外資系IT企業への転職活動は、日系IT企業とは異なるポイントがあることに注意しましょう。
この記事では、外資系IT企業の業種・職種のほか、平均年収や社風を紹介します。さらに、転職のメリット・デメリットや転職時に求められるスキルのほか、転職時の注意点を解説するので、参考にしてみてください。
外資系IT企業は大きく3つに分けられる
外資系IT企業とは、海外に拠点がある会社法人や、外国人の投資家が一定比率以上投資して成り立つIT企業を指します。具体的には、下記の3パターンに分かれます。
海外企業の100%子会社型IT企業
海外企業の100%子会社型IT企業は、海外企業が日本に進出するにあたり、100%出資子会社を日本に設立するケースです。日本拠点として、原則的に海外の親会社の意向に沿った意思決定を行います。
海外企業と日系企業が共同出資したIT企業
共同出資型の外資系IT企業は、海外企業と日系企業がパートナーとして共同出資したパターンです。出資比率によって経営方針を主導する側が変わりますが、外資系IT企業は、海外企業の出資比率が高くなります。
海外企業の傘下に入った元日系IT企業
元日系IT企業が、M&A(企業の合併と買収)で海外企業の傘下に入るケースがあります。この際、経営権は買収した海外企業側に移る場合と、日本の市場をよく知る日本側に残される場合があります。
業種別・外資系IT企業の特徴
外資系IT企業は、大きく5つの業種に分けられます。ここでは、外資系IT企業の業種ごとの特徴について見ていきましょう。
外資系メーカー
外資系メーカーは、海外で開発されたハードウェアやソフトウェアを、日本向けにカスタマイズして販売します。メーカーとベンダー両方の事業を有する企業もあるため、外資系においてメーカー・ベンダーは同義で使われるケースもあります。
外資系ベンダー
海外で開発され、日本向けにカスタマイズされたハードウェアやソフトウェアを、日本国内で販売するのが外資系ベンダーです。外資系メーカーとよく似ていますが、「メーカーは製造元、ベンダーは販売元」と区別するとわかりやすいでしょう。
市場に出ている求人はセールスがメインで、エンジニアの募集は少なめです。代表的な外資系ITベンダーには、インテル、日本マイクロソフトなどがあります。
外資系コンサルティングファーム
外資系コンサルティングファームは、クライアントの経営課題を洗い出し、適切なソリューションを提供する事業を行います。業務改革を行う業態と、戦略立案を主とする業態に分かれます。
市場の求人はITコンサルタントが中心ですが、提供するソリューションによって業務内容は異なります。代表的なのは、組織に合ったIT環境を戦略的に構築するITマネジメント戦略コンサルタント。また、経営資源の適切な管理・分配活用提案をするERPコンサルタントや、顧客管理システム導入で業務効率化しながら成長を支援するCRMコンサルタントなどもあります。
ITに強い外資系コンサルティングファームの代表的企業として挙げられるのが、アクセンチュアやガートナージャパンです。
外資系金融
金融とITを組み合わせたFinTech領域にも多くの外資系企業が参入しています。FinTechの波に乗る外資系IT企業には、世界的に利用されているPayPalなどのサービスがあります。サービス企画、セールスなどのビジネス職に加え、エンジニア系職種など多岐にわたる求人があります。
外資系WEB関連サービス
外資系WEB関連サービスには、日本でも日常的に使用されることの多いTwitterやGoogle、アマゾンジャパンなどの企業があります。サービスを研究・開発するエンジニアから、セールス、マーケティング、広報、さらには経理・人事・総務といったバックオフィス部門まで、幅広い職種の求人があります。
外資系IT企業の社風
転職する際、気になるのは転職先企業の社風です。ここでは、外資系スタートアップ企業と外資系大手企業に分けて、外資系IT企業の社風を見ていきましょう。
外資系スタートアップ企業の社風
Uber JapanやZVC Japanといったスタートアップの外資系IT企業は、人材が多様性に富んでいます。外資系企業経験者やIT企業経験者をはじめ、異業種からの転職者、スタートアップ企業の立ち上げ経験者など、多様なバックボーンを持つ人材が集まる傾向があるからです。
外資系企業の社風にある実力主義でドライな社風が、スタートアップ企業ではまだ確立されていないケースもあります。組織がやや不安定な一面もありますが、自身の成長とともに会社が成長し、社風が形づくられていく過程を実感できるのも、スタートアップ企業で働く醍醐味のひとつです。
大手外資系企業の社風
SAPジャパンや日本アイ・ビー・エムなど大手の外資系IT企業には、長年培われた独自のカルチャーがあります。一般的にイメージされる「成果主義、個人主義」の企業もあれば、和気あいあいとした雰囲気の企業もあります。
そのため、スタートアップ企業以上にカルチャーフィットが肝心です。ポジションとの親和性が高く、積み重ねてきた経験が生きる業務内容だとしても、「社風に合わない」と感じてしまうと長く働くことは難しいでしょう。応募前に各企業のカルチャーにも詳しい転職エージェントから情報を得て、相性を見極めてください。
外資系IT企業への転職のメリット
外資系IT企業に転職すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。外資系IT企業で働く2つのメリットについて解説します。
成果に応じて評価される
外資系IT企業は、原則として雇用期間内の実績とスキルのみで評価する成果主義です。日系企業のように年齢や勤続年数、学歴、性別などの要素が評価に影響することはありません。
成果を出した人が成果の分だけ評価されるシンプルな仕組みなので、実力がある人にとっては納得感の高い制度です。また、モチベーションも高く維持し続けられるでしょう。
世界の最先端でスキルアップできる
外資系IT企業には、ITに関する最新の知見が集まっています。AIやメタバース、NFTなど、さまざまなアイディアやプロダクトが外資系IT企業から生まれたことはいうまでもありません。
日進月歩のITテクノロジーやそれを支えるスキル、ノウハウをいち早く吸収し、トレンドの最先端で成長できることは、IT業界で長く働きたい人にとって大きなメリットといえます。
外資系IT企業への転職のデメリット
外資系IT企業で働くことに、デメリットがないわけではありません。外資系IT企業で働くことで生じるデメリットについても挙げておきます。
激しいトレンドの変化についていく必要がある
変化の激しいIT業界では、これまで身につけたスキルやプログラミング言語が、明日にはもう古びている可能性があります。IT業界のトレンドに取り残されないよう、常にスキルの更新や知識の習得に追われることになるかもしれません。
即戦力としての活躍が求められる
外資系企業では、業務に対して求めるスキルや経験を設定し、即戦力の中途人材を採用するジョブ型雇用が基本です。
一方、日系企業では、総合職として新卒一括採用・終身雇用するメンバーシップ型雇用が今も多く採用されています。日系企業のように時間をかけて成長する環境に慣れていて成果が出せなければ、ポジションを失うおそれもあります。
外資系IT企業が求める職種とスキルとは?
