転職活動を始めようとして、「職務経歴書に書くことがないので転職活動が進まない」と悩む人は少なくありません。まだ経験が浅かったり、実績を上げられていなかったりした場合、どのように書けば応募先の企業にアピールできるのでしょうか?
この記事では、職務経歴書の目的や記入例、職務経歴書に書くことがない場合の具体的な書き方のほか、書く際の注意点についてご紹介します。
職務経歴書とは応募者の仕事に関する経験や情報をまとめた書類
職務経歴書は、これまでにどんな企業で働き、どのような仕事に取り組んできたのか、どのようなスキルを身につけたのかなど、応募者の仕事に関する経験や情報を記載する書類です。
面接官は職務経歴書を通して、「応募者が自社の戦力になるのか」「自社に対する志望度はどれほど高いのか」「仕事に対してどのぐらい前向きか」といったことを知ろうとします。ですから、職務経歴書を書く際には、下記のようなポイントに気をつけながら、企業側に自分の情報を伝える必要があります。
<転職活動において職務経歴書で伝えるべきポイント>
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なぜ応募先の企業で働きたいのか
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これまで培ってきた経験やスキルを、応募先の企業でどのように活かせるのか
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自分を採用することによって、応募先の企業にどのようなメリットがあるのか
職務経歴書に決まった形式はありません。内容や書式の自由度が高いため、書き方や書く内容によって、ほかの応募者との差別化を図ることができるのです。
履歴書との違い
履歴書は、応募者のプロフィールを記載する書類で、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、学歴、今回応募するまでの職歴、資格・特技・自己PRなどを記します。企業側は応募者の基本的な情報から、下記のような点を判断します。
<転職活動において履歴書で判断されるポイント>
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ルールにしたがってビジネス書類を書くビジネスマナーが備わっているか
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転職回数は何回か、各企業の在籍期間はどれくらいの期間か
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入社意欲は高いか
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居住地から無理なく通勤できるか
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持っている免許や資格は業務に活かせるか
履歴書は職務経歴書と違ってフォーマットがあり、書くべき項目も決まっているため、あまり苦労せずに書くことができるでしょう。
職務経歴書に書くことがない理由
「職務経歴書に書くことがない」と感じる応募者がいるのは、どういった理由があるのでしょうか。職務経歴書に書く際に悩む理由について、3つご紹介します。
経験が浅い、職歴がない
職務経歴書には、応募者が社会人になってから経験してきた仕事について記載します。「職務経歴書に書くことがない」と悩む人の多くは、自分の経験や能力、スキルに不安を感じているようです。
特に、第二新卒をはじめとした社会人経験の浅い人や転職回数が多くて1社で働いた期間が短い人は、業務経験に乏しいケースがほとんど。前職がアルバイトや契約社員などの非正規雇用で、正社員としての勤務経験がない人も同様の悩みを抱えがちです。
ただ、募集段階で第二新卒可としている企業は、そもそも応募者の社会人経験が浅いことはわかっています。つまり、職務経歴書を書く段階で、仕事の経験年数をあまり気にすることはないといえるでしょう。
仕事を通して身についた知識や得た学び、自分なりに工夫した点などについて、具体的に書くようにしてください。
スキルがない
職務経歴書で書くことがないと悩む人が「採用担当者の目を引くスキル」といって思い浮かべるのは、高い契約数を生み出す営業力や、エンジニアのような技術力といったものが多いのではないでしょうか。確かに、これらのスキルは転職先でも活用できることが多く、同職種への応募なら即戦力としての評価を得られます。
しかし、特別に専門性の高い仕事ではなくても、ルーティンワークにおける業務遂行能力も実は立派なスキルのひとつです。
ルーティンワークや定型業務が中心だった人は、「誰でもできる仕事しかやってきていないので、アピールポイントがない」と自分を過小評価しがちですが、決められた時間内に指示どおりの仕事をこなすことも、職務経歴書でアピールできる立派なスキルであると認識をあらためましょう。決まった仕事に取り組む中で、仕事の生産性を上げようとしていた工夫や努力なども併せて書くと効果的です。
実績を出していない
前職での実績が振るわず、企業の業績に貢献したとは言い難い場合は、職務経歴書に書く内容に困るでしょう。営業職やマーケティング職などにおいては数字の実績が求められるだけに、なおさら職務経歴書への書き方に迷います。企業や部署の業績そのものが悪い場合も、同様に苦労するかもしれません。
