企業が経営を存続させる上で欠かせないマーケティング。日本企業でマーケターとして働く人にとって、グローバルに活躍する外資系企業のマーケティング職は、華やかなイメージで非常に人気のある職種です。キャリアアップを考える中で、外資系企業への転職に興味を持っている人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、外資系マーケティング職への転職について、メリット・デメリットや求められるスキル、成功の秘訣をご紹介します。
マーケティング職とは?
マーケティング職は、簡単にいうと「売れる仕組み」を作る仕事です。市場調査などからユーザーの心理を読み解いて製品・サービスの企画開発に活かし、販売戦略やプロモーション企画を練り上げていきます。好意的なブランドイメージを醸成し、継続的な売上につなげていくことも役割のひとつです。
マーケティングがなければ、企業はそのほかの多くの競合に埋もれてしまい、事業を継続することができません。マーケターは企業の売上の根幹を担う仕事だといえるでしょう。
マーケティングにはさまざまな種類があり、扱う商品の特徴や顧客の特性などによって適した施策を選ぶことが大切です。まずは、代表的なマーケティング手法を3つご紹介します。
マスマーケティング:顧客をセグメントせず広く訴求するマーケティング
大量生産・大量販売を前提として、顧客をセグメントせず画一的なプロモーションを行うマスマーケティング。テレビやラジオのCM、新聞・雑誌の広告などを活用することで、潜在顧客にも広く訴求できる一方で、ターゲットを絞り込んで訴求することはあまりできません。
ダイレクトマーケティング:顧客と直接コミュニケーションをとるマーケティング
ダイレクトマーケティングは、電話やDMなどを使った直接的なコミュニケーションで問い合わせや購入を促進するマーケティング手法を指します。顧客と双方向型のコミュニケーションをとりやすい方法ですが、広く訴求したいときには向いていません。
デジタルマーケティング:デジタル媒体やデータを駆使したマーケティング
デジタルマーケティングは、ITの進化によりユーザーニーズが多様化した今、最も注目されているマーケティング手法です。PCやスマートフォンなど、さまざまなデジタル媒体やデータを使って顧客と関係構築を図ります。WEBマーケティング、メールマーケティング、SNSマーケティングなどは、デジタルマーケティングの一部です。
マーケティング職の仕事内容
マーケティング職では、実際にどのような業務を行っているのでしょうか。マーケターの具体的な仕事内容は、大きく下記の3つに分けられます。
市場調査、分析
マーケティングの起点となるのが市場調査と分析です。市場全体の流れや課題、ユーザー層の好みのほか、競合他社のサービスやその評価といったデータを広く収集、分析することにより、市場で求められているものを可視化することができます。
情報収集の方法には、調査対象者に直接話を聞くインタビュー調査や、調査票を用いたアンケート調査などがあります。マーケティング業務の中でも、比較的地味な業務に分類されます。
企画開発
市場調査の分析結果をもとに、「誰に対して」「何を売るか」を決定します。商品の方向性が消費者ニーズに合っているか、価格に無理はないかなど、その都度見直して開発スタッフとの共同作業を進めていきます。
販売促進、広告宣伝
商品のコンセプトやターゲットを踏まえて、最適なプロモーション戦略を考えます。ターゲットや商品特性が若年層向けならSNS、高齢者向けならラジオやテレビといったように、ターゲットの年齢層に合わせて媒体を選定することが大切です。
広告についても、他社と一線を画した斬新なデザインにする、一目で価値が伝わる優れたキャッチコピーにするなどの工夫をすることで、ターゲットに強いインパクトを残すことができます。
日系企業と外資系企業のマーケティング職の違い
日系企業と外資系企業のマーケティング職では、年収や評価方法などいくつかの違いがあります。ここでは、その違いを3つご紹介します。
外資系マーケティング職の年収は日系企業より高め
外資系企業のマーケティング職の年収は、初任給で350万~500万円、全体平均では800万~1,000万円と、総じて日系企業より高めです。日系企業のマーケティング職で年収に不満がある場合や、さらなる年収アップを目指す場合は、外資系企業へのチャレンジがおすすめです。
ただし、年収の分だけ裁量権が大きく責任が重いこと、実力主義・成果主義の世界で年収を維持・向上させるには相応の努力が必要になるなど、外資系企業ならではのシビアな環境についても理解しておく必要があります。
外資系企業の評価は売上が重視される
日系企業のマーケティング職では、たとえ問い合わせや購入などのコンバージョンにつながらなかったとしても、クリック数やPV数、SNSでのリツイート数などがKPIとして設定され、売上に直結する指標以外のものが評価に反映されるケースも少なくありません。
一方、外資系企業では、マーケティングは売上に直結する重要なポジションとして位置付けられており、営業と同じくらい「結果としての売上」が重視されます。売上を上げていることを前提として、企画力や調査力が評価されるのが一般的です。
外資系企業では長期休暇などワークライフバランスが充実
昨今は日系企業にもフレックスタイム制やテレワークなどが広まっていますが、外資系企業では早くから多彩な働き方を導入しています。勤務時間や出社の有無、長期休暇の取得なども働く人の意思で決定できるため、ワークライフバランスを重視する人にはぴったりです。
外資系企業でマーケティング職に就くメリット
日系企業と外資系企業の違いについてご紹介しました。では、マーケターとして外資系企業で働くことのメリットとしては、どのようなものがあるのでしょうか?
