元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマはオンライン研修です。
Withコロナが長引き研修担当者は頭が痛い日々が続きますが、ピンチをチャンスに変えて新たな研修体制を整えたいものです。そのために、まずオンライン研修のメリットとデメリットを整理します。
メリット
1. コスト削減
参加者を集めるために必要な、会場費・移動費用などがかからないので、研修予算を従来より低めに抑えることが可能です。
2. 参加者が移動しなくて良い
社員の全員が本社もしくは研修会場に通える地域に住んでいるわけではない中、移動する必要がないのは時間効率が良いです。移動のためには、前後の予定を調整する作業が発生し、すでに入っているアポをずらさずに参加できるのは助かります。
3. 研修担当者の負担が下がる
会場の手配に始まって、ランチをどうするか、通えない宿泊組が何人いてどこに泊まってもらうか考えて手配する、研修セクションから誰か1人現場へ派遣する、配布する資料がある場合は人数分コピーするなど、集合研修の際、研修担当が行う仕事はそれなりにあるので、オンラインで不要になるのは効率が良いと言えます。
4. 録画の再生速度を変えることができる
知識習得型のプログラムを再生速度を速めて視聴することが可能なので、時間効率が良いと感じる参加者も多いでしょう。
デメリット
1. 参加者の集中力が続かない
オンライン特有の課題ですが、ずっと画面を見ているだけだと、参加者が飽きたり物理的に疲れたりするという現象が起こります。これは研修の質を上げるにあたって、大きな問題です。
2. 参加者と交流できない
例えば、グローバル・リーダーの研修で全国からエースが集められた場合、実際にお互いに顔を合わせ、ランチを一緒に行ったり、休憩時間に雑談ができたりすると、それが社内での人脈に繋がり参加者のこれからのキャリアで助けになるはずです。それができないのは本当に残念です。
3. 実践的な研修には向かない
研修には種類があり、知識習得を目的とするプログラムと、エクササイズを多量に行なってディスカッションで学びを深めるプログラムと2種類があります。前者は、オンラインでも問題ないですが、後者はブレークアウトルームに1人の講師が同時に存在することが今の技術では不可能なので、工夫が必要になります。
オンライン研修のメリット・デメリットを見たところで、より質の高いオンライン研修を行うための工夫について説明します。
1. 講師選びを従来より慎重に
声や表情にメリハリをつけたりジェスチャーなどを交えて、参加者の注意を引き続けられるかどうかは致命的な差を生みます。最初の打ち合わせの時に、表情豊かなタイプなのか物静かで落ち着いたタイプなのかを、よく見極めることが大切です。オンライン研修には、エネルギー値が高めで明るいタイプが向いています。
2. 休憩を集合研修より多く挟む
参加者の集中力が途切れないように、できれば60分に1回か長くても90分に1回、5分の休憩を取ることが理想です。休憩時間が長すぎると、戻って来ない参加者を待つようになるので、トイレ休憩ぐらいの心づもりで5分で大丈夫です。この休憩があると無いでは疲労感の差となって参加者に返ってきます。
3. ブレークアウト・ルームを効果的に使う
グループに分かれてエクササイズを行うには、ブレークアウト・ルームを使うしか方法がありません。この時、講師に順番に部屋を回ってもらうほか、試聴している人事も協力して部屋を訪れるようにすると、参加者のモチベーションがアップします。誰かに見られているという緊張感が大事だということです。1日の最後のまとめの時に、人事の方からも短くポジティブなコメントがあると良いでしょう。
4. レポートやアンケートを用意する
特に知識習得型の研修では、最後まできちんと視聴したのかが怪しい場合もあるので、やりっぱなしではなく、終了後にレポートを書くなどの負担にならない程度の課題を出すと、参加者のモチベーションが上がらざるを得ないです。今後のためにもアンケートを用意し、PDCAを回して行くとオンライン研修の質が上がります。
本日のテーマは、オンライン研修のメリットとデメリット、さらにオンライン研修の質を高めるために注意したいポイントでした。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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