外資系IT企業では、どのような職種やスキルが必要とされるのでしょうか。応募職種とその業務内容のほか、求人で必要とされているスキルについて解説します。
システムエンジニア・WEBエンジニア
クライアントの要望をもとに、システム設計・開発するのがシステムエンジニア(SE)です。WEBサイトやアプリを作るWEBエンジニアもありますが、どちらもクライアントやチームメンバーとともにものづくりをする仕事で、コミュニケーション能力、調整能力は必須でしょう。
ただ、開発を海外で行っている外資系IT企業が、国内でエンジニアを募集しない場合があります。そのため、外資系IT企業で働きたいと考えているエンジニアは、スキルや経験が活かせる他業務も検討してみてください。例えば、開発視点からクライアントに説得力ある提案ができる営業支援系、コンサルティング系、またシステムを理解しているからこそ正確な対応ができる顧客支援系などが挙げられるでしょう。
プログラマー
外資系IT企業のプログラマーは、エンジニアがクライアントの要望をヒアリングしてまとめたシステムの設計書のとおりに、システムやソフトウェアの基礎となるプログラミングを行います。
開発ジャンルによって必要なプログラミング言語が異なるため、転職希望先で求められている言語を習得していることが大前提です。プログラマーというと個人で取り組むイメージがありますが、実際にはプロジェクト単位、チーム単位で仕事をすることが多いため、協調性も欠かせない要素です。また、自分以外の人が見ても、わかりやすいコードを書く力も求められるでしょう。
プロジェクトマネージャー
外資系IT企業のプロジェクトマネージャーは、プロジェクトを成功に導くため、全体を統括・牽引するポジションです。メンバーそれぞれに適した仕事を割り振るリーダーシップ、納期に間に合うよう進捗を管理する調整能力など、求められる能力は多岐にわたります。
プログラマーやエンジニアの進捗やキャパシティを見てさまざまな判断をしたり、全社的な経営方針を踏まえてプロジェクトの方向性を管理したりする必要があります。関連職種の知識や理解、幅広い目配りも重要です。
コンサルタント
外資系IT企業コンサルタントのミッションは、クライアントが抱えるIT関連の課題解決です。さまざまな角度からリサーチや分析を行った上で、課題解決と実行支援のためのプランを提案します。
ITに関する知識はもちろんですが、クライアントのビジネスに関する深い理解や知見なしに、仕事は成立しません。論理的な思考力や高いプレゼン能力なども求められます。
セールス
セールスに必要な力といえばヒアリング能力や交渉力が思い浮かびますが、IT企業においてはプロダクトやサービスの特性、他社製品と比較した際の優位性などを理解していなければ、提案に説得力が生まれません。そのため、IT関連のトレンドや知識はキャッチアップしておきたいところです。
外資系IT企業の転職選考時の注意点
外資系IT企業への転職を目指す際、書類選考や面接選考において注意すべきことがあります。ここでは、主な注意点を4つ解説していきましょう。
実務経験や専門性をアピールする
外資系IT企業は、即戦力採用が基本です。これまで培ってきた実務経験や専門性の高さをアピールする必要があります。
5W1Hの5Wを踏まえて書く・説明する
応募書類においては、情報を的確に伝える必要があります。「5W1H」のうち、「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「どうして(Why)」の5Wを意識した応募書類を作成しましょう。
数字を入れて具体的に説明する
即戦力採用のエンジニアやプロジェクトマネージャー、セールスは、これまでの実績を数値で説明します。関わったプロジェクトの成果や、セールスなら目標に対する売上実績、経営への貢献度などを具体的な数字で示してください。
英語力をアピールする
外資系IT企業で求められる英語力のレベルは業務内容や性質によってさまざまですが、重要であることは間違いありません。本国とのやりとりが多い外資系企業では、やはり英語力がある人材が重宝されるため、忘れずにアピールしましょう。
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