元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。
本日のテーマは、新卒社員の離職についてです。 2016年3月の新規大卒就職者の離職率は32%です。昔のように終身雇用制ではないため合わないと思うと辞めること、「石の上にも3年」の概念が通用しないこと、そして最近ではコロナで入社からオンラインが続き、モチベーションが下がってしまうことなどが原因です。
まず新卒者の離職をどう考えるかからスタートしましょう。
外資系企業で新卒採用する企業は、日本に進出してから20年ぐらいは経つ、つまりは日本市場に対してコミットメントがあり、800名以上くらいの規模に成長している日本法人です。
外資系企業では昔から新卒者の3分の1 程度が 3年以内にやめますが、それを許容して新卒採用を続けています。
キャリアは社員本人のものであり、会社は社員の一生の責任は負えないので、本人が辞めたいと思うのであれば仕方がないと言うドライな発想です。上司も人事部も、新卒社員が辞めたとしてもお咎めはありません。
新卒社員が辞めることをよしとするかどうかは、リテンションをどう考えるかに多きな影響を与えます。
せっかく採用した新卒者新卒社員なので長く働いてもらいたいと考えるのであれば、企業側も新しい仕組みを取り入れる必要があります。
1、入社オリエンテーションのフォローをこまめにする
つい最近まで大学生だった人が、社会人になり山のような動画教材を与えられて自習するのには限界があります。
同期とのつながりが見えなくて、不安になる人もいるでしょう。
外資の新卒社員のオリエンテーションで、うまくいっている実例では3~4日に1回、新卒社員専属のメンバーが、30分のオンラインミーティングを持ち、理解度をチェックしたり質問に答えたりしています。
新卒社員からすると、わからないところをすぐ質問できるだけでなく、一人暮らしの場合は誰かとリアルに話ができる貴重な機会になると言うメリットもあります。
2. メンターをつける
入社して右も左もわからない新社会人にメンターをつけることで、社会人としての心構えや企業文化について質問する機会を提供することができます。
上司に「こんなことを聞いていいのだろうか?」と不安に思う気持ちを解消し、もう少し気軽に質問ができる環境を整えるわけです。
メンターになる側は時間を取られると最初はネガティブに捉えがちですが、正式な部下ではないものの人材育成に携われる絶好のチャンスと理解し、本人の成長に活かすようになるので完全にwin-winのシステムです。
メンターは日系企業の教育係とは違うので、仕事のやり方をいちいち指摘することはありません。新卒社員がまず自分でやってみて、考え方や仕事のやり方が正しいのかどうかわからず困った時のみ手を差し出します。
3. 新卒から4~5年目の社員のキャリアパスを明確にする
新卒社員が辞める大きな原因の1つに、自分の将来のキャリアパスが見えないこと、5年経った時に自分がどのぐらい成長しているのかを思い描くことができないことが挙げられます。
具体的に4年目、5年目の人たちが、どのようなポジションについているかを見せることができるとだいぶ違います。
また新卒から4年、5年経っている人たちとカジュアルに交流するような場をでも良いので設けると、新卒社員は自分の将来を想像することができて、モチベーションが下がることを避けることができます。
オンラインにする必要がある場合は、対面での交流会より人数を少なくして全員に発言する機会があるようにするなど少し工夫は必要です。
まとめ
新卒採用には莫大な労力と時間とお金がかかっています。
彼らが3年以内に辞めることをどう考えるかは企業文化そのものですが、辞めないで欲しいと願うからにはそれなりの工夫が必要です。
本日は具体的な仕組みづくりについて解説しました。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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