元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。先日、元部下の方が転職するというのでレファレンスを頼まれ、転職エージェントと電話でお話しました。今日のテーマは、レファレンス(Reference)についてです。
レファレンスとは、主にマネジャー以上の候補者が外資に転職する際に、過去に一緒に仕事をしたことがある人に、当時の仕事ぶりについて聞くことを意味します。転職エージェント経由の転職であれば彼らが、そうでない場合は企業人事の採用担当者から電話があり、所要時間は15分くらいです。レファレンスがある場合、2名を選んで先方にコンタクトがある旨を、事前に知らせておいて欲しいとリクエストされます。
レファレンスの流れ
内容はまず、どのような関係だったかです。レファレンスを頼む相手は理想的には昔の上司なのですが、前職が無かったり、上司と折り合いが悪くて頼めなかったりする場合は、同僚、他部署の方、付き合いの長い業者さんなどにお願いすることになります。つまり、マネジャー以上のポジションに就くようになったら、自分の過去の仕事ぶりを評価してくれる人が、二人くらいはいないと困ります。私の場合は、依頼された彼にとっての元上司だったので「元上司です」と答えました。
次に聞かれることは、どのくらいの期間、一緒に仕事をしたことがあるかです。あまり短い期間では、仕事ぶりを客観的に評価できないだろうという配慮から来る質問です。私の場合は、「2006年から2010年」と答えました。
仕事をした期間を聞かれた次に聞かれることは、候補者の強みです。うまく答えてもらうには、ポジションのJD(職務記述書)を先方に送るのがコツです。JDには、どのような人材が理想の候補者かが書いてあるので、本人の強みと照らし合わせて、その会社・ポジションで求められそうなトップ3くらいを挙げて、具体的に伝えることが可能になります。JDがないと、昔の仕事ぶりを思い浮かべて記憶にある強みを伝えることになるので、必ずしも転職先が求めている資質を挙げるとは限らないです。
その後に聞かれることは、「世の中に完璧な人は存在しないので、ここは少し改善したほうがいいかもしれないと思う点は何ですか?」もしくは「新しい職場で彼/彼女の上司になる方が、ここに気をつけて候補者をマネージしたほうがいいと思う点は何ですか?」です。転職エージェントも、候補者がその知り合いに頼んでいるレファレンスなので、常識で考えれば悪いことが出るはずはないとわかっています。良いことばかりを伝える、偏ったフィードバックに少しでもならないようにしたいためにする質問です。
ここをどう扱うかは、レファレンスを頼まれた方によって違うと思いますが、私は致命的な欠点は挙げないようにしています。転職しようとしている人材の機会を潰すようなことはしたくないからです。仕事ぶりに致命的なマイナスを与えないような無難なこと、例えば「頭の回転が早い人なので、少し早口かもしれません。相手によっては少しゆっくりしゃべってもいいかもしれません。」とか「相手の気持ちを汲める人なので、ストレートな物言いは苦手かもしれません」などと答えます。実は後者の実態は、「曖昧な表現が多くて意図することが伝わりにくい」なのですが、このままでは外資では明らかな欠点になりますので、言葉を選ぶようにしています。もちろん自分の信用もかかっているので、嘘はつきません。
レファレンスを頼む場合、自分に好意的であることと基本的にポジティブな方を選ぶことが鍵です。頼まれた方は、相手が新しい機会を得ようとしていることを鑑みて、マイナスにならないよう配慮してあげられるといいでしょう。
最後に、「何か言い足りないことはありませんか?」と聞かれます。大体の場合は、特に補足する必要は無いことが多いので、「特にありません」と答えて無事に終了します。
レファレンスで気を付けておくべきこと
英文履歴書に、Referenceとして最初から名前と電話番号を書いてある場合がたまにありますが、個人情報に敏感な日本ではやめておいた方が無難です。お世話になった方々の個人情報をばらまかない方が良いので、履歴書にスペースがあれば、Reference available upon request. と書けばよく、スペースがなければ書かなくても大丈夫です。
レファレンスをお願いする方が初めてだと気がついたら、どのような流れになるのか、できればこのように答えて欲しいというお願いを、応募したポジションのJD(職務記述書)と一緒にメールしてあげると先方の負担を軽減できます。結果として、ご自分に有利なレファレンスを出してもらうことに繋がるでしょう。
まとめ
本日は、転職時のレファレンスについてお伝えしました。外資のマネジャー以上のポジションに応募した場合、転職活動の後半にレファレンス・チェックをされる場合があることを覚えておいてください。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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