元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマはテレワークです。
2020年、人事をにとっての大きなチャレンジはテレワークでした。外資系では、もともと在宅勤務が広がりつつあったとはいうものの、突然全員でテレワークをしなければいけない状況に対応することは、人事部に集中的に負荷がかかりました。また、出社するのが当然だった日系企業では、ハンコを押すために出社しなければいけないなど、合理的でない仕事の仕方が露呈しました。
テレワークができると、多くの人にとって一日1.5〜2時間の通勤時間が浮いて自分のために使うことが出来ます。個人にとってのメリットは非常に大きく、一度テレワークを経験した社員は、万が一転職する場合、テレワーク可能な職場かどうかを気にすると言われ始めています。
企業人事から見た際、テレワークを本格的に導入するにあたって考慮すべき点は3点あります。
労務管理の仕方
時間管理の方法については、通常の労働時間制、事業外みなし労働時間制、裁量労働制のいずれでも可能です。
難しいのは評価の仕方でしょう。外資系の場合は最初から成果主義で、プロセスは問われないので、労働時間の長短に著しく目くじらを立てる必要がそもそもありません。ただ、日系企業の場合は必ずしも成果主義ではなく、上司が職場で部下の仕事ぶりを見守ることができない状態で、評価をすることが難しい可能性は高くなります。
大きくはジョブ型・メンバーシップ型雇用と関わってきますが、時代の変化を鑑みるに、成果主義にゆっくり移行せざるをえない中、テレワークもセットで導入するのが理想です。新しいことになかなか踏み出せないのが日本の特徴ですが、どうせ変わらなくてはいけないと分かっているのであれば、上層部のステークホルダーを巻き込んで、何とか成果主義+テレワークを根付かせたいものです。
ITシステム・機器の検討
通信インフラについては、自宅にすでに個人用のインフラを整えているでしょうから、テレワークのために新たに追加料金が発生するとは思えず、特に費用負担を考える必要はないです。
電話についてはルールを決める必要があると思われます。最初から会社と自宅用の二台持ちの社員は問題ありませんが、1台を仕事用にも自宅用にも使っている場合は、少し煩雑になりますが請求書をもとに仕分けするしかないでしょう。ある意味、これまでと同じということです。
オンライン会議については、インフラに必要なコストを支えているのは会社側で、個人でビジネス仕様のアカウントを持つ必要は無いので、こちらも特別に費用をカバーする必要はありません。
テレワークする社員の環境を整える
頻繁に行われるオンライン会議のために、照明が必要になったり、長時間PCの前に座っていることが多いため、机や特に椅子を買い足す人もいます。どこまでを会社が負担するのか、ルールが必要です。現状では、ほとんど社員本人がコストを負担して自宅での仕事環境を整えているように見えますが、本来のあるべき姿ではありません。
その他
交通費 - テレワークの頻度によりますが、ほぼ毎日テレワークで自宅から仕事をしているのに、会社が1ヶ月分の交通費を定期代で払うのは常識的ではないので、このあたりもルールを整理することが求められます。
光熱費 - 私は会社を辞めて独立し自宅で仕事をするようになったときに、光熱費の金額が増えた事に驚いた経験があります。早朝と夜しか平日は在宅せず、週末もほとんど家にいない生活をしていた人間が、平日ほぼ終日家に過ごすことになると、こんなに増えるんだなぁと思いました。猛暑下の冷房、冬の暖房など光熱費は季節でも変動します。細かいことではありますが、他のルールを見直すときに合わせてどのようにするか扱うかを決めた方が良いでしょう。
ピンチはチャンスです。コロナでテレワークせざるを得なかったので、やってみたら実はそれほど支障はなかったと言う会社も多いでしょう。社員のワーク・ライフ・バランスを考え、ポストコロナもテレワークが続けられるよう、ルールの制定が望まれます。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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