協調性は仕事をする上で大切な能力のひとつであるため、自己PRで協調性をアピールする転職希望者は少なくありません。しかし、転職希望者が考える協調性は、企業が求める協調性とは異なる場合があります。
そこで今回は、企業が本当に求めている協調性がどのような能力なのかを解説します。職種別に自己PRで協調性をアピールするときのポイントについても併せて解説しますので、参考にしてみてください。
協調性とは何か?
企業が求める協調性について考える前に、そもそも「協調」とはどのような意味なのか確認しておきましょう。
協調には「互いに協力し合うこと。特に、利害や立場などの異なる者同士が協力し合うこと」という意味があります。
つまり、仕事の上での協調性とは、利害関係のある社外の人や、立場や地位が異なる社内の人々と折り合いをつけ、みんなでひとつの目標に向かっていく能力を指すのです。
2種類の協調性がある
協調性には「従順的な協調性」と「主体的な協調性」があります。
・従順的な協調性
従順的な協調性は、「周囲の意見に従う」「空気を読む」「調和を乱さない」といった能力を指します。仕事を穏便に進める上では、大切な要素といえます。しかし、イエスマンで主体性がないと捉えられてしまう場合もあります。
・主体的な協調性
主体的な協調性は、みずから周囲の人々に働きかけ、協働して仕事を達成することです。主体と協調は矛盾があるようにも思えますが、「主体性を持ちつつ、独りよがりにならないよう周囲の人々に配慮する」という意味があります。
企業が求める協調性と転職者が考える協調性には違いがある
転職活動において、「協調性がある」と自己PRする人は少なくないでしょう。それは、多くの企業が協調性のある人材を求めているからです。
企業で働く以上、さまざまな人といっしょに仕事をすることになります。仕事を効率的に進めるためには、チームワークが重要になる場面も多くあります。そのため、個人プレーに重きを置く人材よりも、協調性のある人材が必要とされるのです。
しかしながら、冒頭でも解説したように、企業が求める協調性と転職者が考える協調性は、異なる場合があります。的外れな協調性をアピールしても、企業にとって魅力的な人物には映りません。
企業が求める「協調性」は主体的である場合が多い
多くの企業は、前述した「主体的な協調性」を求めています。企業が働き手に求める能力として、協調性と並んで重要なのが主体性です。この2つを両立できる人材を求めているといえるでしょう。
例えば、コンサルティング業界や外資系企業などでは、専門の領域が異なるメンバー同士が協力してゴールに向かう必要があります。このような、立場も考え方も違うメンバーをまとめるのは、指示を待つだけの人材には困難です。そのため、主体性を持って人々をまとめ上げる意味での協調性が求められます。
ベンチャー企業なども個人の裁量が大きいため、協調性と主体性を併せ持つ人材を求める傾向があります。また、主体性がある人材は、現状のフローに疑問を抱いて改善し、業務の効率化を図ることもできるため、重宝されるでしょう。
とはいえ、企業が求める協調性の内容は、風土や文化によって異なります。しっかりと企業研究を行い、自分が発揮できる協調性とマッチした企業に応募するのが大切です。
転職者が考える「協調性」は従順的
企業の風土や文化にかかわらず、転職者は「従順的な協調性」をアピールする傾向があるようです。周囲に同調し、調和を乱さない人材であれば、仕事を穏便に進められるというメリットはあります。
ですが、その一方で、従順なだけの人材は、課題解決のための協力や活発な意見交換を行わず、仕事の効率化や個人のスキルアップなどを見込めないと思われてしまうこともあるでしょう。
そのため、従順的な協調性だけでは、かえって企業からマイナス評価を受ける可能性が少なくありません。
自己PRで協調性をアピールするときの注意点
これまで解説してきたように、自己PRでは「主体的な協調性」をアピールすることが重要です。では、さらに踏み込んで、協調性をより明確にするために押さえておきたいポイントをご紹介します。
現職での経験や体験を具体的に
協調性をアピールする場合、現場での経験や体験を交えて具体的に話しましょう。具体的なエピソードには説得力があるからです。単に「協調性があります」とアピールするだけでは、説得力に欠けるだけでなく、企業が求める協調性と応募者が考える協調性に、ミスマッチが生じる可能性が高まってしまいます。
そのため、これまで仕事のどのようなシーンで、どのように協調性を発揮したのか、具体的に説明する必要があるのです。体験談を交えることで、企業が求める協調性と応募者の能力が一致しているかどうかも明確になります。
そのため、協調性をPRする場合には、現場での経験・体験を盛り込むことが大切です。
5W1Hを明確にする
