外資系企業への転職を目指している人の中には、「MBA」の取得も考えている人もいるのではないでしょうか。または、自身の今後のキャリアプランを考える上で、MBAの取得を検討している人もいるかもしれません。
そこで今回は、外資系企業への転職に役立つとされるMBAの概要や取得方法について解説します。MBAが有利に働く業界もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
MBAとは?
ビジネスパーソンであれば、一度は聞いたことがあるであろう「MBA」。そもそも、MBAとは何なのでしょうか。まずは、MBAの概要と取得方法についてみていきましょう。
MBAは資格ではなく学位
MBAは、「Master of Business Administration」の略称です。「経営修士号」「経営管理修士号」とも呼ばれており、経営学の大学院修士課程を修了した人に与えられる学位を指します。MBAは、弁護士や司法書士のような資格ではなく、あくまで学位です。
MBA修士課程では、ヒト・モノ・カネといった経営資源に加え、経済学、法律など、経営に関わるさまざまな要素について学びます。そのため、MBAホルダー(MBA取得者)は、経営のスペシャリストとしてビジネスのさまざまな局面で活躍が期待されます。
MBAの発祥と世界的な発展
MBAの発祥は、アメリカで1881年に設立された世界初のビジネススクールである「ウォートン・スクール」といわれています。その後、1908年に設立されたハーバード・ビジネス・スクールで、現在のMBAの基礎ができました。
また、1916年には、MBAの認証を行う国際機関AACSB(The Association to Advance Collegiate Schools of Business)が立ち上がり、現在では30以上の国と500以上の教育機関がAACSBのメンバーとなっています。
MBAの認証機関はその後も増えており、1967年にはAMBA(Association of MBAs)、1972年にはEFMD(European Foundation for Management Development)が設立されています。
認証の基準はそれぞれ異なりますが、いずれも、MBAの学習カリキュラムの質を高めるための機関であるという点は共通しています。
MBAは日本国内でも海外でも取得できる
MBAは、日本国内か海外のビジネススクールに通うことで取得できます。国内と海外ではそれぞれ異なるメリットがあるため、自身に合った学習方法を選びましょう。
・国内でMBAを取得する場合
日本では、夜間や休日に講義を行う、「パートタイム制」を採用しているビジネススクールが多くあります。そのため、会社に勤めながらMBAを取得することも可能でしょう。一方、「フルタイム制」のスクールでは、留学やインターンシップの機会が設けられるため、実践的な経験を積めます。
また、国内のビジネススクールは、海外に比べて授業料が安価であるというメリットもあります。
・海外でMBAを取得する場合
海外の有名なビジネススクールは、世界中から優秀な学生が集まっていることが特徴です。レベルの高い学生とともに講義を受けて議論できるという学習環境は、経営学のスペシャリストへと成長するにはうってつけです。授業時間も日本より海外のスクールのほうが長いため、より多くのことを学びたいという意欲的な人におすすめです。
ただし、海外でMBAを取得するには、会社を退職または休職する必要があるほか、授業についていくための語学力が必要となります。
外資系企業への転職は、MBAを持っていたほうがいい?
