元・外資系人事部長、1万人を面接したグローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、「外資系と日本企業の違い – 求められる人材像」です。
前回のコラムは、外資系企業と日本企業の違いを「仕組み」という観点から書きましたが、今回は「求められる人材像」という切り口で違いを説明します。外資系で求められる人材は一言で言うと、「多様性を受け入れ、英語でロジカルに発表・主張できる」人材です。具体的に一つずつ見ていきましょう。
1. 多様性と協働できる柔軟性
多様性と協働できるかどうかは、外資系においては必須不可欠です。
外資系の日本法人では、本社からの駐在員(外国人)・中国人・韓国人と働くことがまずスタートラインです。その上に、世界各国から日本に集まっている人材が同僚にいて、最終的に何カ国の社員と仕事をすることになるのかはオフィスによって異なります。私自身、25年間外資系に勤め、社員が全員日本人だったことは一度もありません。
人種だけではなく、同じ仕事をしているのであれば性別も年齢も関係ないのが外資流です。LGBTも自然に受け入れられており、シリコンバレーに本社があるIT企業の人事責任者を務めていた時、本社在籍の私の上司も彼の同僚もLGBTでしたが、全く誰からの偏見もなく自然に仕事をしていました。自分もそのように振舞えなければ外資系で成功するのは難しいことになります。
2. アサーティブネス
該当する日本語訳が存在しないので、カタカナ語になっている概念です。強いて訳せば自分の意見を上手に主張する、自己PR力になります。謙虚の美徳という概念が存在する日本では、「和」を乱すことになるかもしれない自己主張はあまり歓迎されませんし、自分を主張するように教育もされません。しかしながら、英語圏では自分の意見を人前で述べられることを、幼稚園から教育されています。例えば、”My family”というお題で、4歳の子がクラス全員の前で発表するのは当たり前なのです。
私は教育を日本で受けているので、外資系に初めて入社した時、自分の意見を簡単に曲げないで伝える事に苦労しました。しかし時が経つにつれ、元来ストレートな英語で明確に発言する事に慣れていきました。最初は少し大変でも、アサーティブな人が多い環境にいれば自分も変わっていく事ができます。
3. 論理的
英語はロジカルな言語なので、外資系自体が論理的思考を求める職場です。散漫とストーリー的に話をするのではなく、まず結論が来て、サポートする根拠・理由を1、2、3と述べるのが鉄板のフォーマットです。
もちろん、生まれながらに論理的な人ばかりではありません。例えば私は100人並んだら1/3の人は自分より論理的、つまり大して論理的ではなく生まれています。それが現在セミナーを開催すると感想に「ロジカルでわかりやすかった」と書かれることが多いのです。最初の職場、GEでの初めての上司があまりに論理的で、彼女と接しているうちに学んだと考えます。論理的思考は後天的に学べるビジネススキルです。書籍もたくさん出ていますし、セミナーも開催されているので、必要な方は外資に移る前に強化しておくことを勧めます。
4. 英語力
外資系でどのくらいの英語力が必要かは、ひとえにポジションによるので詳しくはまた別の機会にコラムで伝えます。現在は、ポジションの高さに関係なく、どのくらい日本人以外の社員と仕事で関わるかが鍵です。
実例を挙げると、入社2年目のエンジニアが、中国・インド・オーストラリアのエンジニアと協働するプロジェクトに参加するのであれば、TOEIC850くらいの英語力が必要です。法務部のNO.2で上司が日本人であれば、日常の仕事にほとんど英語は必要ないかもしれません。
どのくらいの英語力が本当に求められるのかが気になる人は、面接で確かめてください。現在の英語力を少し高めに伝え、入社してから海外との電話会議が多くてついていけない人がいる一方、TOEIC600点くらいで入社して、日常業務で鍛えられて英語力が短期間で伸びる一方の人もいます。英語力が足りないと思い込んで外資系に挑戦しないのは勿体ないです。
本日は、外資系で求められる「多様性を受け入れ英語でロジカルに発表・主張できる人材像」についてお話ししました。自分に足りない要素があるようでしたら、強化する努力を始めましょう。
応援しています!
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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