協調性をアピールする際には、5W1Hを踏まえることが大切です。「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「なぜ(Why)」「何を(What)」「どのように(How)」といった5W1Hが明確になると内容にメリハリがつき、エピソードがよりわかりやすくなります。
例えば、下記のような情報を盛り込めば、かなり具体的なエピソードになります。
・いつ…昨年の4月
・どこで…前職で
・誰が…総務部長と自分が
・なぜ…新型コロナウイルス感染症対策のために
・何を…リモートデスクトップのシステムを
・どのように…導入することを提案した
協調性をアピールする応募者は多いですから、エピソードに具体性を持たせ、周りとの差別化を図ることで、面接官にいい印象を与えやすくなるでしょう。
企業にどのような貢献ができるかという視点を盛り込む
自身の協調性によって、企業にどのような貢献ができるのかをアピールできるといいでしょう。これは、企業があなたを採用するメリットを、より明確にイメージさせるためです。
たとえ前職で協調性を遺憾なく発揮していたとしても、その能力が新しい職場でも通用するとは限りません。そのため、自身の協調性を活かして、志望企業でどのように活躍できるかを伝えられるといいでしょう。
入念に業界研究・企業研究を行って企業の風土や文化などを把握しておけば、自身がどのように活躍できるか、明確にアピールできるはずです。企業の利益に貢献する人材だと判断されれば、採用してもらえる可能性は高まります。
職種別・協調性を自己PRする際のポイント
職種によって、協調性が求められる場面は異なります。そのため、自己PRについても、志望する職種に合わせて変える必要があります。
続いては、協調性をアピールする際のポイントを、職種別に解説していきます。
営業職
営業職は、個人の売上が評価されやすい仕組みも相まって、個人の能力が尊重される場面も少なくない職種です。ですが、営業チームのメンバーと協力して売上を伸ばすというような、チームワークを重視する側面も重視されます。
ですから、業務フローを作成して営業部門全体の成約率を高めたり、クライアントの情報を共有するシステムを構築して業務の工数を減らしたりといった実績があれば、主体性を持ちつつも協調性がある人材として評価されるでしょう。
また、クライアントや社内との折衝は、高いコミュニケーション能力が求められる部分でもあるため、具体的なエピソードを交えて主体的な協調性をアピールするのがおすすめです。
事務職
事務職は社内外のさまざまな部署の人と関わる仕事です。そのため、それぞれの相手の立場に立ってサポートしたことをアピールするのがおすすめです。
例えば、「多忙な営業部門の負担を減らすため、顧客リストをより効率的に管理できるシステムを構築した」「提携企業と書類のやりとりをする際、困り事や要望をヒアリングして事務処理におけるトラブルを減らした」といったエピソードを盛り込めるといいでしょう。
製造業
製造業はラインに沿って業務を進めるため、ひとつの業務を効率化するだけで大幅な改善が見込める場合があります。しかし、独りよがりに効率化を推し進めてしまうと、ほかの工程を担当する人に迷惑をかけてしまうことにもなりかねません。
工場のような場所では、全員が協力していろいろな工程を経て、ひとつの製品を作り上げるため、効率化を目指す場合にも部署内のメンバーと協力することが大切です。これには、積極的な意見交換や課題を解決する能力も欠かせません。
このように、「主体性を持ちつつ周囲の人々にも配慮しながら業務を効率化した」というエピソードがあれば、大きなアピールポイントになるでしょう。
クリエイターなどの専門職
クリエイターなどの専門職は、特殊なスキルや知識を必要とします。そのため、自身の専門分野で成果を出すために行ってきた提案や工夫を、具体的にアピールできるといいでしょう。
また、専門職は別の領域を専門とする人々と連携して仕事をこなすケースも多々あります。そのため、「自身が担当する領域の知識をチームメンバーにわかりやすく共有し、プロジェクトを円滑に進めた」「協働したエンジニアの意見を尊重した上でコストを抑える方法を提案した」といった協調性をアピールするのがおすすめです。
企業が本当に求める協調性を把握しよう
今回は、自己PRで協調性をアピールする際のポイントをご紹介しました。協調性をアピールするには、企業の風土や文化を研究し、どのようなスキルが必要とされているのかを見極めることが大切です。また、単に受け身で周囲に同調するだけの協調性は評価されないケースが多いため、注意が必要といえます。
転職活動の自己PRで協調性をアピールしたい方は、ぜひ「主体的な協調性」にまつわる自身のエピソードを探してみてください。
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