このようなケースでは、定量的な成果にはとらわれず、下記のような定性的な成果に目を向けます。
<定性的な成果の例>
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1日最低20件以上の飛び込み営業を半年間続けた
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マーケティングツールの導入を提案し、業務効率化を実践した
実績を出すために考えたアイディアやそれを取り組む際の工夫、努力を中心に書くようにしてください。
職務経歴書に書く内容と記入例
職務経歴書に書く項目は決まっています。ここからは、職務経歴書の項目ごとに、書くべき内容について具体的に解説します。
職務要約(職務概要)
職務要約(職務概要)は、職務経歴書の冒頭に記載する文章であり、あなたの職務経歴を簡潔にまとめたダイジェスト版です。長々と書くのは避け、簡潔にまとめるようにしてください。
職務要約は、下記のようにだいたい3~5行で200~300文字程度を目安にまとめるのが理想的です。
■職務要約例
●●大学を卒業後、幼児教育教材の開発・販売、および教育関連の出版事業を手掛ける会社に入社し、個人宅への教材営業に従事してきました。入社半年で同期約50名の中で1位の成績を上げ、社内MVPを獲得しました。その後は個人売上目標である月50万円を、3ヵ月連続で達成しています。
業務においては、常に効率化を意識して取り組み、上司にも従来のやり方の改善提案を行ってきました。
現在は8名の営業チームのマネージャーを務めており、生産性の高い組織を作ることを意識しています。
短い文章でも、読み手の興味や関心を喚起するように書きましょう。現職の経験や自分の得意分野、習得したスキルの中に即戦力として貢献できそうなポイントがあれば、うまく絡めて前面に押し出します。
あくまでも要約なので、仕事にかける思いや業界への関心などはここに書きません。その代わり、データで示せる実績は積極的に記載してください。
職務経歴
職務経歴は、担当している(していた)業務の詳しい内容、業務による実績、具体的に取り組んだことや工夫したことのほか、習得した言語やスキルなどを書きます。勤務期間や勤務先の名称を書くのは履歴書と同じですが、カスタマイズは自由です。
フォーマットがないので、書く人のセンスが試される項目でもあります。書き方には、次の3つの方式があります。
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編年体式
編年体式は、ごく一般的な職務経歴書の方式です。時系列に沿って、古いものから順に所属企業名、部門、職種、業務内容、アピールポイントなどを書きます。 -
逆編年体式
逆編年体式は編年体式の逆で、現職について記載してからさかのぼっていく方式です。 -
キャリア式
キャリア式は、職務内容ごとに経歴をまとめて書く方式です。勤務経験を職務内容や分野ごとに分類して書きます。複数領域の仕事をしてきた人や技術職の人などに向いています。また、キャリアやスキルが目立つので、転職回数が多い人におすすめです。
資格・免許
資格・免許の項目では、前職で取得している資格や免許があれば記載します。語学スキルは、「簡単なビジネスメールのやりとりが可能です」など、レベルがわかるように詳しく書きましょう。
資格は、取得年月日も下記のように記載します。履歴書の記載と重複しても問題ありませんが、表記はそろえてください。
<資格記載例>
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TOEIC公開テスト 650点取得(◯年◯月)
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Microsoft Office Specialist Excel 2019 エキスパート 合格(◯年◯月)
職務経歴書に書くことがない場合の具体的な書き方
職務経歴書にどうしても書くことが見つからない場合、どのような対処をすればいいのでしょうか。ここでは、職務経歴書に書くことがないときの、具体的な書き方について解説していきます。
意欲や人柄をアピールする
職務経歴書でアピールするポイントを、資格やスキルではなく、意欲や人柄に絞る書き方があります。学生時代も含めて、目の前の課題にどのように取り組んできたか、困難にぶつかったときにどう乗り越えてきたかを、前向きなエピソードとしてまとめるのです。
「なぜ応募先で働きたいのか」「どのようなモチベーションを持って今回の転職活動に取り組んでいるか」といった熱意を盛り込んでもいいでしょう。
これまでの経験を掘り下げる
職務経歴書に書くことがないとき、1つの経験をじっくり掘り下げることで、自分の強みを見つける方法があります。これまでの経験の中で印象的なものをピックアップし、その中の1つを掘り下げてみましょう。
例えば、「前職の営業サポートで『あなたが作った資料は見やすい』と営業スタッフにほめてもらった」という経験があるとします。この経験をそのまま書いても、「依頼された資料を見やすく作成できる人」という印象しか与えることができませんが、深掘りすると下記のようなポイントが浮かび上がってきます。
<自分の経験を具体的に掘り下げた例>
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営業スタッフが使っていた資料が古く「クライアントに説明しにくい」と話していた
