転職を考えていて、「在職中に転職活動をしてもいいのだろうか?」と悩むこともあるのではないでしょうか。転職活動により現職の業務がおろそかになるのは社会人として避けるべきですが、在職中の転職活動自体はまったく問題ありません。むしろ、在職中の転職活動のほうが、メリットは大きいのです。
本記事では、在職中の転職活動のメリット・デメリットのほか、退職後の転職活動との違いなどを解説します。
在職中の転職活動に関する疑問
転職活動は、在職中と離職後のどちらに行うのが良いのでしょうか。
現職で働きながら別の企業への転職を検討することに、後ろめたさを感じる人もいるかもしれません。しかし、仕事を変えるのは、日本国憲法の「職業選択の自由」で保障されています。その点では、引け目を感じる必要はないのです。
また、「在職中なのに転職活動をしているなんて、現職に対して不誠実だ」と、応募先企業にマイナスイメージを与えるのではと不安に感じる人もいるでしょう。
応募先企業に対して在職中であることを正直に伝えても、企業側の印象は変わりません。しっかりとした転職を希望する理由と、「繁忙期が終わるまでは現職で全力を尽くし、心機一転して御社で活躍したいと思っている」など、前向きに取り組んでいる姿勢を示せば、企業側には好印象を与えられるはずです。
在職中に転職活動を行うメリット
転職活動を在職中に行うと、やるべきことが増えて忙しくなったとしても、大きなメリットが得られます。ここでは、在職中に転職活動を行うメリットについて、見ていきましょう。
精神的な充足や安定、成長が得られる
転職のきっかけとして、現職に対する不満や違和感があります。待遇や人間関係に悩む人もいるのではないでしょうか。また、「このまま今の職場にいていいのだろうか」という、キャリアプラン上の不安を抱える人もいます。
このような理由から在職中に転職活動に取り組み、希望する業種や企業の内定を得られれば、「もうすぐ新しい環境で働ける」という希望や安心感、自分で自分のキャリアを切り拓いたという充足感が生まれ、精神的に安定することが可能です。
なお、転職活動を行って、あらためて自分のキャリアやスキルを見直し、その上で転職は時期尚早だと、現職にとどまる判断をするケースもあります。そのような場合でも、自分の立ち位置や価値観を再確認し、精神的に成長する機会となるはずです。
収入の不安がなく、冷静に転職先を検討できる
在職中に転職活動をするメリットとして、収入面の安定が挙げられます。在職中の活動なら収入を確保でき、落ち着いて転職活動に邁進することが可能です。
転職活動を行っている最中も、生活費はかかるもの。転職活動がうまくいってすぐに入社しても、給与が支給されるのは数週間から1ヵ月以上先です。仮に、離職してしまうと、無収入のため転職活動どころか、生活自体が立ちゆかなくなる可能性があります。貯蓄があったとしても、転職活動の長期化で想定以上に貯蓄を切り崩さなければならない事態も想定しておいてください。
そうなると、「生活するために早く決めなければ」と精神的に追い詰められ、転職先企業を妥協して決めてしまい、後悔してしまうことも。突然の景気後退などにより転職活動が難航・長期化した場合、「いったんは現職にとどまる」という選択ができるという意味でも、在職中の転職活動はメリットがあるといえるでしょう。
ブランクなく転職して活躍できる
離職後に転職活動をすると、もし転職先がなかなか決まらない場合、職務経歴書上に望まない空白の期間が生まれます。企業によっては職務経歴のブランクをいぶかしんだり、計画性がないと判断されてしまったりする可能性もあります。書類上では、ほかの選考者に対するハンディキャップにもなるため、職務経歴書のブランクはないほうがいいでしょう。
ブランク期間が長ければ、あなた自身のスキルやモチベーションの低下が起きかねません。在職中に転職活動を終えれば、業務上のスキルやモチベーションを高いまま、転職先企業で活躍できるはずです。
在職中に転職活動をするデメリット
在職中に転職活動を行うことには、デメリットもあります。続いては、在職中に転職活動を行う代表的なデメリットをご紹介します。
現職の同僚に知られる可能性がある
在職中に転職活動をしていると、ちょっとした言動に変化が生じ、それによって普段いっしょに働いている人も「いつもと違う」と感じるようになります。結果として、「あの人は転職活動をしているのではないか」と疑われてしまう可能性があるでしょう。噂が広まれば、上司や同僚の態度が冷たくなったり、行動の厳しいチェックをされたりと現職の職場関係が悪くなり、居づらくなってしまうかもしれません。
同僚に知られるきっかけになるのは、主に下記のような言動です。
<転職活動が現職の同僚に知られるきっかけ>
