履歴書における資格・免許欄は、自分が保有する知識やスキル、強みを志望先企業に対してアピールするのに有効な項目です。しかし、闇雲に何でも書けばいいというわけではありません。資格の性質によっては、書くことによって評価が下がるケースもあるので注意が必要です。
この記事では、履歴書に書くべき資格や免許、書いたほうがアピールにつながる資格や免許のほか、順序など資格・免許欄における正しい書き方などについて解説します。
履歴書に書くべき資格
一口に資格といっても、その種類は多種多様です。国家資格だけでも300種類以上、民間資格を含めると数千種類に上り、難度や認知度も多岐にわたります。誰もが何らかの資格や免許を持っている時代といえるでしょう。
しかし、取得資格が就職や転職に役立つかどうかは、また別の話。中には、人事担当者の目にまったく止まらない資格や、むしろ書くとマイナスの印象を持たれる資格もあるため、注意が必要です。
まずは、持っていると就職や転職に有利で、履歴書に必ず書くべき資格からご紹介します。
国家資格
国家資格は、「国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格」と定義されています。国家資格保有者には、法律によって一定の社会的地位が保証されるということを意味しており、社会的信頼は極めて高いもの。国が保証している資格なので、履歴書に記載する有用性も高いことはいうまでもありません。
志望業種・職種関連の資格
転職したい業種や職種が明確に決まっているなら、その職種・業種に関連していて、転職してすぐに役立つ資格を取るほうが賢明でしょう。どんなに難度の高い国家資格を保有していても、転職したい業種や職種とまったく関連がなければ、面接時の話のネタで終わってしまうからです。
例えば、建設業界で働くことを目指すなら防災管理者やインテリアコーディネーター、人事・労務職を目指す人なら社会保険労務士などの資格が挙げられます。
語学系資格
経済のグローバル化が進む中、持っていて損はないのが語学系の資格です。かつて従業員に英語力を求める企業は、外資系企業や日系グローバル企業の海外関連部署などに限られていましたが、現在では海外に取引先を拡大したり、海外拠点を作ったりする日系企業も珍しくありません。
履歴書に書ける語学系資格には、唯一の国家資格である全国通訳案内士をはじめ、TOEICや英語検定(英検)などが挙げられます。TOEICスコアで見ると、海外とのやりとりが多く英語を使う機会が多い外資系企業なら、TOEIC800点以上または英検準1級以上、一般企業ならTOEIC600点以上が目安です。
中国語検定、イタリア語検定、ドイツ語技能検定などの1級以上は難度が高く、合格者が少ないため重宝されるでしょう。
そのほかのビジネスに役立つ資格
履歴書に書いて有効に働く資格としては、ほかに下記のようなものがあります。
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ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランニング技能士は、ファイナンシャルプランナー(FP)の国家資格です。ファイナンシャルプランナーは個人や家族のライフプラン(人生設計)にもとづいて、将来の収支の見通しを立て、最適な資産設計・資金計画を提案します。金融業界や保険業界はもちろん、不動産業界、コンサルティング業界などでも活用できる資格です。なお、ファイナンシャルプランナーには、AFPやCFPという民間資格もあります。 -
社会保険労務士
社会保険労務士は、社会保険労務士法にもとづいた国家資格です。企業の重要な資源である「人・物・お金」のうち、「人」の専門家です。社労士事務所だけでなく、一般企業に勤めた場合でも、総務・人事・労務管理などで活躍できます。 -
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)は、Word、Excel、PowerPointなど、Microsoft Office製品の利用スキルを証明できる国際資格です。Microsoft Office製品はほとんどの企業が使用しているソフトのため、即戦力としてのアピールになるはず。 -
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルタントとして唯一の国家資格です。中小企業の事業戦略や経営企画について、さまざまな角度から適切なアドバイスができる知識が身につきます。経営コンサルタントとしてはもちろん、マーケティングや生産管理など、さまざまな部門での活躍が見込める資格です。 -
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)
