転職活動の際、求人を見つけるにはいくつかの方法があり、その中のひとつに転職エージェントの利用があります。しかし、転職エージェントは数多くあるため、どの転職エージェントを利用すべきか迷う人もいるのではないでしょうか。 

ここでは、転職エージェントの種類や特徴のほか、利用するメリットや自分に合った転職エージェントを選ぶ方法などについて解説します。 

 

転職エージェントとは？

転職エージェントとは、人材を求める企業と求職者をマッチングさせるサービスです。転職サイトを利用する場合、求人の検索や応募、選考の進捗管理を自分で行わなくてはなりません。一方、転職エージェントを利用すると、これらのプロセスをキャリアコンサルタントに任せることが可能です。 

転職エージェントにはいくつかのタイプがあり、強みとする転職支援の傾向は異なります。まずは、代表的な転職エージェントのタイプや、在籍するキャリアコンサルタントの違いなどについて見ていきましょう。

 

転職エージェントの「総合型」と「特化型」の違い

業種や職種を問わず、幅広い分野の求人紹介が可能な転職エージェントは「総合型」と呼ばれます。大手の転職エージェントが多く、拠点が全国にあるため、地方での転職活動にも対応しやすいのが特徴です。 

 

一方、特定の業種・職種の転職支援を専門とするサービスや、対応エリア、求職者の年齢層などを絞っている転職エージェントを「特化型」と呼びます。中小規模の転職エージェントから大手転職エージェントまで、さまざまな規模の転職エージェントがあるのが特徴です。

 

特化型転職エージェントは「ITエンジニア専門」「外資系企業専門」「ハイクラス・エグゼクティブ専門」といったように、各サービスの得意分野を打ち出しています。総合型転職エージェントと比べて求人数は多くない場合がありますが、専門とする分野の求人は豊富に保有している場合があります。

 

キャリアコンサルタントの「両面型」と「片面型」の違い

転職エージェントに登録すると、担当キャリアコンサルタントとの面談が実施されます。面談を通じてこれまでの業務経験や保有スキル、転職先の希望条件などを伝えることで、条件に合った求人を紹介してくれるのです。

 

キャリアコンサルタントには、大きく分けて「両面型」と「片面型」があります。

両面型とは、求職者と企業の両方を担当するキャリアコンサルタントです。キャリアコンサルタントみずから企業の採用担当者と面会し、企業が求める人材像やスキルをヒアリングしています。そのため、求職者に伝える企業情報の精度や信頼性が高い傾向があるのです。 

 

片面型とは、求職者と企業を別々のキャリアコンサルタントが担当することです。分業することによって多くの企業とコンタクトをとることができ、多数の求人を扱うことができます。また、求職者の対応に集中しやすく、迅速に対応してもらえる傾向があります。

 

転職エージェントを利用するメリット

 

転職エージェントを利用すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか。主なメリットとして、次の5点が挙げられます。

 

非公開求人を紹介してもらえる

転職エージェントは、一般的な求人サイトなどには出回らない「非公開求人」を保有しています。非公開求人は、キャリアコンサルタントを通じてのみ紹介が可能です。 

新規事業や重要なポジションの欠員補充など、秘匿性の高い案件は、非公開求人を利用する企業が多く見られます。一般的な求人と比べて非公開求人への応募者は限られるため、選考の競争倍率が高くなりにくいのが特徴です。 

希少な非公開求人を紹介してもらえることは、転職エージェントを利用するメリットといえるでしょう。

 

面接対策や書類添削などのアドバイスを受けられる

転職エージェントでは、求人を紹介するだけでなく、応募先企業における面接対策や応募書類の添削も行います。キャリアコンサルタントは数多くの求職者と面談し、大勢の転職成功者を輩出しているため、効果的なアピール方法を熟知しているでしょう。

また、キャリアコンサルタントは、企業がどのような人材を求めているのかをヒアリングしています。そのため、企業のニーズに合ったアピールができるようにアドバイスが可能です。求人からは読み取れない企業のニーズを捉えることによって、選考通過の確率を高めることができます。

 

キャリアカウンセリングを受けられる

求職者の中には、自分にどのような仕事が合っているのか、今後のキャリアプランをどう考えたらいいのか迷う人もいるでしょう。転職エージェントでは、キャリアカウンセリングを通じて自己分析や業界分析に役立つアドバイスが受けられます。 

また、キャリアコンサルタントが求職者の適性やポテンシャルを客観的に分析し、能力を発揮できる業種・職種を提案することも少なくありません。求職者自身が気づかなかった自身の強みを発見し、キャリアの可能性を広げられる場合もあるのです。

 

企業との調整を任せられる

在職中に転職活動を進める人にとって、応募企業との調整は想像以上の負担です。応募の手続きをはじめ、面接の日程調整や給与の交渉、内定後の入社日の調整など、転職活動中に調整しなければならないことはたくさんあります。

転職エージェントは求職者と企業のあいだに立ち、調整を代行してくれます。内定承諾前の給与条件の交渉など、求職者側から言い出しにくいことも、キャリアコンサルタントを通じれば気兼ねなく伝えられるでしょう。

 

転職活動のフィードバックを受けられる

選考を受けると、応募先企業から合否の連絡が届きます。選考を通過した場合、どのような点が面接担当者に響いたのか、反対に不合格だった場合はどこに原因があったのか、自分で応募した場合はなかなか知ることができません。 

