転職活動中に転職サイトを利用していると、転職エージェントや企業の採用担当者から「スカウトメール」が送られてきた経験はありませんか?スカウトメールは、「自分のキャリアが企業や転職のプロに認められている」とうれしくなる反面、「自分のキャリアを本当にちゃんと見た上で送られているのか」「誰彼構わず乱発しているのではないか」などと、スカウト自体を信用していいものなのか、悩んでいる人も多いかと思います。
そこで今回は、転職サイトのスカウトメールが求職者に送られる仕組みや有効なスカウトメールの見極め方などをご紹介します。あなたの転職活動の参考にしてみてください。
転職サイトのスカウトとは?
転職サイトに登録すると、転職エージェントや企業の採用担当者からスカウトメールが送られてくることがあります。スカウトメールとは、転職エージェントや企業の採用担当者が、「この求人に応募しませんか?」とスカウト、つまり求職者に応募を促すメールのことです。
このようなスカウトにのるべきかどうかを考えるためにも、スカウトメールが送られてくる仕組みについて知っておきましょう。
スカウト機能は多くの転職サイトに備わっている
多くの転職サイトには、転職エージェントや企業からスカウトメールを配信する「スカウト機能」が設けられています。
従来の転職サイトは、「求職者が自分でサイト内に掲載されている求人を探して、転職サイトを通じて企業に応募する」のが一般的でした。それが、近年は企業側からのスカウトをメインとする転職サイトも珍しくありません。また、従来型の転職サイトであっても、スカウト機能を追加して設けている場合がほとんどです。
中には、公式の採用活動を行わず、スカウト機能だけを使って採用活動を行う企業も存在します。スカウトによって、あなたが知らなかったような企業に出合う可能性もゼロではないのです。
スカウトされるには「これまで何をしてきたか」がわかるように
スカウトされるには、自身のプロフィールを充実させておく必要があります。スカウトメールは、求職者が転職サイトに登録したプロフィールや職務経歴、スキル、年収、勤務地などの希望条件を確認し、企業の採用担当者や転職エージェントからその求人にマッチしそうな求職者にだけ送られます。
注意したいのは、「転職サイトに登録しただけではスカウトメールは送られてこない」ということ。企業や転職エージェントがスカウトメールを送りたくなるようなプロフィールを準備しておく必要があるのです。
企業がスカウトメールを送る意図とは?
スカウトは、「自分にマッチした求人を探しに行く手間が省ける」という意味で、求職者にとって非常に便利なサービスといえます。一方で、企業側にも大きなメリットがある採用手法です。それは、従来のように転職サイトに求人を掲載したら、あとはひたすら求職者からの応募を待つのみ…ではなく、企業側から能動的なアクションを起こせるからです。
スカウト機能では、企業がサイト登録者に直接メッセージを送ることができるため、自社の求人に応募していない人材にもアプローチできるようになりました。求職者のあいだで知名度が低いため、応募の母数を集めることが難しい中小企業ほど、スカウトメールを活用するメリットは大きいといえるでしょう。
「競合他社よりも採用候補者を少しでも早く集めたい」と考える企業にも、スカウトメールは有効なツールです。昨今では、少子高齢化による労働人口の減少で、深刻な人手不足に陥っている業界や企業が少なくありません。そんな人材獲得競争に打ち勝ち、戦力となる人材を獲得するためにスカウトメールを大いに活用しているケースもあります。
転職サイトのスカウトメールは4種類ある
スカウトと聞くと、「企業からの直々のオファー」という印象を受けるかもしれません。しかし、転職サイトのスカウトメールは、企業が直接送っているものばかりではないのです。
転職サイトのスカウトメールは、大きく4つの種類に分けられます。その内容と違いについて見ていきましょう。
コンピューターによって自動送信されるスカウトメール
スカウトメールの一種に「転職サイトからの自動送信メール」があります。これは、求職者が登録したプロフィールや職務経歴などの情報と登録されている企業の求人条件がマッチングした場合に自動的に送られてくるメールで、性質としてはDM(ダイレクトメール)に近いものを思い浮かべてもらえればわかりやすいでしょう。
自動送信メールは、その送信の判断に人間が関わっておらず、コンピューターの自動処理により定型文で送られてくることが特徴です。一人ひとりのプロフィールや職務経歴などをしっかりと読み込んで送信しているわけではないため、マッチング率は決して高くはありません。
ともすれば、何度も同じ内容で送られてくるスカウトメールによって本当に重要なメールを埋もれさせてしまうなど、転職活動の妨げとなるおそれもあります。
転職サイトの担当者が送るスカウトメール
転職サイトの担当者の手によって、スカウトメールが送信されているパターンもあります。担当者が求職者の登録情報を確認し、マッチングしそうな求人をメールにて紹介してくれます。コンピューターの自動送信に比べれば人の手が関わっている分だけ、精度は高いと思われるかもしれません。
しかし、実際にはこちらも求職者と求人内容をシステム上でマッチングし、その情報をもとに担当者が送信しているもの。業種・職種に知識や理解がある担当者からのメールなら有効活用できますが、経験の浅い担当者から送られるスカウトメールでは、ミスマッチが起きるリスクもあります。
提携する転職エージェントが送るスカウトメール
転職サイトと提携している転職エージェントからも、スカウトメールは送られてきます。これは、登録情報と求人情報が本当にマッチしそうな登録者に送られる種類のメールで、その後はキャリアアドバイザーによる詳細なヒアリングが行われることが多いです。
