インタビュアー: Taichi Mizuguchi
制作: RGF Professional Recruitment Japan Marketing Team
リモートワークの普及など生活様式の変化に伴って広く利用されるようになったフードデリバリーサービス。世界中で様々なサービスが誕生し、多くの人に利用されています。
今回は、その中でも国内発のデリバリー&テイクアウトアプリを提供するmenu株式会社の執行役員プロダクト兼開発責任者の赤川様にお話を伺ってきました。
- 本日はよろしくお願いいたします。
- はじめに、menuについて教えていただけますか?
menuはフードデリバリーのサービスとしてご存じの方が多いかもしれませんが、最近ではフードだけではなくグローサリーも含めたクイックコマースの世界にも力を入れているデリバリーサービスになります。
国内発のデリバリーアプリとして2年ほど前にスタートしたばかりですが、すでに日本全国でサービスを展開しています。まだまだ若いスタートアップというところを活かしながら、この激戦区の世界を攻めていっている状況です。
- menu以外にもいくつか有名なデリバリーサービスがありますが、競合のサービスとの違いを教えていただけますか?
まずひとつは、日本国内発というところです。このマーケットには外資のプレイヤーが多いので、日本という独特の市場へどれだけアジャストできるのかというところに関しては、日本発の我々の方に分があると思っています。
たとえば、狭い地域の中にお店が密集している東京のようなエリアは、他の国や都市とはかなり違ったマーケット特性を持っています。そのため、menuでは、コンボ注文という、ベースとなる店舗から一定の距離にある他の店舗からも同時に注文できるという機能を作って提供しています。
このような機能は、たとえばアメリカのように広範囲に様々なお店が散在しているエリアでは実現しづらい機能です。こういった日本のマーケットに合った機能を実現できるのも、日本発の企業だからだと思っています。
それに加えてサービススタートしてから2年ほどのまだまだ若い企業なので、技術的にも開発のスピードはかなり速いです。市場が目まぐるしく変化していく中、どれだけ臨機応変に対応できるかが勝負所になってきますので、スピーディな開発ができることのメリットは大きいと思います。
- 開発スピードが早いことの実例があれば教えていただけますか?
昨年KDDIさんと資本業務提携をしました。それに伴ってKDDIさん側のサービスとの連携を進めています。そのひとつとして、au PAYのアプリ上でいろいろなサブアプリのようなものが使えるミニアプリというプラットフォームにmenuも載せようということになりました。通常であれば新しいプラットフォームを作るとなると、半年から一年くらいかかるのですが、いろいろなことをスピーディに進めた結果、2か月程度で載せることができました。
- 外資や日系の大手のグループ企業が多いマーケットにおいて、なぜmenuは日本発のスタートアップとして唯一フードデリバリー事業を行えているのでしょうか?
menuは、当然ながらITカンパニーであって、Techソリューションを提供しているのですが、単にシステムとして良いものを提供しているだけでなく、その裏に優秀なチームを抱えているからだと思います。
単に優秀な開発者だけを集めても、それでは表向きのプロダクトしか作ることができません。menuでは、プロダクトの後ろで動いている店舗の営業や、販促などしっかりサービスをまわしてくれるビジネスデベロップメントのチームなど、必要な機能をすべて持ち合わせているからこそ、良いサービスを提供できていると思っています。
- デリバリーサービスをスタートしてから約2年というところですが、現状の課題感や、難しいところがあれば教えていただけますか?
一番大きな課題としては、どれだけロスタイムを減らせるかだと思っています。このサービスは、お客様がアプリで注文、店舗様が確認・受付、その後フードデリバリーであれば調理時間が入ります。その後配達クルーが商品をピックアップして、お客様の元へお届けするという流れになってます。
その中でも、たとえばお店の混雑状況によって変わってしまう調理時間をうまく予測できれば、より良いタイミングで配達員に通知、商品をピックアップしてもらうことができます。また、ピックアップしてから届けるルートやデリバリー方法も含めてうまく予測できれば、より最適化された時間を表示できるようになります。そういった様々なロスタイムをどれだけなくしていけるのかが今後の課題です。
徐々に人のマインドセットが変わっていくにつれ、クイックコマースは広まってくる
- それでは、クイックコマースとその将来について教えていただけますか?
クイックコマースのマーケット自体、まだ始まったばかりです。そのため、よく「デリバリーって高いよね」というお声を頂戴することがありますし、僕自身も今のところは正直少し高いかなとは思います。ただ、値段に関しては、たとえばコンビニエンスストアは、スーパーや商店と比べると定価販売していることが多いので少し割高なのにも関わらず、当たり前のものとして大勢の方に利用されています。それはなぜかというと、「どこにでもあって」、「いつでも行けて」、「品ぞろえがある程度担保されていて」、「そこに行けばこれが手に入るっていのがわかっている」という便利さがあるからです。少しの割高さを便利さが上回っているからこそ、ユーザーに受け入れられていると考えています。
個人的には、クイックコマースも徐々に同様の領域に入っていくと思っています。コンビニよりも少し高いかもしれないけど、自宅で他の作業をしているときに頼んで、届けてくれる。今日はちょっと料理する時間が無かったり、料理をする体力が無かったりするときにオーダーをすると自宅まで届けてくれる。そういった利便性を向上させることによって、少しくらいの価格が高くても受け入れてもらえる。そのように人々のマインドセットが変わっていくと思っています。
menuでは、開発も一つのクリエイティブな組織として、どのようにサービスに貢献できるかを考えることが求められる
- エンジニア視点で見るmenuの魅力はなんでしょうか?