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どこが説明しにくいのかをヒアリングし、図やグラフを入れた資料に再構成した
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モノクロで味気ない資料だったので、イラストを入れたり色を使ったりしてデザインに力を入れた
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営業スタッフに展開したところ、早速営業活動に使ってくれ、成約につながった
この例のように、「困っている人の話を丁寧に聞き、課題発見と解決策を見いだすのが得意である」「クライアントの視点に立った仕事ができる」という得意分野が見えてくるのです。
契約社員やアルバイトの場合は、応用できる能力に注目する
契約社員やアルバイト・パートタイムの経験しかなくても、業種や職種内容に関係なく応用できるスキルに目を向けて、職務経歴書に書くようにしましょう。なぜなら、仕事で得た「経験の価値」は、正社員と変わりがないからです。
特に、接客によって獲得したコミュニケーション能力、事務作業で得たパソコンスキルなどは、どんな仕事にも活用できるはず。
留学経験で得たチャレンジ精神やグローバルな視点を強みにする
留学経験は、語学力があることだけではなく、チャレンジ精神があること、グローバルな視点を得ていることなどのアピールにつながります。応募先企業や業種・職種で外国語を使うかどうかわからなくても、留学経験がある場合は必ず記載しましょう。
学生時代の短期留学であっても、留学に挑戦しようと考えた理由や留学先での経験などを思い出して、アピールにつながりそうな点を丁寧にピックアップすることをおすすめします。
職務経歴書を書く際の注意点
職務経歴書は目的を踏まえて、採用担当者が読みやすいように書くことが大切です。ここでは、職務経歴書を書く際に意識すべき、4つの注意点をご紹介します。
自分を採用するメリットを伝える
職務経歴書は、ほかの応募者と比較検討するための資料です。そのため、書類の中で自分を強く印象付け、採用担当者に「この人を採用したい」と思ってもらうことが何より重要となります。ほかの人にない特徴、強み、経験などは、確実に記載してください。
「採用後の研修で学びたい」「実務を通して成長したい」といった受け身の姿勢を感じる書き方は、避けたほうがいいでしょう。みずから学ぶ意欲を示し、即戦力として採用するメリットを企業側に伝えます。
採用担当者が読みやすい構成・レイアウトを心掛ける
読みにくい職務経歴書は、忙しい採用担当者にとって、大きなストレスをかけます。たくさんの応募書類に目を通す採用担当者の目線に立ち、できるだけ読みやすい構成とレイアウトを心掛けてください。
基本的な構成は下記のとおりです。
<職務経歴書の構成>
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タイトル(「職務経歴書」と記載)、氏名、日付
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職務要約
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現職の情報(企業名、業務内容、企業規模、事業内容など)
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自分のこれまでの職務経歴
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保有する知識、スキル
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資格、免許
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自己PR
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志望動機
職務経歴書は文字だけで構成されるので、あまりに文字間や行間を詰めすぎると見づらくなります。文章は適宜改行し、項目名を書いて「知りたい情報がすぐ見つかる」状態にすることを意識してください。
採用担当者にとって必要な情報のみを書く
職務経歴書は、職務を通じて得た経験や強み、特徴、志望度などを採用担当者に伝えるためのものです。現職で感じていたことや、前職でのクライアントとのやりとりなど、経験から思い出したエピソードを書き連ねただけの職務経歴書作成はおすすめできません。
無駄の多い職務経歴書は、焦点がぼやけてあなた自身の魅力が伝わりにくくなります。採用担当者が知りたい事実だけを書くことが選考通過のコツです。
ちなみに年間売り上げ○○円や、担当クライアント○○社、業務効率○○%改善といったように、どの職種においても数字を入れることで、採用担当者や面接担当者にとってわかりやすく、判断しやすい職務経歴書となります。
誤字脱字や数値違いに注意する
職務経歴書の誤字脱字や数字の間違いは、ビジネスパーソンとして頼りない印象を与えます。ビジネスマナーや自社に対する志望度に疑問を感じる採用担当者も多いはず。職務経歴書を書き終えたら、必ず見直しましょう。家族や友人など、信頼できる第三者にチェックしてもらうのも効果的です。
書いてから、少し時間を置いて客観的に見直すと、書いていたときには気づかなかった記載ミスに気づきやすくなります。
職種別・職務経歴書を書く際のポイントとは?
