外資系企業を思い浮かべたとき、名前が上がるのはよく知られた大手企業ではないでしょうか。転職しようと考えたら、外資系大手企業とはどのような企業を指すのか、どのような業種があるのか、働く上でメリット・デメリットがあるのか知っておくことが重要です。
本記事では、外資系大手企業の特徴や代表的な業種のほか、働く上でのメリットとデメリットを解説します。
外資系企業は大きく4つに分類される
一般的に外資系企業とは、外国資本によって運営されている会社と考えられていますが、実際にはいくつかのパターンがあります。まずは、外資系企業の主な分類を4つご紹介します。
外国企業が日本で設立した完全子会社(日本法人)
外資系企業と聞いて多くの人がイメージするのが、外国企業が設立した日本法人ではないでしょうか。日本以外の世界各国で現地法人を設立しており、国際的に知られている企業も数多くあります。資金が潤沢で、ブランド力のある企業が多いのが特徴です。
日系企業と外国企業が共同出資で設立した会社
外国企業が日本に進出するには、日本での商習慣や文化に適応する必要があります。そのため、ノウハウを持つ日系企業と共同出資して会社を設立することも少なくありません。
日系企業にとっては著名な海外企業のブランド力を活用できるなど、お互いにとってメリットがあるでしょう。外資系企業とされる出資比率に定義はありませんが、外国企業による出資比率が多いと、外資系企業として認知される傾向があります。
外国企業が日系企業の株式を取得したケース
日系企業の株式の大半を外国の企業が取得した場合、日本の企業であっても外資系企業に分類されます。買収によって経営陣や社内の文化が一新されるケースもありますが、経営母体が変わるだけで働き方は以前と変わらないケースもあるようです。
外国企業の日本支社
外国企業の本社が指揮・統括する支社や営業所を日本に置くケースも、外資系企業と呼ばれます。これは、100%外国資本の会社であり、本国の管理下にあるため、外資系企業に分類されます。
大企業・上場企業・大手企業の違い
事業を大規模に展開している企業や従業員数が多い企業は、「大企業」「大手企業」などと呼ばれます。大企業・上場企業・大手企業にはどのような違いがあるのでしょうか。
大企業には明確な定義がない
大企業には、明確な定義がありません。法人税法では資本金1億円を超える企業が大企業ですが、中小企業庁では業種ごとに定義が違い、資本金や出資総額、従業員数を分けています。
あえて分類するなら、「中小企業の定義を超える企業」が大企業といえるでしょう。
上場企業は株式上場している企業
上場企業とは、上場株式を発行している企業を指します。東証やJASDAQなど、さまざまな取引市場がありますが、上場するには流通株式数や時価総額、純資産額などの基準をクリアしなければなりません。それらの基準を満たして上場株式を発行している企業が上場企業であり、大企業に含まれることも多いです。
大手企業の定義はさらに曖昧
大手企業の定義は、大企業よりもさらに曖昧です。事業規模が大きい・従業員数が多い・知名度が高いなどの要素から、大手企業として認知されるケースが多いでしょう。大手企業が必ずしも上場企業とは限りませんが、資本金や従業員数が多い企業が、大手企業と呼ばれることが多いです。
外資系大手企業に多い業種と特徴
外資系大手企業には、さまざまな業種があります。続いては、外資系大手企業に多い業種の特徴と、代表的な企業の例をご紹介します。
外資系金融企業
外資系金融企業は、日系企業と比べて給与水準が高いとされる外資系企業の中でも、特に平均年収が高いといわれます。日系の金融業界経験者が、キャリアアップを図る際の目標として外資系の金融企業への転職を掲げることも多く、人気の高い業界です。
■外資系金融企業の例
企業名 | 本社 |
---|---|
ゴールドマン・サックス | アメリカ |
シティグループ・ジャパン・ホールディングス | アメリカ |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | アメリカ |
AIGジャパン・ホールディングス | アメリカ |
プルデンシャル・ファイナンシャル | アメリカ |
外資系コンサル企業
外資系コンサル企業も、金融系と並んで年収が高い傾向があります。世界的に知られるコンサルティングファームも数多くあり、転職希望者から人気があります。
■外資系コンサル企業の例
企業名 | 本社 |
---|---|
アクセンチュア | アイルランド |
デロイト トーマツ コンサルティング | アメリカ |
マッキンゼー・アンド・カンパニー | アメリカ |
ボストン コンサルティング グループ | アメリカ |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング | イギリス |
KPMGジャパン | スイス |
外資系コンサル企業についてはこちらの記事もご覧ください。
外資系コンサルティング企業への転職を目指す人のための基礎知識
外資系メーカー
同じ外資系メーカーでも、扱う製品によって特徴は異なります。総じて、同業種の日系企業より給与水準は高めですが、金融やコンサルといった業種と比べると、給与に占めるインセンティブの比率は低い傾向があります。