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急な半休や遅刻、早退をするようになった
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同僚や上司に現職の不満や転職への願望について話をする
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普段とは違うテイストの服装で出勤する日がある
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休憩時間中に応募先企業や転職エージェントと電話で話していた
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同僚も知っているSNSアカウントで、転職に関する投稿をした
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転職活動で必要な書類を、現職のオフィスで印刷したまま放置した
内定を得て退職が決まるまでは、できるだけこのような行動を控え、周囲に注意してください。
就業規則に抵触する可能性がある
自由に仕事を選び、自由に辞めることは日本国憲法において権利として認められています。その意味では、在職中の就職活動に対して、法的な制限はありません。
ただし、同業他社へのノウハウや情報流出を防ぎたい企業が、就業規則で在職中の転職活動を禁じている場合があります。それにもかかわらず、「法的には問題ない」と転職活動を進めると、就業規則違反として処分を受ける可能性もあります。
そのためにも、就業規則は事前に確認し、十分注意しながら転職活動を行いましょう。
なお、転職活動を就業時間中に行ったり、PCを使って行ったりするのは現職に対するマナー違反です。現職の顧客情報や取引情報を持ち出してそれが発覚したりすれば、応募先企業にも大きな迷惑をかけるだけでなく、あなた自身も社会的な信用を失うことになりますのでご注意ください。
在職中の転職活動で注意すべきポイント
在職中の転職活動にはいくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、書類の書き方や面接日の設定など、在職中ならではの注意点をご紹介します。
履歴書の書き方のポイント
在籍中に転職活動をする際には、どのように書くと応募先企業の印象が良くなるのでしょうか。ここでは、在職中の履歴書の書き方のポイントを解説します。
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職歴を時系列で書き「現在に至る」で締める
履歴書の「職歴」には、新卒時から在籍した会社名や部署名などを、在籍期間を時系列に沿って書き出しましょう。在籍した会社の業種・従業員数も追記すると、規模感の把握や親和性を確かめるのに役立ち、応募先企業の採用担当者に好印象を与えられるかもしれません。
現職まで書いた後は「現在に至る」で締めてください。この一文は、「在職中」を採用担当者に伝えるメッセージ代わりになるのです。 -
「いつから働けるか」を記載する
履歴書の本人希望欄などには「退職予定日」「勤務可能開始日」あるいは「内定決定から◯ヵ月で入社」を記載し、応募先企業入社への熱意を伝えてください。採用担当者は、あなたの職歴書に高い評価を出したとき、次に「いつから働けるのか」を知りたいからです。
ただし、応募先企業へのアピールのため、適当な退職予定日・勤務可能開始日を書き込んではいけません。内定後に退職予定日や勤務可能開始日が大幅にずれ込むような事態になると、入社前からあなたへの信頼が失われるおそれがあります。現職での引き継ぎ期間も考慮し、余裕ある日程を記入しましょう。 -
連絡のとりやすい手段や時間を記載する
あなたが在職中の場合、応募先企業としては連絡の手段や時間に悩みます。そこで、履歴書に個人の携帯電話番号やメールアドレスなど、連絡のとりやすい手段を記載したり、就業前後の時間や就業中でも比較的電話に出やすい時間、折り返しできる時間などを記載したりしておくと、応募先企業も安心して連絡できます。
平日の面接は複数企業分をまとめ有給休暇で対応する
在職中に転職活動の面接を受ける場合は、可能であれば終業後や土日祝日など、業務時間外に設定することをおすすめします。コロナ禍以降、オンライン面接に対応している企業も増えています。応募先企業のオフィスへの移動時間などの確保や調整が難しい場合は、オンライン面接が可能かどうか相談してみてください。
対面の面接が平日に行われることになった場合は、複数企業の面接をできるだけ1日にまとめるようにしてスケジュールを組み、その日を有給休暇にするなど、現職の業務に迷惑をかけない配慮も必要です。