職務経歴書は、応募職種に応じて書き方を変えると、求める要件とのマッチングを採用担当者が見極めやすくなります。最後に、職種ごとの職務経歴書の書き分けのポイントについて見ていきましょう。
「履歴書・職務経歴書の書き方がよくわからない」という人は、こちらのテンプレートをご利用ください。
英文履歴書(レジュメ)・職務経歴書・カバーレター テンプレート ・サンプル
営業職の職務経歴書のポイント
営業職の職務経歴書を書く際には、下記の4つの要素を必ず盛り込むようにしてください。
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商材の種類
商材は、住宅や車など、商品が目に見える形で存在する「有形商材」と、金融商品や求人広告のように形のない「無形商材」に分かれます。商材が違えば商談時に必要なスキルが異なるため、扱ってきた商材について記載するようにしましょう。 -
顧客の種類
対象顧客が法人(BtoB)だったのか、個人(BtoC)だったのかを記載します。法人の場合、「メーカー営業」「商社営業」といったように、対象業界もつけ加えると、採用担当者はよりイメージしやすくなります。 -
手法の種類
営業手法には、新規開拓、既存顧客へのルート営業、反響営業などがあります。職務経歴書には、どのような手法で仕事に取り組んできたのかを書くべきでしょう。 -
実績、成果の種類
実績や成果は、定量的なものや定性的なものがあります。職務経歴書ではできるだけ数字を用いて、具体的な営業成績を記載します。
事務職の職務経歴書のポイント
事務職において必要なPCスキルは、業界を問わず共通して使える普遍的なスキルです。ExcelやWordなどを使ってどのような文書を作成できるか、各ソフトのスキルレベルがわかるように記載してください。
データ入力など、PCを使った業務を担当してきた場合は、業務の内容や特徴、ボリュームがわかるよう、所属部署の規模や処理件数もアピールすることをおすすめします。
販売職の職務経歴書のポイント
販売職も営業職と同様で、商材やターゲット層を明記します。自身や店舗の販売実績と併せて、売上目標達成に向けて実践したことを記載してください。
販売職から未経験の職種に転身する場合は、業種を超えて活用できるスキルとして「業務効率化の工夫」「お客のニーズに対して適切な提案ができる能力」「PCスキル」などを記載すると効果的です。
技術・エンジニア職の職務経歴書のポイント
技術職は、その専門性の高さから、即戦力として活躍できるスキルが最大の強みです。これまで培ってきた経験やスキルが転職先でも活かせるなら、その旨をわかりやすく、目立つように職務経歴書に記載します。
未経験からチャレンジする場合は、具体的な資格名を挙げて資格取得に向けた勉強をしているなど、学習意欲をアピールすると好印象を与えられるのでしょう。
職務経歴書の書き方に迷ったら、転職エージェントにアドバイスを求めよう
職務経歴書は、転職時の大切なアピールツールです。職務経歴書に書くことがないと悩んでいる人も、自分の経験を一つひとつ振り返り、深掘りして、強みや特徴を見つけるようにしてください。
書くことがないからといって嘘を書いたり、誇張したりするのは禁物です。面接担当者は人を見るプロフェッショナル。矛盾を感じた点はすぐに追及されます。嘘が露見すれば、不合格になるのはもちろん、入社後の発覚であれば解雇となるリスクも。どうしても職務経歴書が書けないときは、転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンでは、経験豊富なコンサルタントがお話を伺って、職務経歴書の書き方をアドバイスしています。お困りの際は、お気軽にご相談ください。
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
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