2016年10月、情報処理の促進に関する法律の改正に伴って誕生した国家資格が情報処理安全確保支援士(通称:登録セキスペ)です。企業におけるセキュリティ分野のマネジメント、インシデント対応、情報を安全に扱うための指導などを行います。 サイバー攻撃のリスクが高まる昨今、セキュリティに関する実践的な知識を持った情報処理安全確保支援士は、企業にとって信頼度の高い資格のひとつといえるでしょう。 -
日商簿記検定
日商簿記検定は、企業活動の経営状態や財務状況を把握するための基礎知識や計算能力を証明する公的資格です。日商簿記検定を保有していると、決算書を読む力やコスト感覚が身につくので、業種・職種を問わず役立つはず。ちなみに、日商簿記2級以上を持っていると、直接的に簿記を使わない職種への転職でも有利に働きます。さらに、日商簿記1級を取得していれば、税理士試験の受験資格を得られるのです。
履歴書への資格の書き方
実際に履歴書に資格を記載する際には、どのような書き方をしたらいいのでしょうか。ここでは、資格の書き方について確認します。
免許や資格は取得順に時系列で書く
資格が複数ある場合は、必ず取得した年月日が早いものから、時系列に沿って記載するようにしてください。受験日や交付日、登録日など、複数の日付があって判断に迷う場合は、合格通知や免許証に記載されている日付を確認してから書くと安心です。
アピールしたいものの順、あるいは応募先企業の業務内容に関する順で書くといった方法もありますので、どう書くかは転職エージェントに相談してみたほうがいいでしょう。
免許や資格名は正式名称で書く
免許や資格の名称は略称ではなく、正式な名称で書くのがセオリーです。一般的に普及している下記のような略称は、特に注意が必要ですので、事前に確認するようにしてください。
<略称と正式名称の例>
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英検:実用英語技能検定
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FP(ファイナンシャルプランナー):ファイナンシャル・プランニング技能士
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大型免許:大型自動車第一種/第二種免許
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漢検:日本漢字能力検定
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自動車免許:普通自動車第一種運転免許
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日商簿記:日本商工会議所簿記検定(日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験)
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MOS:マイクロソフト オフィス スペシャリスト(Microsoft Office Specialist)
各資格名の後には1マス分を空けて、「合格」「取得」といった状態を表す言葉を追記します。民間資格やあまり知られていない資格に関しては、資格名だけでなく実施団体も記載すると読む側にとって親切です。
志望先企業にアピール度の高い免許や資格を書く
免許や資格を履歴書に書く前に、志望先企業の募集要項にある「必須要件の資格」と「歓迎要件の資格」を必ず見直してください。必須資格を保有していなければ、応募をしても採用に至る確率は限りなくゼロに近いでしょう。
必須要件を満たしていることを前提とし、歓迎要件に含まれる資格、歓迎要件には書かれていないものの、志望先企業で活用できそうな資格を記載することをおすすめします。
資格や免許を書き終えたら「以上」、持っていない場合は「特になし」
必要な資格や免許をすべて書き終えたら、「以上」と書いて締めるようにしてください。
もし、志望先企業が求める資格をひとつも持っていない、普通自動車免許を含めて資格自体を何も持っていないという場合は、「特になし」と記載します。「特になし」に抵抗があるなら、セミナーや講座の受講歴や語学スクール、パソコンスクールの通学歴などを書くのもひとつの手です。
ただし、資格欄を埋めることにこだわりすぎて、無関係な資格を羅列するのは逆効果になります。むしろ、募集内容に対する理解度を疑われることになりかねないので、避けたほうがいいでしょう。
資格欄の書き方の具体例
ここまでのポイントを参考に、資格欄の書き方の具体例を下記に示します。ぜひ、参考にしてみてください。
■履歴書の資格欄の書き方例
平成◯年◯月 | 普通自動車第一種運転免許 取得 |
平成◯年◯月 | Microsoft Office Specialist 取得 |
平成◯年◯月 | TOEIC700点 取得 |
※現在、社会保険労務士の資格取得に向けて勉強中です。 | |
以上 |
履歴書に書くべきではない資格