「外資系企業への転職ではMBAを取得していると有利」という噂を聞いたことがある方は多いと思います。しかし、これは事実なのでしょうか。
結論からいえば、MBAを取得することで転職が有利になる可能性はありますが、必ず取得しなければならないともいえません。ここでは、その理由を解説します。
MBAを取得すると即戦力として評価されやすい
外資系企業は日本の企業に比べて、即戦力の人材を求める傾向があります。ですから、MBAを取得することで、経営のプロとして外資系企業から重宝される可能性が高くなるのです。これは、MBAが実践的な経営について学ぶものであるためです。そのため、MBAホルダーは、プロジェクトのリーダーを任せられる人材として採用される可能性は少なくありません。
また、MBAでは論理的思考力や分析力、問題解決能力といったビジネスで大切なスキルも磨くことができます。
上記のような理由から、MBAが外資系企業への転職で有利に働く可能性は十分にあります。
MBAを取得するかどうかは何を目指すかによる
MBAは、外資系企業への転職に有利ではありますが、必要不可欠であるとはいえません。なぜならMBAは、企業の中核を担うために役立つスキルであるからです。
MBAは、リーダーシップをとりながら管理職を目指すのであれば、有利に働きます。MBAで培った経営に関する幅広い知識は、企業の中枢を担う人材として有用といえるでしょう。
その一方で、ある分野のスペシャリストを目指すのであれば、MBAの取得に多大な時間と学費をかけても、それに見合う恩恵を受けられない可能性があります。特定の分野に特化したいのであれば、MBAよりも専門知識を学んだほうがいいかもしれません。
そのため、MBAを取得するかどうかは、自身のキャリアプランを考慮して検討する必要があるでしょう。
MBAホルダーが活きる業界とは?
これまで解説したように、MBAは自身の目指す方向性や業界を考えて取得する必要があるといえます。では、具体的にどのような業界でMBAの需要が高いのでしょうか。
外資系企業の中でも人気の高い業界では、やはりMBA取得が転職に有利になるようです。また、実際にMBAホルダーが転職を希望している業界もご紹介します。
金融業界・コンサルティング業界でMBAの需要が高い
主に外資系の金融業界では、リーマンショック以降、MBAの需要が減少してしまいました。しかし、いまだにMBAに対する根強い需要は存在しています。代表例としては、ゴールドマン・サックス証券をはじめとする投資銀行や、フォートレス・ジャパン・インカム・ファンドといったファンドがMBAホルダーの採用に積極的です。
中でも、MBAホルダーの割合が最も多い業界は、プライベート・エクイティ・ファンドです。こちらの業界では投資先企業の経営に密接に関わるケースも多く、MBAの需要が高いと考えられます。
また、広い経営知識を有するMBAは、企業を俯瞰的に見て課題点や解決策を指導するコンサルティング業界でも人気があります。これらの業界を目指す人は、MBAの取得を視野に入れてもいいかもしれません。
近年はIT業界、スタートアップ、ベンチャー企業がMBAホルダーに人気
近年、MBAホルダーが転職を希望する企業ランキングでは、GoogleやAppleといった大手IT企業が上位にランクインしています。
また、新たなビジネスモデルを作ることを目指すスタートアップでも、MBAの人気は高まっています。とりわけ、IT系のスタートアップ企業では、経営戦略の立案やマネジメントスキルが活かせる「プロダクトマネージャー」としてMBAホルダーを採用する動きがあるようです。MBAホルダーにとっては、その職種を経験することでプログラミング言語などの専門知識を身につけられるというメリットもあります。そのため、MBAホルダーがプロダクトマネージャーを経験した上で、起業するという流れも生まれています。
MBAの取得は外資系企業への転職では大いに役立つ
今回は、MBAの取得と外資系企業への転職について解説しました。MBAを取得していなければ外資系企業へ転職できないというわけではありません。しかし、MBAホルダーは経営に関する幅広い知識を持っているため、転職活動で有利に働く可能性は大いにあります。
また、大手グローバル企業の中には、MBAの取得が経営幹部になるための必須条件として設定されているところもあります。
MBAの取得には多大な費用と時間が必要ですから、自身のキャリアプランやキャリアパスも併せて検討してみてください。
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンでは、外資系・日系グローバル企業の案件を中心に、国内外のさまざまな優良企業の採用活動を支援しています。そのため、それぞれの方が求める最適なキャリアの選択肢をご紹介可能です。
「グローバルに働いてみたい」「より自分が輝ける場所で働きたい」「自分の選択肢を広げたい」といった方は、一度ご相談ください。業界経験豊富なコンサルタントが、みなさまのキャリアを全力でサポートいたします。