対主義ではないです。
2. 中途採用が圧倒的に多い
日本企業の場合は、新卒社員が4月に一斉に入社するのがシステムです。成果主義の外資系は、700名くらいの規模にならないと、そもそも新卒採用を行いません。理由は、即戦力を重視するからです。日本で新卒社員を採用すると言う事は、全く実務経験がない人の育成を意味します。新卒社員の教育にかける時間、お金、労力を考え、それだけの余力があり、日本市場に長期間コミットすると決めている会社だけが、外資系でも新卒採用を行えるのです。
いろいろなタイミングで、多種多様な背景・経験を持つ人たちが採用されるのが外資系企業です。私の例で言うと、日本GEに入社した日に、転職入社したある部署の責任者(Director)と一緒に会社説明を聞きました。彼には簡単な内容だったと思いますが、私には難しかったことを覚えています。「これはしっかりしなければ」と覚悟した記憶があります。
中途採用が圧倒的に多い外資系は、その時点で多様です。価値観や仕事のやり方の違いを許容する土壌を、最初から持っています。他の人と同じであることを良しとしない個性強いタイプの人材が、働きやすい環境です。外国人社員、異文化がときどき衝突しながらも、多様な意見が出される職場で、「協働」の意味を理解出来る方が成功します。
3. 短期志向の経営
外資系のトップは、常に株主を見て仕事をしていると言えます。上場している企業は自社株の株価に敏感です。必然的に経営の視点が短期的になりがちで、長い目で見て人材を育成できる会社は一握りです。実務経験がある中途採用を重んじるのは、即戦力を活用して利益をあげたいからです。中長期計画は存在しますが、あっという間に舵を切り直し計画が変更になるのも外資系の特徴です。
外資系では転職して1年もかけないと、職場に馴染めず力を出せない人材は求められていません。せいぜい3か月で立ち上がり会社への貢献をスタートできないと、社員は3年くらいで転職するかもしれないので、会社側からすると割りに合わないのです。
4. 明確な職務記述書が存在する
よく日本企業の仕事のやり方は、全員での草野球と言われます。ボールが地面に落ちないように、全員でカバーし合う文化です。外資系では個人の仕事内容が、職務記述書(Job Description)で明確に定められています。JDを元に採用が行われ、JDと毎年の目標設定を軸に仕事が遂行されます。つまり、「それは私の仕事ではありません」と発言する社員が出てくるということです。私自身もアメリカ人のボスが、あまりにdemandingで、”That`s not my job.”と言ったことがあります。
これから初めて外資系に転職する管理職の方は、放っておいても誰かがカバーしてくれると思わないことが肝心です。追加の仕事を頼む時、成果が出た時、言葉かけに配慮が必要です。初めて転職するスタッフの方は、大人し過ぎて自分の仕事でないタスクを背負うことにならないよう注意が必要かもしれません。
個性を活かすことができて、成果主義の外資系にチャレンジすることで、働きがい・やりがいを得られる人材はたくさんいるはずです。日系企業との違いを理解して、ぜひ挑戦してください。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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