エンジニア視点からしますと、ただの作業者にならないという部分が大きいかなと思います。どうしても開発組織で働いていると、ビジネス側からこういうものを作ってくれと言われたものをそのまま作るという組織もあったりします。menuはそうではなくて、開発も一つのクリエイティブな組織として、どのようにサービスに貢献できるかというところを考えられる。そういったところが、一開発者としても刺激的で楽しいところです。
- エンジニアにも裁量があって、一クリエイターとしてこういうものを作っていきたいというのが発信できる環境ということですね。
そうですね。特にチームとしてもmenu自体もまだそこまで大きな組織ではないので、すべての仕様が決まって降りてくるわけではありません。そういった時に、それぞれが「これはどういうことなのだろうか?」としっかりと考えられるというのがmenuの開発組織です。
- 国内最大級のReactの環境の魅力と、その環境があることのメリットを教えていただけますか?
Reactの中でも、React Nativeというモバイルアプリ用の開発をするライブラリを利用しています。React Nativeをmenuくらいのアプリ開発や、サービスの規模で使っている組織は日本では珍しくて、そこに関しては最先端を行っていると思っています。
React Nativeを採用した理由ですが、通常はそれぞれ別の開発が必要になるiOSとAndroidの開発を、React Nativeを利用すると一つで済ませられることが主な理由です。
世の中ではモバイルエンジニアに比べてwebデベロッパーが多い中、彼らにとってiOSとAndroidというのは普段使用している言語とは全く違うもので実装します。ただ、React Nativeを利用することで、Reactというウェブアプリでも利用されている言語をモバイルアプリに使えるので、webデベロッパー出身の方が早いスピードでモバイルアプリの開発に転換できるというメリットがあります。
また、このようにある程度構築されたReact Nativeでの開発環境がmenuにあることを多くの方に知ってもらえているので、そこを魅力に感じてぜひmenuに入りたいというフロントエンドデベロッパーの方が増えてきました。それに加えて、React Nativeに精通しているハイスキルのメンバーもジョインしてくれています。
今ではこのように良いメンバーが参画し、React Nativeもmenuもグロースして、さらに良いメンバーが入ってくれるという良いスパイラルが生まれています。本当に、React Nativeを率先してやってよかったと思っています。
- それはいいサイクルが生まれていますね。
- それでは、赤川様のこれまでのご経歴となぜmenuにご入社したのかを教えていただけますか?
生まれは日本なのですが、小さい頃から親の関係で海外によく行っていて、ずっとインターナショナルスクール等に通っていました。
その後、アメリカの大学へ進学しました。アメリカの大学では本当にめちゃくちゃ勉強するのですが、4年間苦しみながらしっかりと学び、無事卒業することが出来ました。そこから運よくAppleの本社に新卒入社しまして、最初はエンジニアとして従事して、その後マネジメント側に移りました。
Appleでしばらく働いた後、シリコンバレーで培ったスキルを、日本という自分の母国でもありこれからどんどん成長していくマーケットで活かしたいと思い、帰国をすることにしました。
そこからなぜmenuに入社することに決めたかというと、一番の理由は会社としてチャレンジをしてくれると感じたからです。それはもちろんサービスとしてのチャレンジもありますが、僕を雇うという意味でのチャレンジでもあります。僕自身、当然ながらシリコンバレーで働いていたという経歴はあったのですが、このような大きな開発チームをマネージするという経験はなかったですし、スタートアップで開発チームの組織を作っていくという経験もありませんでした。僕自身は強い想いを持っていたので、その想いを面接で伝え、会社がその想い信じて採用をするというチャレンジをしてくれました。だからこそ、それに対して僕もチャレンジを返していきたいと入社を決意しました。
- シリコンバレーのApple本社で働いて経歴を積んでいくという選択肢もあった中で、menuに入社するというのはものすごく魅力があったということですね!
そうですね。会社としても魅力がありますし、採用プロセスの早い段階から会社との相性がすごくいいなと感じたというのもありました。とはいえ、「なんでApple辞めるの?」とよく聞かれました。でも僕にとってはAppleだからとか、スタートアップだからではなく、結局どんな会社もただの会社というのが結論としてあります。特にAppleのように大きな会社ですと、開発者としてのインパクトはそこまで大きくありません。3万人くらいのエンジニア組織になると、iOSやiPhoneを作っているといっても、その中のごく一部しか携われません。それよりも、僕自身もっと小さな組織の中で大きなインパクトを与えるというところにやりがいを感じたので、menuに移るという決心をしました。
- Appleから移るときは、周りの人に相談しましたか?
