外資系製薬会社への転職活動をする際には、外資系製薬会社ならではの社風や採用傾向、求められるスキル、採用面接で注意すべきことなどを知っておくことが重要です。
ここでは、外資系製薬会社への転職活動を始める前に押さえておきたい基礎知識についてまとめました。
外資系製薬会社とは?
外資系製薬会社とは、「外国の企業が日本で設立した100%子会社(日本法人)」「日本企業と外国企業が共同出資で設立した会社」「外国の企業が株式を取得して買収した日本企業」「外国企業の日本支社」のいずれかにあてはまる製薬会社です。
アメリカの調査会社IQVIAが2019年に発表したレポートによると、日本の製薬市場はアメリカ、中国に次いで世界第3位の規模を占める巨大市場です。ところが、その成長率は低下の一途をたどっており、主要国唯一のマイナス成長が予想されるまでになりました。背景にあるのは、高騰する医療費の抑制を目的とした薬価改定、新薬より安価な後発品の普及、そして、新薬の開発力を強みとする外資系製薬会社の攻勢です。
国内の医薬品市場統計を見ても、売上高トップ10のほとんどを外資系企業が占めており、外資系企業がシェアを伸ばしていることがわかります。
外資系製薬会社の社風に特徴はある?
外資系製薬会社の社風には、いくつか共通する特徴があります。それぞれを詳しくご紹介します。
無駄が少ない
複数の外資系製薬会社に共通しているのは、無駄を少なくしようとする取り組みが見て取れることです。ミーティングは必要最低限で、進め方もスピーディーです。「検討します」の繰り返しで結論を出さない会議や、習慣的に行われている定例会議などは年々減ってきています。必要なときに必要な人とフランクに意見交換できるよう、社員がオフィス内の席を自由に選んで座るフリーアドレス制を採用しているのも、効率重視の外資系製薬会社ならではです。
意思決定はグローバルである
外資系企業全般に言えることですが、基本的には本社に決定権があります。日本の支社が意思決定のイニシアチブを取れることはほぼないといっていいでしょう。
ただし、本社がアメリカ系かヨーロッパ系かによって多少の違いはあり、企業によっては日本の意見に耳を傾けたり意思決定の会議に日本からも参加できたりすることもあります。
トレーニングが充実
製薬会社で働く方々は、担当するプロジェクトに応じて、様々な疾患領域への知識を必要とします。メディカルアフェアーズ職や研究職はあまり専門領域を変えることはありませんが、その他の職種ではプロジェクトによって複数の疾患領域への知識を身に着ける必要があります。
そのような場合、外資系製薬会社では対象疾患領域のプロ(社内MDなど)が入社者に対し、専門領域のトレーニングなど行っています。また、担当疾患領域が前職と同じであっても、使用するシステムは企業によって異なることもあるため、システムに関する研修やトレーニングも充実しています。
また、外資系製薬企業ならではの文化として、昇進の際に生え抜きを優先する風土はなく、中途入社でもしっかりトレーニングを積めば、十分キャリアアップのチャンスがあります。
業界を跨いでの転職が少ない
医薬品業界から別の業界に転職すると年収がダウンする可能性が高く、業界を跨いでの転職は殆どありません。外資・内資問わず、高い専門性を求められるため、業界内で転職する方が多い特殊な環境といえるでしょう。
そのような中、医薬品業界外からの転職で次のような実例があります。
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臨床医/アカデミアから外資系製薬会社へ
病院や大学等で臨床医もしくは、アカデミアとして活躍する方が、外資系製薬会社のメディカルドクターになるといった事例が近年増えてきています。新薬の開発や副作用の評価・対策、難病や希少疾患に対する有効な治療法や薬の価値の最大化いったミッションの元、様々な業務にあたります。
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研究職から外資系製薬会社へ
大学や研究機関の研究職から、外資系製薬会社へ転職される方も増加傾向にあります。具多的には、メディカルアフェアーズ職として専門領域とサイエンスのバックグラウンドを活かしてご転職をするケースです。
給与・福利厚生の特徴と傾向
前述したとおり、医薬品業界では専門性が問われる仕事が多く、給与水準は他の業界と比べて高くなっています。
そのため外資系製薬会社へ転職する場合、前職からおよそ10%~15%程度の給与アップが見込めるため、内資製薬会社に比べて高い給与水準です。
また、外資系製薬会社は、一般的な外資系企業のイメージに反して福利厚生も充実しています。具体的には殆どの会社で在宅制度やフレックスタイム制度、住宅補助制度などを導入しており、ワークライフバランスを実現しやすいことも、別の業界に転職する人が少ない要因と考えられます。
外資系製薬会社における最近の転職傾向
業界内では、M&AやMR減少、バイオ医薬品へのシフトなど、年々大きな変化が起きています。そのような中、各外資系製薬企業ではどのような職種を積極的に採用しているのでしょうか。
臨床開発職
最も採用活動が活発なのは、新薬における臨床開発職です。近年CROを使って臨床開発業務をアウトソースする企業が多くなってきております。
ほとんどの外資製薬会社では、自社にモニターは置かず、ベンダー選定・管理のできる者を採用し、CROマネジメント業務を中心としています。
メディカルアフェアーズ職
新たに生まれた「MSL(Medical Science Liaison)」という職種でも活発に採用が行われています。
MSLは、論文や学会から知識を得て、エビデンスに沿った質の高い情報の交換で医師との関係を築いて、自社製品の市場価値を高めていきます。自社製品の販売拡大につなげることが最終目標ですが、直接的な営業活動はしない点がMRとの大きな違いです。
外資系製薬会社に採用されやすい人
続いては、外資系製薬会社に採用されやすい人の特徴について見ていきましょう。
変化に対応できる、柔軟性
外資系製薬会社では、社内移動も活発で会社・部門のTOPが変わることもしばしばあります。その都度、方針が変わることもあり、変化を前向きに捉えられる人が向いていると考えられます。
特定分野のスペシャリスト
医薬品業界は、どの職種でも専門的な知識やスキルを求められるため、ジェネラリストよりもスペシャリストの方が評価される傾向があります。
一定以上の英語力がある人
『外資系』と聞くと、英語力が強く求められる印象を持つ方がいます。
もちろん、英語力を持ち得た方が良いのは間違いないのですが、会話が流暢に出来ずとも、自身の専門分野の論文を読むことができる程度の英語力でも十分チャレンジは可能です。
また、将来的に「いずれは海外の本社に行って活躍したい」、「より上のポジションを目指したい」といったビジョンを持っている方は、入社後の英語研修等で、より高い英語力を身につけることが可能です。
レジュメやカバーシートはどう書く?外資系製薬会社ならではの注意点
外資系製薬会社に提出するレジュメやカバーシートは、これまでの経験の要点を整理して書くことを心掛けましょう。長々と職務概要を書かず、専門領域や得意分野について、4-5行で概要がつかめる文量に収めるとよいでしょう。
なお職種を問わずほとんどの外資系製薬会社では英文レジュメの提出が必須です。英語が母国語でない場合は、第三者にチェックしてもらうなどして、レジュメの完成度を高めましょう。
外資系製薬会社の面接で注意すべきことは?
外資系製薬会社の面接では、「何ができて、何ができないか」を明確に伝えることが大切です。併せて、できないことを入社前後にどうカバーしていくかなどを話せると、より評価が高まります。
医師や大学での研究者から製薬会社を目指す場合は、製薬業界の基礎知識を調べておくことも大切です。また、なぜ企業で働く選択をしたかについて、自分の言葉で話せるようにしておきましょう。
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