元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。師走に入り例年であれば、EXPAT(本社からの駐在員)のクリスマス休暇帰国が始まっている時期ですが、今年はコロナで移動に制約があるせいか、12月になっても外資の採用活動はそれほどスローダウンしていないようです。キャリア相談や英語での模擬面接の依頼が通常より多く驚いています。今からクリスマスまでの1週間が年内の転職活動の勝負なので頑張ってください。
キャリア相談で「次の職場では英語を使いたい」とか「外資系に転職すれば英語が使えると思い、外資を希望しています」と言う方が多くいます。確かに外資系のビジネス公用語は英語ですが、どんなポジションでも全員英語を職場で使っているかと問われると実態は少し違います。本日は、より英語を使い方が企業選びをしやすいように、外資における英語を使う頻度についてお伝えします。
上司が外国人
上司が外国人の場合、職場では英語を使わざるをえません。最初の頃は細かなニュアンスが伝わらなかったり、複雑な話を英語で説明したりするのが大変なこともあります。ロジカル思考を身につけ上司が必要な内容にようやくする訓練になりますし、外国人にレポートできないようでは外資で昇進できないので、外国人を上司にできる機会があったら迷わずつかむことをお勧めします。
私は最初の職場のGEでは日本人女性が上司、モルガン・スタンレーに転職して2人続けてNYからのExpat(駐在員)が上司でした。帰国子女ではないですし、英語力が高い人揃いのモルスタでは苦労しました。英語でメモを取るようにして言語脳の切り替えを早くしたり、「人事部長が本当に知るべき情報はなんだろう?」とよく考えて要約を英語で伝えるように工夫したりしました。
同僚が外国人の場合、日本で現地採用された日本語ができる外国人の可能性も高いので、期待するほど英語を話す機会はないかもしれません。「英語を使う」ことが転職のモチベーションの場合は、誰が外国人なのか確認した方が無難です。
より英語を使いやすい外資系企業の形態
日本に進出したての企業
日本に進出したばかりの企業は、本社と協議しながら日本法人の立ち上げを進めていくので、 英語ができる必要があります。
例えば、私がGEの先輩達とある米系企業のアジア・パシフィックの本部を立ち上げた時、社 員は全員英語でビジネスができました。日々、本社とのやり取りがあり、あの状況で英語がで きない人が採用することは考えられません。
日本法人が本社直轄
日本法人はアジア・パシフィックの傘の下に位置することが多くなりましたが、400名くらいまでの規模の会社で本社に日本法人が直接レポートしている場合は、本社とのコンタクトの頻度が当然増し、英語ができる人材が求められます。同じ部署に英語ができない人が1人いると、周囲の上司や同僚が必要なたびに翻訳したり校正したりすることになり、チームの生産性が下がるのでメンバー全員に一定レベル以上の英語が求められます。
具体例で言うと、シリコンバレーにあるIT企業の日本法人が本社に直接レポートしていた時、人事部のTOEICの平均点は正社員のみで905点、派遣社員を含めても875点でした。私が属していた人事のチームで最も英語力が高かったメンバーで、それぞれに本社の担当者と英語でやりとりをしていました。
より英語を使う職種
アジア・パシフィックとの関わりが多い
前にも述べた通り、最近日本法人はアジア・パシフィックにレポートすることが多くなりました。本人の職務の一部にアジア・パシフィックとの連携が含まれると、英語が必須になります。例えば、人事部の採用マネジャーで上司は日本法人の人事部長だけれど、アジア・パシフィック内の採用マネジャーとも連携しており、採用コストを比べたり国境をまたいで活躍している転職エージェントの情報を交換したりしている場合は、外国人と仕事をする機会があるので、より英語が必要になります。
海外と頻繁に関わるエンジニアなど
昔は役職の序列である程度必要な英語力を定めることができましたが、グローバルな社会では役職の上下ではなく、実際に海外と関わって仕事をしているかどうかが重要です。
例えば、法務部のNo.2で日本人の法務部長の直属の部下より、入社3年目でインドや中国、オーストラリアのエンジニア達とプロジェクトを組んで仕事をしているエンジニアの方が遥かに英語を必要とします。 本社からの方針が明確に降りてくるマーケティング部も、他部署に比べると英語ができる人が多いです。
「英語を使いたい」と思って外資に転職したのに見込みが外れたり、そんなに英語は必要ないと言われて入社したら、ついていけないほど英語が必要で困ることは起こり得ますので、面接の時にどのくらい英語を使う仕事なのかはよく確認してください。
今年最後のコラムとなりました。 転職活動中の方は外資の実働はクリスマスまでなので、それまでにお返事がなかったら2021年になって再び動き始めると思ってください。それぞれの方にベストなポジションが得られますように。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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