「将来に対する不安が大きい」「これからの時代でどんなスキルが必要なのかわからない」と悩んでいませんか?いつ、何が起こるかわからない現代社会に生きるからこそ、不安を抱えてしまいます。そんな、先行きが見えない現代社会を表現する言葉が「VUCA(ブーカ)」です。
ここでは、このVUCAの意味と、VUCAの時代に必要とされるスキルについて解説します。さらに、VUCAの時代だからこそ身につけたい、「OODAループ」という思考についてもご紹介します。
不透明な世の中を生き抜くために大切な要素をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
将来の予測が難しい現代の状況を表す「VUCA」
VUCAは、現代の経済環境の特徴ともいえる、4つの単語の頭文字を取ったものです。
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Volatility(変動性)
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Uncertainty(不確実性)
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Complexity(複雑性)
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Ambiguity(曖昧性)
2010年代頃からVUCAの時代が到来したといわれています。現代では、IT環境の整備やグローバル化などの要因が重なり、ビジネスを取り巻く環境は著しく変化しています。このような状況では、モデルケースともいえる前例を見つけるのが難しく、ビジネスの予測を立てることもできません。
昨今では、様々な要因が重なり合って、さらに先行きが見えない状態が続いています。
では、VUCAに含まれる4つの単語の意味を詳しく見ていきましょう。
Volatility(変動性)
Volatilityは、ビジネスを取り巻く環境の変動が激しい状態を指します。
ITの進化により、ビジネスのスピードは大きく加速しました。新しいアイディアをビジネスに落とし込むまでの時間が短縮され、市場には次々と新しい商品やサービスが登場しています。
これは同時に、顧客の価値観の多様化にもつながっており、市場のニーズは常に変動し続けているといえるでしょう。
Uncertainty(不確実性)
Uncertaintyは、不確実な事柄が多く、この先どのような変化が起こるかわからない状態を指します。
例えば、現代において他国への人の往来が禁止されることを予想できていた人はほとんどいません。また、台風や地震といった災害や少子高齢化なども不確実性の一例といえるでしょう。いつ、何が起きるかわからない状況では、ビジネスの予測を立てることも困難です。
Complexity(複雑性)
Complexityは、ビジネスを成功させるためにさまざまな要素や要因を勘案しなければいけない状態を指します。
例えば、安価でデザイン性の高い洋服を大量に製造・販売することで、世界的にセールスを伸ばしたH&Mですが、日本では成功を収めているとはいえない状況です。これは、日本人が服の素材を重視する傾向があるためだといわれています。
このように、成功事例があるからといって、ほかの国や企業では通用しないというケースは多々あります。
Ambiguity(曖昧性)
Ambiguityは、絶対的な解決方法が見つからない曖昧な状態を指します。ここまで解説したVolatility、Uncertainty、Complexityが重なることで、曖昧性が生まれるといわれています。
曖昧性のある現代ビジネスでは、「いつまでも」「確実に」「どの国や企業でも」通用する解決策はありません。事業計画や販売計画を立てても、情勢の変化に伴い、白紙にせざるをえないケースもあるでしょう。このような曖昧さは、多くのビジネスパーソンに不安を与える要因ともいえます。
VUCAの背景
VUCAという言葉が注目されるようになった背景には、「グローバリゼーション」「IT技術の発展」「少子高齢化」という3つの要素があります。
グローバリゼーション
グローバリゼーションは、VUCAの時代に大きく関わる要素です。なぜなら、国や人種の垣根を越えたビジネスには、さまざまな要素・要因が複雑に絡んでくるためです。
2000年代以降、世界中の企業がグローバル化に踏み切りました。すると、それまで国内で成功していたビジネスモデルが海外では通用しないという、「複雑性」に直面することになります。
これまで当たり前のように思っていた価値観が崩れ、それぞれの国の風土や価値観、宗教観などに合わせて柔軟にビジネスを展開する必要が出てきたのです。
現代社会のカオスを表現するVUCAという言葉は、絶対的なモデルケースが存在しないグローバルビジネスの象徴ともいえるでしょう。
IT技術の発展
VUCAの時代が到来した要因のひとつとして、IT技術の発展が挙げられます。これは、ITの進化が既存のビジネスモデルを破壊する可能性があるためです。
例えば、オンライン動画配信サービスとして知られるNetflixは、設立当初はインターネットと郵送を組み合わせたDVDレンタルサービスを展開していました。しかし、通信技術の発達により、オンラインでも手軽に高品質な動画を楽しめるようになったため、従来のDVDレンタルサービスを捨てて動画配信サービスの開始に踏み切りました。
そうした時代の変化に対応できなかった場合、たとえ大企業であったとしても倒産するケースが増えています
IT化はビジネスのスピードを加速させる一方で、既存の市場を衰退させるリスクもあるため、VUCAに大きく関わっているといえるでしょう。
少子高齢化
日本の少子高齢化は、VUCAの不確実性に関わる要素です。なぜなら、少子高齢化が進んだ社会の前例がなく、今後どのような変化が起こるか予測できないためです。
日本における少子高齢化は、今後さらに深刻化すると予想されています。それに伴って労働人口が減少するため、現在のビジネスモデルを維持できなくなる可能性が少なくありません。
また、これまで育児・教育や若者向けのビジネスに取り組んでいた企業が苦境に立たされたり、地方が過疎化することで中小企業の経営が立ち行かなくなったりといったリスクもあります。
少子高齢化が深刻化した場合に、社会がどのような変化を遂げるのかは、まだ予測がつかない部分が大きいといえ、ビジネスを困難にする要因のひとつです
VUCAの時代に必要なスキルとは?