国家資格などビジネスで活かせる資格とは異なり、履歴書に書くべきではない資格もあります。続いては、履歴書に書くべきではない資格についてご紹介します。
趣味系の認定資格
資格の中には、学ぶことで知見が広がり、暮らしを豊かにする種類のものが存在します。ことわざ検定、神社検定など、楽しみながら学び、検定合格に挑戦している人も多いのではないでしょうか。
しかし、転職時の履歴書においては、ビジネスと関係のない趣味の認定資格については書かないほうが無難といえます。どうしても話のネタにしたい資格があるときには、趣味・特技欄に記載しましょう。会話のきっかけになり、結果としてアピールにつなげられるかもしれません。
ちなみに業界やポジションによっては、趣味系の資格がプラスになることもあります。記載するかどうか迷った場合には、転職エージェントに相談してみてください。
業種・職種と関連のない資格
たとえ難度の高い資格でも、応募業種・職種とまったく関係のない資格の履歴書への記載は優先度が低くなります。書道や珠算などの資格で高い段位を書けば、努力したことを評価されると思うかもしれませんが、資格によってはむしろ採用側の「なぜこの資格を活かす仕事に就かないのか」といった疑念を芽生えさせることにつながりかねないからです。履歴書に記載するのは、できるだけ関連性の深い資格を優先的に記載するのが理想的です。
取得日の古い資格
10年以上前に取得した資格や免許は、有効期限が切れて失効していたり、名称が変わっていたりするほか、認定団体そのものが変わっていたりする場合があります。
場合によっては、「知識が古いままである」ことを先方にわざわざ知らせることにもなるため、履歴書記載前に更新時期や名称などを必ず確認しましょう。
低難度の資格
難度が低く、受験すればほぼ誰でも取れてしまう資格や免許は、書いてもアピールになりません。中学校中級程度の英語力が目安とされる英検4級などはその最たるものです。外資系企業への応募でなくても、転職の履歴書にそれを書くのは、英語力や常識が乏しいことをアピールしているようなものです。低い点数をわざわざ書くよりは、空欄にしたほうが無難です。
履歴書に資格を書くときの注意点
履歴書に資格を記載するときには、どのような点に注意したらいいのでしょうか。最後に、履歴書に資格を書く際の注意点をご紹介します。
志望先企業の業務に関連するなら「勉強中」でも可能
まだ取得していないものの、採用側にアピール度の高い資格の勉強を現在しているときは、「社労士試験合格に向けて勉強中」と記載します。
「求人票では日商簿記2級以上の取得者が歓迎されているが、自分は3級までしか取得していない」といったケースでは、現在の取得級を正しく記載した上で、「日商簿記2級取得を目指して勉強中」と付記してください。
失効して再取得を目指している資格、あるいは1次試験まで通っていて2次試験結果待ちの資格も、応募先企業にメリットがありそうなら、念のため書いておくことをおすすめします。
TOEICはスコアによってマイナスにもなる
履歴書に書くべき資格であるTOEICですが、スコアによっては採用側の評価を落とす可能性もあるので注意が必要です。平均点を割っている場合はもちろん、企業が求めるスコアに達していない場合も、企業側にいい印象は与えません。書くほどのスコアではないと判断したら、空欄で提出しましょう。
ちなみに、実務で英語を使用することが多い外資系企業などの専門職(800点以上のスコアが必須の職種)は、点数を満たしていなければ即座にマイナス評価になり、不採用になる確率が高くなります。職種にもよりますが、基本的に日系グローバル企業や外資系企業では800点以上を課すと考えたほうが確実です。
ただ、即戦力を求める中途採用では、技術職などほかのスキルがずば抜けている場合に限り、企業が求めるスコアレベルより低くても、採用になることがあります。
合格/取得の書き分けに気をつける
資格名の後には、「合格」あるいは「取得」と付記します。資格に応じて適切な文言が異なるので、下記を参考にしながら正しく記載するようにしてください。
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合格
「合格」は試験を受け、ある一定の基準をクリアして合格した場合に使用します。合格証が交付される英検や簿記検定などが該当するので注意してください。 -
取得
「取得」は、業務を行うためには必須の資格で、業務を行うための免許証が交付される資格に使用します。税理士、弁護士、医師などが代表的。免許を保有してないと運転資格がない普通自動車免許も「取得」です。
履歴書に書くべき資格を正しく選び、正しい書き方を心掛けよう
あなたが取得している資格は、応募先企業に貢献できることを伝えるのに役立ちます。反対に、資格の種類や書き方によっては、自身の評価を下げてしまう可能性も。
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