グローバルな視野を持てる
外資系企業のマーケティングでは、対象地域が日本国内にとどまりません。さまざまな国や地域の文化、考え方などを調査した上で、それぞれに適切な施策を打っていく必要があります。自然と視野が広がり、グローバルな視点が身につくでしょう。
先進的なビジネス手法を学べる
海外では日本よりDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでおり、デジタルマーケティングの手法も多彩です。まだ国内で実践されていない技術やビジネス手法を知り、他社にない打ち手を講じることができるのは、DXが進んでいる外資系企業の大きな強みです。
高年収やキャリアアップのチャンスがある
外資系企業は給与水準が高いため、転職によって年収アップを実現できるでしょう。また、実力がある人、成果を出している人を積極的に登用する文化があり、年齢や性別を問わずキャリアアップのチャンスがあるのも魅力です。
注意点としては、住宅手当や育児手当といった日系企業によくある福利厚生がほとんどないことなどが挙げられます。
外資系企業でマーケティング職に就くデメリット
さまざまなメリットがある外資系企業のマーケティング職ですが、もちろんデメリットも存在します。入社する前に、ネガティブな面についてもしっかり確認しておくことが大切です。
戦略の立案に関われないケースも
大手外資系企業の場合、全体のマーケティング戦略や方針は本社が決定し、決定した内容を各国のマーケターに下ろすやり方が主流です。そのため、ローカルマーケターには、自由な発想や行動力よりも、指針に従って確実に施策を実施する姿勢が求められます。
みずからのアイディアを活かした企画立案に興味がある人は、若干物足りないかもしれません。
海外拠点に出向できる可能性は低い
海外で働くことを外資系企業に勤めるモチベーションにする人も多いでしょう。しかし、マーケティング職では、海外拠点に出向できる可能性は低めです。
企業によっても異なりますが、海外へは出張程度になることが多いため、海外勤務を希望する人は、面接などで確認しておくことをおすすめします。
外資系マーケティング職に求められるスキルや能力
外資系企業のマーケティング職は人気が高いため、転職活動では必要な経験やスキルを満たし、企業の社風にもフィットしていることをアピールすることが大切です。ここでは、外資系マーケティング職に求められるスキル・能力について見ていきましょう。
相手と良好な関係を築くコミュニケーション能力の高さ
マーケティング職は、社内外を問わずさまざまな関係者と対話を重ねながら進めていく仕事です。相手の話に耳を傾けつつ、自分の意見もうまく伝えながらお互いに良好な関係を築いていくコミュニケーション能力が求められます。
また、一見すると華やかな仕事のようですが、調査や分析など地道な作業も少なくないため、表に出にくい仕事でもその重要性を理解して努力できることも重要です。
数字や分析に強く、マーケティングの実務経験がある
マーケティング職とデータは、切っても切れない関係です。数字の扱いに長け、分析が苦にならないことはマーケターの必須条件といえます。また、マーケティング実務の経験があり、CTRやCPAといった指標の見方を知っていることも大きな強みになるはずです。
仮説を立て、スピーディーにPDCAを回せるスキル
マーケティングの戦略立案は、仮説と検証の繰り返しです。分析結果から複数の仮説を立て、実行した企画の結果からPDCAを素早く回していけることも大切なスキルのひとつです。
施策の企画力および関係者へのプレゼン力
分析結果を魅力的な施策に落とし込み、関係者にプレゼンできる力も重要です。根拠となるデータを示しながら、企画の目的などをわかりやすく語れると、関係者の協力を得やすくなります。
外資系企業のマーケティング職に転職する方法
最後に、外資系企業のマーケティング職に転職するために、日頃から意識して取り組んでおきたいことを3つご紹介します。
ビジネスで使える英語力を身につける
外資系企業のマーケターに英語力は必須です。本国のマーケティング担当者やレポートラインの上司が外国人であることも多く、やりとりが英語になる場合が想定されるからです。
ほかの応募者と差をつけるなら、ビジネスレベルの英会話力を身につけましょう。目安としてTOEIC700~800点程度のビジネス英語力があると、ノンネイティブとしては高い英語力を持っていると評価され、選考に有利に働きます。
デジタルマーケティングスキルを身につける
ビッグデータやAIなどの技術革新が進み、デジタルマーケティングに求められるスキルも高度化しています。そのため、プロジェクトチームを管理、リードできる人材が不足しており、外資系企業ではデジタルマーケティングスキルを持つ人を積極的に採用しています。新たなデジタルマーケティングの手法について、常にキャッチアップできるようにしておくことが外資系企業のマーケティング職への転職には不可欠です。
外資系企業に強い転職エージェントに相談する
外資系企業への転職では、書類提出の際に英文レジュメが必要になる、面接が英語であるなど、日系企業にはない特徴があります。外資系企業のマーケティング職への転職をより確実にするなら、外資系企業に強い転職エージェントに登録し、書類や面接対策のアドバイスを受けることをおすすめします。
自分に合った外資系企業で、花形のマーケティング職として活躍しよう
外資系企業と一口にいっても、業種や業態は多岐にわたり、特徴もさまざまです。これまでの経験やスキルを活かせる企業や、自分に合った社風の企業を見つけるために、プロの手を借りてみてはいかがでしょうか。
RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンでは、外資系企業のマーケティング職への転職を数多くサポートしてきたコンサルタントが、転職活動をお手伝いします。ぜひ、お気軽にご相談ください。
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
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