繁忙期の転職活動や退職手続きは避ける
現職の繁忙期に、転職活動の面接で何日も有給休暇を取得したり、退職の手続きや業務引き継ぎ、残った有給休暇を消化したりすることは、現職のメンバーの心証を悪くし、円満な退職を妨げる要因になります。
もし、逆の立場だったら自分はどう感じるのかを考え、「立つ鳥跡を濁さず」の心づもりで周囲に配慮した退職を心掛けてください。
転職に関するメールや電話をする時間帯を考える
転職に関するメールや電話をする時間帯には、細心の注意が必要です。現職の同僚や上司に転職活動中であることを知られないように配慮しておくにこしたことはありません。それでも、勤務中にかかってきた電話に不用意に出たり、オフィスの休憩室などで応募先企業や転職エージェントと話をしていたりすると、周囲に気づかれてしまう可能性があります。
連絡がとりやすい時間帯を「始業前・終業後、土日祝」などと設定し履歴書に明記するか、それ以外は対応せず、必ず業務時間外に折り返し連絡をするようにするなど、方針を定めておくことをおすすめします。
在職中に効率的な転職活動を行う方法
在職中の転職活動は、何より計画性がカギを握っています。効率的な転職活動の計画を立てる際のポイントを挙げておきましょう。
業界研究や自己分析をしておく
転職活動を行う前に、業界研究や自己分析を行ってください。あなたがやりたいこと、向いていること、興味があることを見極め、応募先企業・業種を絞り込みましょう。闇雲な応募を避けるため、在職中ゆえに限られた時間を効率的に使うためです。また、入社後のミスマッチを防ぐためでもあります。
自己分析にはそれなりの時間を必要としますが、職務経歴書や面接対策の土台になる大切なデータのため、時間をかけてしっかり取り組むことをおすすめします。
転職における優先順位を決める
あなたが転職を考えた理由は何でしょうか。原点に立ち返り、今回の転職で重視したい条件を書き出してみましょう。例えば、下記のような条件が挙げられます。
<転職を考える際に重視する条件>
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企業の風土、カルチャー
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業務内容
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裁量の範囲
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人間関係
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給与、福利厚生
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研修制度の充実
こうした条件をすべて満たす企業を探すのは、非常に困難です。「業務内容は希望どおりだけれど、社内のカルチャーは競争色が強くて合わないかもしれない」「企業のビジョンやミッションにはとても共感しているが、提示された報酬が希望額に満たない」など、両立できないケースも多いでしょう。
そこで、あなたが求める条件に、優先順位をつけておきます。判断する軸があれば、迷っても選択できるはずです。
転職エージェントを利用する
在職中の転職活動で役に立つのが、転職エージェントの存在です。転職エージェントは、職務経験や希望をヒアリングした上で、一人ひとりにマッチした求人を提案してくれるため、自分に合った応募先企業を効率良く探すことができます。また、煩雑な面接日程の調整もしてくれるので、現職に迷惑をかける心配もありません。履歴書・職務経歴書へのアドバイスや、面接対策なども無料で行っています。
利用の際には、総合型エージェントや専門特化型エージェントなど、さまざまなタイプの転職エージェントを使い分けることをおすすめします。
在職中の転職活動は、転職エージェントに相談しよう
在職中の転職活動には多くのメリットがある反面、労力もそれなりに必要です。現職の勤務との両立が困難で転職活動自体を挫折してしまったり、あきらめて離職したりする人もいます。信頼できる転職エージェントを利用して転職活動の省力化・効率化を図れば、限られたリソースでも有意義な転職活動が可能となります。
円満退職して次のステップに進むためにも、転職エージェントの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
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