元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は外資系勤務のメリットの続編です。以前に企業文化という大きな括りで外資系に勤めることのメリットをお伝えしました。その後、日系企業にお勤めの方々との座談会で、職場での日常の中に小さなテーマだけれどQOL(Quality of Life, 生活の質)に影響を与える項目があることに気がつきましたので、本日は外資系勤務のメリット・QOL編をお届けします。
会議の効率
私が務めた外資系はほとんど米国企業なので生産性を重んじる傾向が強かったです。彼らにとって会議とは、もちろんブレインストーミングだけのこともありますが、大抵の場合は問題を解決し次に進むためのアクションを決める場でした。無駄な会議ばかりで、なかなか自分の仕事に手がつけられない、生産性が低い状況はあまり見かけません。会議に割く時間が長いと、残業が増えるのでQOLが下がります。
米国流会議の特徴は以下になります。
①アジェンダが存在する – 何を話すべき会議なのかが明確
②参加者は役職の序列に関係なく発言できる – Assertivenessが非常に重要
③ディスカッションが議題からずれる事はあまりない – 結果重視
④最後にアクションアイテムが決まっている – 結果重視
⑤ほぼ定刻通りに始まり、定刻通りに終わる – 参加者の時間に対するリスペクト
生産性高くやりやすい会議ですが、日本人にとっての課題は②の序列に関係なく発言できるかです。ただ座っていることに意義はなく参加したと見なされないので、帰国子女でない人は慣れるまで時間がかかります。私も言語が英語の場合、発言しようと英文を頭で組み立てているうちに議題が他に変わっていたりと、最初の頃は本当に苦労しました。英語力が足りないうちは、「最後のQ&Aのパートで気が利いた質問をする」ことだけに集中していました。少しずつ慣れて発言できるようになる(正確には、ならざるを得ない)ので、最初のハードルだけなんとか乗り越えましょう。
休暇の取り方
すっかり当たり前になっていて私が見落としたのは休暇取得の自由度です。
厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、2018年の有給休暇取得率は52.4%で前年より1.3%増加しています。平均取得日数も9.4%と緩やかに上昇していますが、翌年に繰り越せる休暇日数が20日であることを考慮すると、かなりの人が有給休暇を捨てている状況です。
私は通算で25年間外資系に勤めましたが、遠慮していたのは最初の5~6年でした。そのあとは1年に2回,
1~2週間の休暇を取っており、私の休暇取得率は、85%を下ることはなかったと記憶しています。外資だったこと上司が途中からずっと外国人だったこともあり、何か言われた経験はありません。もちろん忙しくて部下たちが仕事漬けになっているような時に自分だけが取るような事はしませんでした。状況をよく見て計画的であれば、休暇は労働者の権利なので誰からもう何も言われず取得することができました。私自身も、部下から休暇申請をもらって却下したことや理由を尋ねた事はありません。
海外に目を向ければ、米国東海岸では明日から3連休となると、準備があるからと社員が夕方早めに帰宅し始めます。米国西海岸では、午後の2時ごろ帰宅し始めてグローバル会議のためにわざわざ出張しているアジア人メンバーを驚かせました。ところ変わってオーストラリアのメルボルンでは、3連休前の金曜日をお休みにする会社も多いと休みを満喫していることがわかります。
儒教が根底にある国は人生の楽しみ方が抑制的なことが多く、日本も例外ではありません。Work hard, play hardで過ごすことを求める方は、外資の方が断然有利な環境です。
飲みニケーションの頻度
コロナでオンラインになっても、飲みニケーションにこだわる上司が多いことを知りとても残念に思います。20代30代の方で、職場の同僚や上司と毎週のようにオンラインにしてまでも、飲み会をしたいと思っている人はあまりいないはずです。 カメラに映らなければ見えない事もあり、洗濯物を畳んだりネイルを塗り替えている人もいるそうです。社員の士気を上げようとしながら実はモチベーションを下げてしまっている、とても残念な例です典型的な例でしょう。
飲みニュケーションの弊害は、主に下記などが考えられます
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そもそも業務時間外なのかどうかがはっきりしない(本来は残業代?)
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仕事の話をするのであれば全員参加が前提だが、開催の時間帯により参加できない人はどうしても出るので不平等
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アルコールに酔い、一部の参加者が職場に相応しくない言動を取る可能性もある
日本企業の現マネジメント世代が交代しないと、飲みニュケーション文化が消滅はしないかもしれません。業務時間外は、家族と過ごしたり友人と飲みに行ったり、習い事をしたり、自分のために使いたい人は外資がお勧めです。ただし、日本に進出して30年も経つ外国人比率が2割以下で、1,500人以上の企業はかなり日本的ですのでお気をつけ下さい。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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