■外資系メーカーの例
企業名 | 本社 |
---|---|
P&Gジャパン | アメリカ |
ユニリーバ・ジャパン | イギリス |
ファイザー | アメリカ |
ジョンソン・エンド・ジョンソン | アメリカ |
ダウ・ケミカル日本 | アメリカ |
デュポン・ジャパン | アメリカ |
外資系メーカーについては、こちらの記事もご覧ください。
外資系IT企業
外資系IT企業は、日系IT企業よりも報酬が高いケースが少なくありません。エンジニアを筆頭に、能力の高い人材には高額の年俸を提示することもあります。
■外資系IT企業の例
企業名 | 本社 |
---|---|
日本マイクロソフト | アメリカ |
アメリカ | |
日本オラクル | アメリカ |
外資系IT企業については、こちらの記事もご覧ください。
外資系大手企業で働くメリット
外資系大手企業で働くことによって、具体的にどのようなメリットがあるでしょうか。主なメリットとして、次の4点が挙げられます。
1 給与水準が高い傾向がある
総じて外資系企業は、同業種の日系企業と比べて給与水準が高く設定されているケースが多いです。特に、大手企業であれば、ブランド力のために売上が大きかったり、採用コストが低かったりといった理由で、給与水準を高く設定できる可能性は高いです。
2 同ランクの日系企業より昇給・昇格機会が多い傾向がある
外資系企業は実力主義のことが多く、成果を出せば昇給の機会があります。また、連続して高評価を得られれば、年齢や在籍期間にかかわらず、昇格の機会があります。外資系大手企業であっても、それは同様です。
日系企業の中には年功序列の風潮が根強く残っている会社も少なくありませんが、外資系企業ではそういった傾向はあまりないでしょう。
3 仕事がスピーディーでやりがいがある
外資系企業は、大手企業であっても個人に大きな裁量が与えられます。書類をまとめて稟議を出して、会議を招集して承認を得てといったプロセスはなく、直属の上司がGOサインを出せば、即座に決定、実行ということも少なくありません。その分、短期間で結果を求められる側面もありますが、やりがいを感じられる環境です。
4 外資系企業でも福利厚生が整っているところが多い
外資系企業と聞くと、「福利厚生がない」といったイメージがあるかもしれません。ただし、最近は外資系企業でも福利厚生に力を入れる企業は多く、特に大手企業では、フリーフードやドリンクはもちろんのこと、自己啓発のための書籍代やセミナー代のほか、社員だけでなく社員の家族の学費まで補助するケースがあるようです。
有給休暇も日系企業より付与日数が多い上に、病気の場合に使う病気休暇が別に用意されていることも多いです。
外資系大手企業で働くデメリット
外資系大手企業で働くことには多くのメリットがある半面、デメリットとなる部分もあります。外資系大手企業に転職するのであれば、理解しておきたい3つのデメリットを紹介します。
1 大手であっても安定性が低い場合がある
日系企業の場合、大手=高い安定性というイメージが強いでしょう。しかし、外資系企業の場合は、大手であっても、必ずしも安定しているとはいえません。事業だけでなく所属している部門やチームが解散となる可能性はありますし、日本から事業が撤退することになれば解雇となることもあります。
大手だから安心とは言い切れず、常に「どの企業でも通用スキル」を磨いておくことが必要です。また、そういった研鑽ができる人こそが、外資系大手企業で活躍できるでしょう。
2 仕事の成果によっては給与が期待できない
外資系企業というと、給与が高いイメージがあるかもしれませんが、それは成果を出せている前提のもとです。外資系大手企業は実力主義のため、高い成果を挙げれば報酬に反映されます。しかし、仕事で成果を挙げられなければインセンティブが支給されず、給与が下がることもあるでしょう。
優れた成果を常に出し続けるには、相応の努力が求められます。成果をシビアに問われ、それが給与に反映されるため、強いプレッシャーを感じるかもしれません。
3 スピード感についていけない可能性がある
外資系企業は大手であっても意思決定が速く、スピード感があります。外資系企業の多くでは、日系企業と比べてマネージャーが大きな権限を持っており、上司の判断で事業方針が大幅に変更されることもあります。めまぐるしい変化にも柔軟に対応する能力が求められるでしょう。
また、意思決定が速いということは、未決事項があっても見切り発車で事業を進めることを意味しています。じっくりと計画した上で仕事を進めてきた人にとって、外資系大手企業のスピードについていくことは簡単ではありません。
外資系大手企業への転職は理想の働き方ができるかを考える
外資系大手企業は、多くの人がイメージする外資系企業のように、仕事がスピーディーで給与水準は高めです。一方、大手でも安定性があるとは言い難かったり、福利厚生は整っていたりといった面もあります。
外資系大手企業への転職を考えた場合は、大手とひとくくりにせず、その企業で自分の経験やスキルが活かせるか、理想の働き方ができるかをしっかり確認してください。
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