元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は、外国人とのコミュニケーションを上手に取るコツについてです。
日本人は表情に喜怒哀楽が出なかったり、言葉で明確に伝えることが苦手だったりするので、外国人とコミュニケーションを取る際に誤解が生じることもあります。そこで、実は相手を混乱させる実例を通して、改善方法を考えます。
実例①
まずは私自身の会社員時代のお話を。
私の外資系での人事生活の最後の10年間は、Matrix Reportingで上司が2人いる状態でした。上司の一人は日本法人の社長、もう一人はアジア・パシフィックの人事責任者で、1社を除き両方とも外国人でした。彼らは仕事に対して、”Well-done”、“Excellent”、”Great” など必ず声をかけてくれましたし、指摘する必要があるときは、何が問題なのかをわかりやすく説明してくれました。私は自分の業績が、どう評価されているか明確にわかっていました。
ところが一度だけ、一人の上司が日本人だったことがあります。声がけがありません。褒められることが無くなり、指摘されることも無くなった状態を不満に思う自分がいて、「あぁ、外国人と仕事をする期間が長くなりすぎて、スポイルされたのかも」と感じました。時が経つにつれ、自分の仕事ぶりは上司から見てOKと言えるレベルに達しているのだろうかと不安にさえなり、ついに聞いてみることにしました。答えは、意外にも。
「良くやってくれている」でした…. 真逆の答えが返ってくることを覚悟していた私は、呆気に取られてしまいました。 相手は上司だったので「口に出してくださらないとわからないです」は、勿論呑み込みました。長い間、外資系企業にいて外国人の上司・同僚と仕事をしてきた私は、相手がはっきりどう思っているのかを言葉で伝えてくれることに慣れてしまったようです。
実例②
外国人から見た実例もお伝えします。
私がある研修の参加者だった時のことです。講師は、アメリカ人でした。途中から、彼の説明が少し長くてくどいなぁと思いながら聞いていました。参加者の英語力は平均するとかなり高く、一度言われれば理解出来るはずなのですが、同じことを3回も表現を変えて言い直されるとさすがにToo muchです。私も他の参加者も、彼は説明が長いタイプの講師なのだと誤解しました。しかし、実際には何が起きていたか、想像できますか?
彼は彼で困っていたのです。私たち日本人参加者が誰一人、「Yes, I understand. 」のサインやオーラを出さないので、英語が理解できないのかと言い換えて、なるべくシンプルに説明しようとしていたのです。日本人は喜怒哀楽を出さないように育ち、顔の表情が変わらないことが多く、相手からすると理解しているのかそうでないのかが読めなかったのです。
彼の立場に立てば、海外から演奏家が来日する際、日本人聴衆の反応が鈍いので、「今日は自分の調子が良くないのだろうか」と不安になる心理と同じだったのかもしれません。海外の場合、下手だと思えば最後まで我慢しないで退席しますし、素晴らしいと思えば拍手の量や最後にスタンディング・オーベーションになるので、自分のパフォーマンスの出来、評価はすぐにわかります。自分のパフォーマンスがどう評価されているのか、わからないという状況はほとんどないので、反応の鈍さに戸惑ったわけです。
日本人参加者はイライラしているのを我慢しないで、「理解したので先に進みましょう」など、自分/自分達が理解していることを相手に伝えれば良かったのです。
まとめ
みなさんの職場に外国人、特に欧米人がいる場合、”Thank you”、“Excellent”、“Great” などの言葉はシャワーのように使ったほうがうまく行きます。何かを説明してもらって理解できたら、言葉にして理解したと伝えましょう。わからない時はわからないと口に出して大丈夫です。
日本の外では、”あ・うんの呼吸”という感覚が存在しないことを思い出せたら、外国人とのコミュニケーションは上手くいきます。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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