転職エージェントは、企業の採用担当者に選考後にコンタクトをとり、良かった点・良くなかった点を率直に述べてもらいます。この結果を求職者にフィードバックすることで、次回の選考に活かすことができるのです。

 

転職エージェントを選ぶ基準

数多くの転職エージェントの中から自分に合った登録先を決めるには、どのような基準で選べばいいのでしょうか。自分に合った転職エージェントを選ぶ際に、基準とすべき点を3つご紹介します。

 

紹介件数は多いか

転職エージェントが保有している求人数が多いことは重要ですが、より重視すべきは、実際に紹介される求人の件数です。キャリアコンサルタントから紹介される求人が豊富で、比較検討することができるかを判断基準のひとつとしてください。 

紹介件数が少ないようなら、転職エージェントのターゲット層からやや外れている可能性があります。自分に合った転職エージェントを見つけるためには、まず複数のサービスに登録し、紹介件数の多いエージェントに絞っていくといいでしょう。

 

キャリアコンサルタントとの相性は良いか

キャリアコンサルタントも人間ですから、相性の良し悪しはあります。転職活動を円滑に進めるには、自分にとって相性の良い、信頼できるキャリアコンサルタントと出会うことが大切です。

話しやすいか、スムーズにやりとりできるかといったことのほか、親身になって転職やその後のキャリアの相談にのってくれるかどうかは、相性を見極めるポイントでしょう。求人を紹介する際に、紹介した理由を説明してくれるか、レスポンスは早いかなども重要なポイントです。

 

自分の年代や希望年収に近い求人があるか

転職エージェントには、転職支援を得意とする年代や年収帯がある場合もあります。転職エージェントによっては、保有求人の一部を公開していることもありますから、登録前に自分の年代や希望に合った求人が掲載されているか確認しておくといいでしょう。 

求人の傾向から、自分の希望年収に近い求人を紹介してもらえそうかを判断することも大切です。年収アップや高年収を条件に挙げている場合は、ハイクラス人材を対象とした特化型エージェントに登録したほうが、希望条件に合う求人を紹介してもらいやすくなります。

 

転職エージェントを選ぶコツ

 

最後に、自分に合った転職エージェントを選ぶためのコツを見ていきましょう。

 

総合型・特化型の特性を知っておく

総合型と特化型の転職エージェントでは、得意とする転職支援の傾向が異なります。自身の状況や希望条件に合わせて、どちらをメインに利用していくかを判断することが大切です。

 

総合型エージェントは、さまざまな業界・職種の求人を広く浅く扱っています。転職する業界や職種が決まっていない場合、多くの選択肢が用意されている総合型エージェントの利用がおすすめです。

一方の特化型エージェントには、得意とする専門領域があるため、転職したい業界・職種や勤務地、年収といった条件が定まっていれば、効率良く求人を紹介してもらえるでしょう。キャリアコンサルタントの専門性が高く、実務に踏み込んだ相談にも応じてもらえる可能性が高いです。

 

両面型・片面型の特性を知っておく

両面型のキャリアコンサルタントは、企業と直接コンタクトをとっているため、情報の精度や信頼性が高いのが特徴です。多くの求人を紹介してほしいというより、自分に合った求人をピンポイントで提案してほしい人に適しています。

 

一方、片面型のキャリアコンサルタントの場合、幅広い選択肢の中から求人を提案しやすいのが特徴です。また、求職者の対応に集中できるため、キャリアカウンセリングにじっくりと応じてもらいやすい傾向があります。自分に合う求人を幅広く提案してほしい人に適しているでしょう。

 

複数のエージェントを選んで絞っていく

転職エージェントの登録は、1つでなくてはいけないルールはありません。始めは複数のエージェントに登録し、キャリアカウンセリングを受けたり求人の紹介を受けたりして、納得できる提案をしてくれたエージェントに絞っていくことをおすすめします。 

転職エージェントが自分に合っているかどうかは、転職エージェントに複数登録していないと判断が難しいこともあります。複数のエージェントを利用することで、紹介された求人を比較することができるため、自分に合った転職エージェントを判断しやすくなるでしょう。

 

自分に合うキャリアコンサルタントがいるか見極める

転職エージェントによって、在籍しているキャリアコンサルタントにサービスの特徴が表れていることがあります。若手の求職者への転職支援に強いエージェントでは、キャリアコンサルタントも若手が中心の場合が多いです。また、ITエンジニアの転職支援を得意とするエージェントであれば、キャリアコンサルタントにもエンジニアの実務経験者が多いでしょう。

自分が希望する業界・職種に通じていて、年代や希望年収に合ったサポートをしてもらえそうか、キャリアコンサルタントのプロフィールを確認するなどして見極めることが大切です。

 

転職活動成功のために、転職エージェントを選ぼう

転職活動を自分一人で進めていると、キャリアに迷ったり、合う求人を見つけられなかったりと、なかなかうまくいかないこともあります。面接の日程調整や入社日の調整に時間をとられてしまうこともあるでしょう。そういったとき、求人を紹介してくれるだけでなく、相談できたり調整を代行してくれたりする転職エージェントは大きな助けになるはずです。 

転職活動を成功させるために、転職エージェントの種類やそれぞれの強みを知って、自分に合ったところを選ぶようにしましょう。