多くの応募書類に目を通す人事担当者が、ひとりの書類の可否を判断するために要する時間はどの程度でしょうか。
実際のところ、書類1枚当たり1分もかからないこともあります。そのような中で求職者は、まず人事担当者に話をしてみたいと思わせなければいけません。
それでは、ゲームクリエイターは、どのように担当者の目を引けばよいでしょうか。 企業が採用をスタートすると、毎日数多くの応募書類が届きます。特に大企業や注目の成長企業ではその傾向が顕著で、一つのポジションに対して数百件もの応募があることも珍しくありません。
まず取り組むべきことのひとつが、ポートフォリオを充実させることです。クリエイターにとっての名刺ともいえるポートフォリオを充実させることで、担当者の目を引き、興味を持ってもらう確率が高くなります。
そこで今回は、ゲームクリエイターが知っておくべき魅力的なポートフォリオを作るための5つのポイントを解説していきます。
ポートフォリオとは?
前述の通り、ポートフォリオはクリエイターにとっての名刺です。クリエイターが転職活動をする場合、基本的にポートフォリオは履歴書や職務経歴書と同様に用意する必要があります。
ゲーム業界においてデザイナーはいくつかの種類に分類されます。そして、それぞれの分野において必要なスキルセットやツールも異なります。たとえば2Dと3Dという2つを比べてみても、必要なスキルや利用するツールは別のものになるでしょう。
企業の担当者はポートフォリオから、そのデザイナーがどの分野の専門家で、どのようなスキルセットを持っているかを判断します。そのため、ゲームクリエイターがポートフォリオを作る際には、自分の専門分野をアピールできるものを作る必要があります。
もちろんいくつかの分野では、スキルセットやツールに相関性があるため、自分ができることをアピールするためにポートフォリオへ載せておくことをおすすめします。たとえば、3Dモデリングのスペシャリストが、アニメーション制作の案件を載せておくことなどがこれにあたります。
ゲームクリエイターのポートフォリオには、作品以外にも次のような内容を盛り込むことができます。必要に応じて盛り込む内容を工夫し、ご自身の経験が分かるようにポートフォリオを作成してください。
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ゲームデザインの説明:担当箇所の作成にかかった時間、プロジェクトの内容等
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使用したソフトウェア:Photoshop、After Effect、3Dモデリングソフトウェア等
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アート:キャラクターのスケッチ、環境アート等
なぜポートフォリオが必要なのか?
ゲームクリエイターにとって、ポートフォリオを持つことは、これまでに行ってきた作業をアピールするための最速かつ最も効果的な方法です。そのため、履歴書よりもポートフォリオの方が重要だと言う人もいるくらいです。
これまでの経験をアピールするという側面から、職務経歴書に似ている部分があるポートフォリオですが、大きな違いは実際に作った作品を見せることができるという点です。実際に今まで作ってきた作品を見せることで、具体的にどんなことができるかを示すことができ、応募するポジションに対するマッチ度を判断してもらうことができます。
また、ポートフォリオがあると、面接担当者があなたのスタイルが企業やチームに適しているかどうかを判断する材料にもなります。たとえばファイナルファンタジーのようなゲームを作っているにもかかわらず、ポートフォリオ上のあなたのスタイルがClash of Clanに近いものだった場合、あなたのスタイルが企業の求めているものとは違うといえるでしょう。
応募先に合わせたポートフォリオを用意しよう
すべての企業・ポジションで使える汎用性の高いポートフォリオを使ってはいけないというルールはありません。しかし、デザインスタイルの異なる複数の企業に応募する場合は、それぞれの企業に合うような形で調整する必要があるでしょう。
もちろん様々な経験を持つ候補者を好む企業もありますが、一方で汎用的すぎるポートフォリオでは応募している特定の分野で十分なスキルや経験を持っていないと考える企業もあるため注意が必要です。応募する企業がどちらを重視するかは事前に確認しておくようにしておきましょう。