そうですね、周りにはすごく相談しました。特に家族からは、「安定した会社のほうが良いのではないか?」とすこし反対されました(笑)。ただ自分の考えとしては、エンジニアのスキルは汎用的で磨いていれば次の会社でも応用できるので、大きい会社に戻ろうと思えばいつでもできるだろう。そんな中、僕にとって一番大切なのはプロダクトへの貢献であり、menuはそれを提供してくれる環境だという自信もあったのであまり悩みはしませんでした。
menuの開発組織の強みは、全員がアウトプットにフォーカスするという共通意識を持っていること
- menuには日本国内だけでなく、赤川様のように海外からも優秀な人材が集まっていると聞いています。そのように海外からも良い人材が集まってくる理由は何かあるでしょうか?
一番大きな理由としては、アウトプットにフォーカスするという共通意識を開発組織全員が持っているからだと思います。どうしても組織が長く続いてくると、年功序列や、長く会社に在籍している人、長時間働いた人が偉いみたいな雰囲気が出てきたりします。menuにはそれがまったくありません。むしろ、割り振られたタスクを短時間で確実に完了し、アウトプットとして出せるのであれば、別に定時まで働かなくてもよく、やることさえやっていれば問題ないといった文化があります。この働き方はエンジニアのようなクリエイティブな動き方をする人たちにとっては魅力的ですし、特に海外から来たメンバーはこのような働き方に慣れているので、そのあたりに魅力を感じて入ってきてくれます。
- 開発チームは外資のような雰囲気ということですかね?
そうですね。もちろん他社でもそのような文化づくりをしているところもありますが、menuの場合は自然とそうなっていきています。
-ちなみにメンバー間のコミュニケーションは何語で行っていますか?
日本語が開発チームのベースのコミュニケーション言葉にはなるのですが、当然外国籍のメンバーもいますし、日本語を母国語としていない人も入ってきているので、皆がより働きやすい環境づくりをしています。たとえば、僕との会話は英語で行ったり、外国人メンバーが集まった時は英語でミーティングをしたり、全体のミーティング中も、ところどころ日本語を英語に通訳したりしています。
- どんな方でも働きやすい環境が開発組織にあるということですね!
そうですね。ただ、組織が大きくなるにつれて、今までやってきた形ではうまく行かなくなってくることも見えてきています。そのため、今は組織改築にも力を入れています。
今まではあまり役割が決まっておらず、それぞれのタスクをやれる人がやるというような形で進めていました。
でも、組織が大きくなるにつれて、属人化が進んでしまったり、若手が育ちづらくなってしまったりという問題が徐々に出てきています。その改善策の一つとして、マネジメントレイヤーの強化を行っています。
今後はバイリンガルのマネージャーの採用なども含め組織を強化していくことで、外国籍のメンバーのケアにもより力を入れていく予定です。一人ひとりにしっかりと時間をかけられるようにあまりチームは大きくせず、開発に100%力を注げるような形で、所属メンバー全員の幸福度が高くなるような形で組織改築を行っていきます。
-たしかに様々なバックグラウンドを持つ方が増えてくると、単一の取り組み方だけでは難しい部分が出てきますね。
最近ですとグローバルなバックグランドを持つ新卒も採用していますし、当然ながら日本の大手企業から転職してくれた人もいます。このように様々なバックグラウンドを持つ方が増えるというのは、僕自身すごくいい事だと思っています。多様性があるということは、いろいろな考え方やアイディアがぶつかりあっていいものが生まれる土壌があるということ。単一の文化、単一の考え方だけだとそういったことが生まれづらい部分があるので、この多様性はすごくいいことだと思います。
- 多様性がある中でも、社員の方が共通でもっているマインドセットはありますか?
繰り返しになりますが、アウトプットにフォーカスするところが、一番の共通点だと思います。開発だけでなく仕事全般としていえることですが、仕事をしていると他の人と意見が合わないこともありますし、自分のやり方を貫きたいこともあります。そうなったときに、最終的にはどちらの方がアウトプットを最大化できるのかというテーマで議論が出来るので、変に争いごとになったりすることがありません。これが共通のマインドセットです。
- たしかに、全員が共通の方向を向いていると、スピード感を持ってスムーズに物事を進めていくことが出来ますね。
- それでは最後に、今後menuへ入社をご検討される方にアドバイスをお願いします。
開発者として仕事をするうえで、ただの作業者にならないようにするということが重要だと思っています。先ほどお伝えした通り、menuは開発者にもクリエイティブな部分を求める会社です。単に仕様書の通りにモノを作るだけでなく、その仕様自体が本当にこれで合っているのかを自ら考えられる力、そしてそこから自分なりにアレンジをして、細かいところを埋めていける力は重要です。もちろん仕様書をすべて変更していいということではないのですが、臨機応変に動ける開発者がいいのではないかなと思っています。
ですので、もし今所属している先で自分がやりたいことを出来ずに不満を抱えている方がいれば、是非menuにジョイン頂いてこれまでの不満を開放してくれたら嬉しいです!
- ありがとうございました。
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