元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。外資系に転職したいけれど、英語力が足りないかもしれないと悩んでおられる方のために、英語力強化のヒントを2回に渡ってお届けします。今日は後半戦です。
24歳の時、初めてのNY出張に行きました。当時、すでに日本法人でアメリカ人駐在員と毎日英語で仕事をしており、英語圏に行けることを楽しみにしていました。
ところが、NY本社に顔を出した私はギャフンという目に会うことになります。なんと英語が聞き取れないのです。東海岸(NY、ボストンなど)はアメリカの中でも早口であること、日本に長く住んでいる駐在員は、自分のナチュラルスピードで話すと日本人に理解してもらえないので、自然とゆっくり話すようになることを全く知らなかったのです。
会議では早口英語に圧倒され、手も挙げず指名もされずに意見をどんどん言う同僚たちに気後れし、何も発言できませんでした。
続くセミナーは、コロンビア大学博士号の講師の早口英語がとにかく聴き取れません。グループワークでもほとんど発言できず、何のためにアメリカまで来たのかわからないようなことになりました。
その夜、私はNYのホテルで泣きました。自分が情けなくて、涙がポロポロ出てきて止まりませんでした。チープなプライドが傷ついたのでしょう。若いということは素敵ですが、時々「痛い」ですね。外国語なのですから、母国語と同じようにできなくて当たり前とは思えなかった、24歳の私を抱きしめてあげたいです。
自分の英語がまだまだであること、ビジネスで通用しないことを思い知ったので、帰国後もう一度英語を勉強すると決めました。
さて、どうしたらよいでしょう? 明らかにリスニング力に問題があるし、もっと積極的に発言できるようにならなければいけません。
リスニング強化のために、ラジオでFEN Armed Forces Radioを聴き始めました。完全にネイティブ向けで、まるで聞き取れませんでしたが時間が経てば耳が慣れるという思い込みで、半年ほど続けました。
慣れませんでした(笑) 私の当時のリスニング力と流れている英語の間にGAPがあったのでしょう。これでは続けていても無駄かもしれないと、ヒヤリングマラソンのような英語学習者のために作成された教材を聞くことに途中で切り替え、こちらは効果があったと思います。
今なら、字幕入りのYouTubeやpodcastがいくらでもあるので、もっと英語漬けにすることが簡単です。リスニング力が向上するだけではなく、自分の中に英単語やフレーズも実は蓄積されていき、いつか能動的に口から出てくるようになるので、ヒヤリングはお勧めです。
2つめに英語で本を読むことを始めました。
私の課題は海外に住んだことがないので、生活用語、例えば「お皿を下げる」(clear away dishes)を知らないことでした。これには小説を100冊読むことで対応しました。自分の英語力に応じて面白いものを選んでいくことにしました。
英語のレベルが易しい順に、お勧め作家を挙げておきます。
彼らの代表作は全て映画化されているので、ストーリーが万人受けして面白いはずです。
● Sydney Sheldon; The other side of midnight (真夜中は違う顔) を皮切りにたぶん全作品読んでいます。
● Frederick Forsyth; The Day of the Jackal (ジャッカルの日)
● Robert Ludlum; Jason Bourne (ジェイソン・ボーン)
そうは言っても、できればビジネス書を読みたい方は、
Dale Carnegie; How to win friends and influence people(人を動かす)
などからスタートして、興味がある分野の本や雑誌を読むといいでしょう。
くれぐれもストレッチしすぎない、今の英語レベルであまり問題なく読み進められるものを選んでください。知らない英単語が多すぎると、嫌になって挫折してしまい意味がないことになります。目的は多量の英語を自分の中に貯めることなので、楽しく続けましょう。
SEで英語が好きという方にあまり出会ったことがありません。その場合は、IT系の雑誌を読み知識を増やすという別の目的にすり替えつつ、英語力も上げるなど工夫が必要です。
ボーダーレスな現代、グローバルな仕事をする上で英語は必須です。
20歳過ぎて勉強を始めたら、ネイティブの発音になることは無理ですが、求められているのはグロービッシュ。世界の人たちと仕事ができればそれでツールとしての役目は十分果たしますので、グローバル人材のOSと思って積み上げてください。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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