元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。「労働政策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)」が改正され、2021年4月1日から中途採用比率の公表が義務化されます。
本日の記事は、今回の改正のあらましと企業に求められる対応についてお話します。
中途採用比率の公表義務化
常時雇用する労働者の人数が301人以上の企業に対して、中途採用率を公表することが義務つけられました。中途採用率とは、社員全員に対して中途採用の社員が何人いるかを表す割合です。
今回の施行日は2021年4月1日で、公表する義務が発生するのは直近3事業年度になり、企業のホームページなど公けの場で、求職者が確認できる状態にしておく必要があります。
背景と目的
少子高齢化が進む日本において、人材の流動性を高め企業と中途採用者のマッチングを高めることは重要です。外資系においては、新卒採用をしない企業もあるなど中途採用は当たり前ですが、日本企業、特に大企業では圧倒的に新卒採用に頼っていることが下記図よりわかります。
常時雇用の労働者5,000人の大企業が、一年に採用する中途採用者の平均は76.31人。仮に全社員数を5,000人とすると、中途採用比率は1.5%と非常に低くなります。
出典 : 中途採用に関わる現状について(厚生労働省職業安定局 令和元年9月27日)
この数字を公表するわけなので、多様性を推進している企業かどうかが一目でわかるようになります。 政府の労働市場の流動化推進、多様性を後押ししたい意図が大きく現れた今回の改正です。
人事としての対応
外資系の場合 : そもそも中途採用100%だったり、新卒採用をしていても少ない数だったりするので、今回の改正で中途採用の数が少なくてイメージが下がる会社はないでしょう。全社員数と中途/新卒採用者の数だけを抑えれば良いのでシンプルではありますが、私の過去の職場にはデータをすぐ出せる状態になっていなかった企業もあるので、その点は準備が必要かもしれません。
日本企業の場合 :
常時雇用する労働者の人数が301人を超える場合は、直近3事業年度の中ご採用比率を調べてデータ化することが必要です。今から早めに対応したいところです。今回の改正には数値目標があるわけではなく、あくまで中途採用率を公表するだけなので、すぐにイメージ改悪になるわけではありません。
しかしながら、長期的に見た時には中途採用比率の低い企業の人気が下がることは多いに考えられます。社内に多様性を受け入れる文化を根気よく築く施策を具体的に経営層と考えないと、将来の労働力確保に悪影響が出ることも考えられます。ここは人事が、経営層とともにどのくらい長期的に会社経営を考えられるかが問われます。
まとめ
今回の改正は2021年4月1日から施行されます。具体的な方法等の情報が省令等で公表されますので、最新の情報を収集して早めに対応してください。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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