元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、外資系の良い所です。現在日本企業にお勤めの方が外資系への転職を考えたい時、メリットとデメリットが事前にわかると判断しやすいはずなので、本日のコラムではまず「外資系の良いところ」を取り上げます。
1. 成果主義で年功序列でない
現在、外資系に勤めている人に「外資系で働くメリットは何でしょうか?」と聞いたら、一番最初に出てくるのが成果主義でしょう。性別や年齢に関係なく、モチベーション高く成果をきちんと上げた人が、昇進・昇給できる人事制度が整っています。
私の人事経験の中で最速で昇進した人は、3年でマネージャーからシニアマネージャー、そしてディレクターに出世しました。異例に早い昇進でしたが、本人がそれだけの成果を出していたので、周囲で異を唱えたり疑問を呈しす人はいませんでした。 もちろん、全ての人材がこれほど速く昇進できるわけではありませんが、成果が評価されることは社員のモチベーションを上げる大きな要因です。
2. 職務記述書が存在し、仕事の内容が明確である
外資系はジョブ型雇用なので、一つ一つのポジションに対してJD (ジョブディスクリプション) =職務記述書なるものが存在します。
ポジションごとに、何をする仕事なのかと言うことが現職の属人性と関係なく客観的に書かれています。採用の時、また昇進の時などに使われる書類です。
チームで仕事をするのだと言われ、本来自分の仕事ではないことでも草野球的にボールが落ちないように仕事をする日本企業の働き方は、人によってはストレスを生み出す可能性も高いです。自分が行うべき仕事の内容、どこまでを期待されているのかと言う目標値がはっきりしていて、評価がフェアにな事も外資系の良いところです。
3. 個性をよしとする
企業文化を語るにあたっては、「集団主義 vs 個人主義」が頻繁に議論されます。ホフステードの6次元異文化モデルによれば、日本の個人主義度は46(1~100で数値が高いほど個人主義)で、私たちの感覚値よりは集団主義ではないです。ただ他の人と同じであると安心する国民性を持つため、無意識に同調圧力が働きます。
他の人より目立つと、出る杭になってしまい集団の中で孤立したり、叩かれていづらいことが発生します。もちろん外資でも、悪目立ちする人は周りにはよく思われませんが、すべては比較と程度の問題です。集団の中でみんなと同じでありたいと言う欲求があまりない方、個性の強い方にとって外資系企業は働きやすい環境です。
4. キャリア形成は自己責任
日本企業の場合は異動を会社が決定するため、どのようなキャリアを自分が辿る事になるのか前例を見ればわかることが多いです。社内研修もある年次までは同じものを全員が取るなど、キャリア形成の舵を社員自身が取ることは難しいです。
外資の場合は、キャリアを形成する責任は社員個人にあるので、社内の研修を受けたいと自分から積極的に手を挙げる、社内のオープン・ポジション制度を活用して異動先を自分で入手することが可能です。会社に自分の未来を100%託すのではなく、自らキャリアの道を切り拓くことが可能です。
世界情勢にアンテナを高く立てながら会社の経営状況も把握し、必要だったらいつでも転職できるだけのスキル・経験値を持てるように努力するのは社員個人の責任です。受け身でいるのではなく、自分のキャリアを切り拓いていく選択肢があると言う意味でやりがいある環境です。
5. スピードが速い
業界によってスピードは変わってきますが、同じ業界で外資系と日本企業を比較した場合、外資系の方がスピードは早いです。日々のメッセージや社内チャットの返信速度にも現れますし、ビジネスにおける決断力に大きく反映します。意思決定までのプロセスが短いのは、先に述べた各個人の責任範囲が明確で、複数の人間で責任をシェアしておらず1人の個人に任されているからが大きな要因です。
業績評価がプロセスや努力を評価するのではなく、あくまでも結果・成果に対して行われる場合、生産性高いワーカーであるかは重要です。上司が職場に残っているから社員が帰れないというような、無駄な残業は生産性が低いと見なされるので、お付き合い残業は良しとされません。 1年後の自分の業績評価を意識すると、生産性にこだわる姿勢は大切です。
6. ワーク・ライフ・バランス
厚生労働省の2020年の調査によると、日本の休暇取得率は56.3%で2015年以降着実に上がっています。従業員1,000人以上の大手企業のデータを見ると、取得率は63.1%です。 状況が改善され続けていることは朗報ですが、肝心なのは周囲周りに気兼ねしなくても取れるかどうかです。
日本企業にお勤めの場合、休暇が取りにくかったり、休暇中であることを伏せていたりするようです。
最近、外資の社長とお話する機会がありました。ゴールデンウィーク、夏、年末年始にかけてと、それぞれゆっくり休んでいるそうです。休暇が終わった後はリフレッシュできて、仕事に対する意欲も高まるとおっしゃっていました。社長自らが休暇を自然に取得するので、部下たちも気兼ねすることなく休暇が取れる環境で、取得率は日本の平均値より15%ほど高いのではとのことです。
私も外資系の会社員時代、1年に1回は必ず2週間以上の休暇をとっていました。普段、仕事をきちんとしていれば誰にも文句は言われません。今振り返ると恵まれた環境だったのだと感謝しています。
7. 女性が働きやすい
私のGE時代の初めての上司は、現在72歳ですでにリタイヤされていますが、2人のお子さんを育てながら働いていました。育児休暇も時短勤務も存在しない時代で、はたから見ていても大変そうでしたが、パフォーマンスの高い人材で成果を出していたので、周りも理解し協力していました。 お子さんが病気になったと保育園から電話があるたびに、申し訳なく帰るのでは大変です。周囲に配慮はしながらも、罪悪感を抱いて職場をあとにしないで済んだのは、精神的に大きく違うはずです。
日本の現状では、子育てと介護において女性に負担がかかりやすいです。少子高齢化で働き手の取り合いになるだろう近い将来、働きやすい環境かどうかは女性社員にとって就職・転職先を決める大きな要因になります。
まとめ
本日は、外資系に働くメリットについて解説しました。 成果主義、ジョブ型雇用、ワーク・ライフ・バランスなどが大きなキーワードです。自立型人材で自らキャリアを切り拓く姿勢があるか、生産性に注意しながら働けるかなど、ご自身とのマッチを振り返ってください。次回は、外資系企業でストレスを感じやすい事についてお伝えします。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
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