また、英文履歴書と同様に、特に決まったフォーマットはありません。必要な内容さえ含まれていれば、どのようなスタイルでも問題ありません。たとえばPDFで作成している人もいれば、ポートフォリオとして独自のウェブサイトを作成する人もいます。時には複数のファイルをzipでまとめて送る人もいます。
繰り返しになりますがポートフォリオに決まった形式は無いので、内容に漏れがないように注意しながら、オリジナルのものを作ってみてください。
魅力的なポートフォリオを作るための5つのポイント
それではゲームクリエイターが魅力的なポートフォリオを作るにはどうすればよいでしょうか。次の5つのポイントに注意してポートフォリオを作成してみてください。
1.プレゼンテーションの視点を意識する
ポートフォリオは単なる提出物ではなく、採用担当者へのプレゼンテーションの一種だということを忘れてはいけません。ポートフォリオに載せる作品は戦略的かつビジュアル的にも良い印象が与えられるようにアレンジし、採用担当者の目に留まるようにする必要があります。
また、それぞれの作品の詳細情報(所要時間、担当領域、ツール、アセットなど)は必ず最新の状態に更新しておく必要があります。これらの情報はすべて一貫性があり、きちんと整理されているかを意識し、プロが見たときに違和感がないようにしておきましょう。
2.高クオリティの作品の中からピックアップする
これまで取り組んだすべての作品を入れるのではなく、いくつかの作品を選んで紹介するようにしてください。ポートフォリオにすべての作品を載せると、人によっては膨大な容量になってしまいます。それは採用担当者にとってもあなたの専門性が分かりづらく、良いものではありません。
その代わりに、いくつかの重要な作品をポートフォリオに載せることで、採用担当者にとっても見やすく、ゲームクリエイター側も採用担当者に興味を持ってもらえる可能性が高まります。シンプルかつ自身のスキルや経験を最大限に良く見せられるような作品のみを選んでポートフォリオに載せるようにしてください。
3.完成済みの作品を選ぶ
これまで挙げてきたものと同様に、すでに完了したプロジェクトを優先的にポートフォリオに載せるということも重要です。特に採用担当者に自分のスキルを印象付けたい場合は、今までやり遂げた自分の中で印象的な作品をポートフォリオに載せた方が良いでしょう。
未完の作品でも自信のスキルを示すことは出来ますが、実際に完了した作品ほどのインパクトはありません。なぜなら、未完の作品は最終的なアウトプットと異なることがあるからです。自分の担当箇所が実際のゲームにおいてどのような役割を果たしているのかを示すことができるすでに完成した作品からは、より詳細な情報を知ることができます。
4.掲載順に注意する
最も自信のある最高の作品を最初に置いておくと、そのポートフォリオはより際立ちます。なぜなら、採用担当者はそれぞれの候補者の応募書類を、あまり時間をかけて見ないこともあるからです。はじめに最高の作品を見せることで、採用担当者がその他の作品に興味を持ち、最後までポートフォリオをしっかりと見てくれる可能性が高まります。また、担当者がその後の書類の確認に時間をかけられなかった場合も、最後まで良い印象を持ち続けることが期待できます。
ちなみにここで言う最高の作品とは、単に規模が大きいや多額の予算がかけられた作品ということではありません。それよりも重要なことは、あなたの仕事の質と、ゲーム作りに対する情熱が感じられる作品であるということです。
5.自分の担当箇所を明確にする
時には一つのプロジェクトを複数人でコラボレーションしながら担当することもあるでしょう。もちろんそのような作品をポートフォリオに含めても問題ありません。ただし、その場合は、自分自身がそのプロジェクトに対してどのように貢献したかを明確に示す必要があります。
採用担当者はチームでどのような作品を作ったかも重要視しますが、あなたが何を担当したか、何ができるのかを知りたいと思っています。実際に採用を検討しているプロジェクトやチームに必要な人材かどうかを判断できるようにするために、あなたが何を担当したかを伝えるようにしてください。
まとめ
これまで魅力的なポートフォリオを作るためのポイントを解説してきました。今回取り上げたポイントは採用担当者の目を引くという目的においては重要です。しかし、ゲームクリエイターがクリエイターである以上、何よりも大切なことはあなた自身が楽しんでポートフォリオを作るということです。楽しんで作ることであなた自身をしっかりと表現することができ、それが最終的に見る人の心を動かすことに繋がります。
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