元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。今日のテーマは、「外資系勤務の魅力の一つはワークライフバランス」です。
長時間労働を称えるTVCM「24時間戦えますか」がもてはやされたのは今や昔、日本でも働き方改革について真剣に討議がなされ、長時間労働をよしとする風潮は少しずつではありますが変わってきています。
実は外資系は、もともと長時間労働を礼賛する文化ではなく、ワークライフバランスが取りやすい環境でした。理由を考えてみます。
成果主義
英語圏は成果主義なので、生産性が高い社員こそが仕事のできる人材という評価になります。上司が帰らないから退社できないとか、とりあえず長く会社にいれば「頑張っている」と思ってもらえるので、なんとなく残業をしながら会社に残る人材は、成果が出ていなければ全く評価されません。大切なのは頑張っている「プロセス」ではなく、どのようなプロセスで導き出しても構わない「結果」なのです。必要な仕事をなるべく生産性高く完了し、周囲の目を機にすることなく退社するのはごく自然です。
個人主義 VS. 集団主義
ホフステードの6次元異文化モデルに、世界の文化を図る切り口が6つあります。そのうちの1つが、今回登場している個人主義VS集団主義です。1から100のスケールでスコアが高いほど、ある傾向が顕著に現れていると読みます。
日本人の個人主義度は46です。それに対してアメリカ91、イギリス89、ドイツ67、フランス71で、いわゆる欧米諸国と言われ外資系の本社が多い国は個人主義なのです。就業時間が終われば同僚と飲みに行くのではなく、すぐ家族のもとに帰り自分の生活を送る。文化的背景の違いでワークライフバランスは外資系の方が保ちやすいです。日本人社員が多い外資系の日本法人でも、本社の影響や外国人比率の高さからその良い影響を受け、長時間労働をよしとする風潮は持ち合わせていません。
男性性 VS. 女性性
こちらもホフステードの指標の1つで、直接的にジェンダーには関係はありません。男性性が高いと、「秀でることが必要、働くために生きる、成功者への賞賛」の傾向が強くなります。日本のスコアは95です。世界でも飛び抜けて高いスコアで、ワーカホリック(仕事中毒)に陥りやすい文化です。突き詰めるあまり、しなくても良い仕事を自ら生み出し行ってしまう可能性もあります。
比較すると、アメリカ62、イギリスは66、ドイツ66、フランス43になります。日本よりスコアが低いので、極める職人気質の特性を持っていないことになります。さらに北欧のスコアを見ると、スウェーデン5、デンマーク16、フィンランド26と極めて低い数値が並び、ワークシェアリングで週休3日などワークライフバランスが高い人生を送っていることが見て取れます。
本社が「働くために生きること」を望んでいない場合、日本法人の企業文化も当然影響されますので、外資系企業の方がワークライフバランスは取りやすくなります。
>テレワークの状況
2020年4月からしばらく、日本企業・外資系企業に関係なくテレワークを実施せざるを得なかった時期がありました。皆さんの会社は、現在もテレワークを続けていますか?
内閣府が6月21日に「新型コロナウィルス感染症の影響か下おける生活意識・行動の変化に関する調査」を発表しました。テレワークで縮小した通勤時間をキープしたいと思っているかどうかについて、東京23区、東京圏、大阪圏・名古屋圏、全国でデータが出ていますが、居住地域に関係なく、7割以上の人が短い通勤時間を保ちたいと答えています。テレワークの良さを認識した人材は、転職の際「テレワーク制度の有無」を重要視するようになる可能性も出てきました。
公に比較したデータはまだ発表されておりませんが、外資系社員の人たちは今現在も100%テレワーク、もしくは週に1〜2回出社する程度で後はテレワークという勤務体制のようです。勤務先が日本企業の場合は、かなりの割合で再び会社に出社されています。
人生において仕事が占める割合は高いので、ワークライフバランスを保てるかどうかは幸福度を大きく左右します。ワークライフバランスは、外資系で働くことの大きなメリットです。日本企業から転職する時に躊躇される方が、外資系を選択できるように今後も外資系の魅力を伝えていきます。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
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