先行きが不透明なVUCAの時代を生き抜くためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか?それは、「迅速な意思決定」「臨機応変な対応」「コミュニケーション」「問題解決力」の4つです。
迅速な意思決定
VUCAの時代を生き抜くためには、迅速な意思決定が必要です。これは、市場のニーズが常に変動しているためです。
VUCAの時代では、消費者の価値観が多様化し、市場のニーズが常に変動しています。そのため、アイディアはすぐ形にしなければ、そのときのニーズに合わせたものを提案できません。また、意思決定にもたついていると、競合他社が先に同じようなコンセプトの商品やサービスをリリースしてしまい、ビジネスが後手に回ってしまう可能性もあります。
市場のニーズが常に変動しているからこそ、意思決定を迅速に行うことが大切になるのです。
臨機応変な対応
VUCAの時代では、臨機応変に対応する柔軟性が必要になってきます。これは、大規模な災害などの不確実なリスクが多く存在するためです。
とりわけ、日本では大地震や台風といった災害のリスクが大きいため、「当初予定していた事業計画を大幅に変更しなければならない」といったケースも多いでしょう。
また、市場のニーズが常に変動していることも、臨機応変な対応が求められる一因です。価値があると思われていたものが、代替品の登場によって急激に価値が落ちてしまうというケースは、VUCAの時代では珍しくありません。例として、スマートフォンの登場で需要が下がった携帯電話などが挙げられます。
このように、不確実なリスクが多い時代だからこそ、臨機応変な対応力が求められるのです。
コミュニケーション
コミュニケーション能力は、VUCAを生き抜くカギと考えられています。なぜなら、VUCAの時代では国や人種の垣根を越え、多様性を受け入れる必要があるためです。
グローバルに活躍する企業では、自分とは異なる価値観や背景を持つ人々と接する機会は少なくありません。特に、価値観の相違はトラブルにも発展しやすく、いっしょに仕事を進める上で障害となるかもしれません。このようなときに大切になるのが、「コミュニケーションをとって自分と異なる考え方を受け入れる力」です。
コミュニケーションをとって多様な価値観を認められる人材であれば、複雑性を増すVUCAの時代にあっても、相手に合わせたビジネスの進め方を考えられるでしょう。
問題解決力
問題解決力は、曖昧性のあるVUCAの時代では特に重要な能力です。
市場のニーズが移ろいやすく、災害や少子高齢化といった不確実なリスクが存在する上に、多様な価値観を持つ人々が複雑に絡み合う現代のビジネスでは、前例といえるものはほとんど存在しないといっていいでしょう。
過去の事例を参照しても答えが出ない以上、自分で課題を解決する方法を探すしかありません。そのためには、論理的な思考力を鍛えるだけでなく、物事に対して「なぜなのか」「本当に正しいのか」といった批判的な問いを繰り返すことで本質を見極める「クリティカルシンキング」などの能力が大切になります。
VUCAの時代に必要な思考「OODAループ」
VUCAの時代に必要とされる思考が「OODAループ」です。 OODAとは、「Observe(観察)」「Orient(状況判断)」「Decide(意思決定)」「Act(行動)」の頭文字を取った言葉です。
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Observe(観察) - 市場や消費者の動きをよく観察してデータを集める
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Orient(状況判断) - 集めたデータをもとに現状を把握・理解する
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Decide(意思決定) - 状況に対する具体的な方針やアクションプランを決める
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Act(行動) - プランをもとに実行する
また、OODAループは、ビジネスでよく利用される「PDCA」と比較されることがあります。
PDCAは、「まず計画を立てて行動する」というプロセスを踏むのに対し、OODAは「状況を見てとりあえずやってみる」という違いがあります。
PDCAは既存の商品・サービスの販売数や契約数のアップには役立ちますが、何が起こるか予測できないVUCAの時代に適した考え方とはいえません。そのため、現代ではPDCAサイクルよりもOODAループが重要とされています。
どんな業種・職種でも通用するスキルを磨こう
今回は、現代ビジネスを取り巻く環境を示すVUCAについて解説してきました。
先行きが見えない不安定な時代ではありますが、ニーズの変化をいち早く察知することができれば、新たな価値を市場に提供するチャンスにもなります。
また、いつ何が起こるかわからない時代だからこそ、専門的なスキルだけを磨くのではなく、業種や職種、時代に左右されないポータブルスキルを鍛えることが大切になるでしょう。
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