「転職のスペシャリスト」である転職エージェントは、求職者が無事に内定・入社すればその企業から成功報酬(内定者年収の数十パーセント)を得られるため、企業がどのような社風で、どんな人材を求めているのかをしっかりと把握しています。すなわち、マッチング率は高いといえるでしょう。さらに、ほかのマッチングしそうな非公開求人を紹介してくれたり、応募書類の添削や面接対策に力を貸してくれたりするメリットもあります。
ただし、中にはキャリアアドバイザーの名前を使って、連絡担当のスタッフが一括送信する転職エージェントも。このようなスカウトメールは、多くの求職者に同時に連絡しており、キャリアアドバイザー本人からのスカウトに比べると信頼度は低めです。とにかく成績を上げたいキャリアアドバイザーが、「本当はマッチングしない求人」でスカウトしてくる可能性もゼロではありません。
企業の採用担当者が送るスカウトメール
そして4つ目が、企業の採用担当者からのスカウトメールです。このスカウトメールは、企業の採用担当者が求職者の登録情報を詳細までよく見て、「自社にぜひ応募してほしい」と考えた場合にだけ送られてきます。まさに、本来の意味での「スカウト」であり、スカウトメールの中では採用につながる可能性が最も高く、企業や求人によっては書類選考など一部選考が免除・省略されるケースもあります。
しかし、離職率や内定辞退率が高い会社の採用担当者が応募者をなかなか集められず、「手当り次第にスカウトメールを送っている」可能性がないとも言い切れません。企業からのスカウトメールを受け取っても舞い上がることなく、企業の評判や口コミなどを冷静に調べてみる必要はありそうです。
とはいえ、思いがけない業種・職種の企業からスカウトメールが届くこともあります。求職者にとって「転職の可能性が広がる」という意味で、大きなメリットといえるのではないでしょうか。
転職サイトから届くスカウトメールの見極め方
システムから自動送信されるスカウトメールも少なくない中で、マッチング率の高い“本当のスカウト”を見逃さないためには、どうしたらいいのでしょうか。続いては、スカウトメールの見極め方について解説します。
スカウトの「具体的な理由」が書かれている
あなたをスカウトする理由が具体的であればあるほど、そのスカウトメールの信頼度は高いといえます。あなたの職務経歴やこれまでの仕事内容、今持っているスキルについてふれており、それにもとづいてスカウトする理由が具体的かつ明確に書かれている場合は、企業の採用担当者や転職エージェントからの有用なスカウトである可能性が高いといえます。
スカウト理由が誰にでもあてはまりそうな表面的な理由であったり、明らかに定型文だったりする場合、システムによって自動送信されたメールの可能性が高いと判断し、すぐに破棄すべきでしょう。
自分の「転職における希望条件」と合致している
転職サイトに登録する際には、プロフィールや職務経歴に加えて、年収や勤務地などの希望条件を入力します。この「希望条件と合致しているかどうか」も、スカウトメールを見極める上での判断材料となるはずです。
なぜなら、システムによる自動送信メールは、職務経歴や年齢、居住地といった属性と一部でもマッチングした登録者に向けて、一斉送信しているもの。ですから、あなたが希望する条件と「一部ないしはほとんど合致していない」事態が起きるのです。
裏を返せば、細かな希望条件まで満たしたスカウトメールは、企業の採用担当者がしっかりとあなたの登録情報に目を通した上で送っているという証です。このようなスカウトメールは、見逃さないようにしたいところですね。
転職サイトのスカウトメールに関する3つの疑問
転職サイトから届くさまざまなスカウトメール。一方的にスカウトメールを受け取る側の求職者にとっては、わからないことも多いようです。ここでは、転職サイトのスカウトメールに関する、3つの疑問にお答えします。
Q. スカウトを受けるための転職サイト登録が、今の会社にばれるのでは?
スカウトメールを受信するためには、転職サイトへのプロフィールや詳細な職務経歴登録が必須です。そうすると、「現在勤めている企業の採用担当者が、自分の登録情報を発見してしまうのでは…」と心配になる人もいるのではないでしょうか。
結論からいえば、そのリスクは極めて低いです。それは、転職サイトのスカウト機能は、求職者のプライバシー保護を重視し、十分に配慮しているからです。
そもそも、転職サイトにおいて、求職者情報は匿名登録されています。つまり、企業の採用担当者がスカウトメールを送ろうとする段階では、実名など詳細な個人情報までは見られないようになっているのです。さらに多くの転職サイトでは、任意の企業(この場合は現勤務先)に対して、自分のプロフィールを閲覧できないようにする機能も備わっています。
多くの転職エージェントは、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が付与するプライバシーマーク(Pマーク)を取得し、登録者の個人情報の取り扱いを厳重に管理しています。Pマーク取得をうたう転職サイトであれば、あなたの情報が現勤務先に漏れる心配は、限りなくゼロに近いといえるのではないでしょうか。
Q. スカウトメールに、いちいち返信は必要なの?
転職エージェントや企業の採用担当者からスカウトメールが届いても、あなたがその求人に興味がなければ返信する必要はないでしょう。
「たとえ興味がなくても、いただいたメールに返信するのは社会人として常識」といった思いから、律儀に返信することを否定するわけではありません。しかし、スカウトする側は、そもそも「匿名」の人にスカウトメールを送っており、時には「数撃ちゃ当たる」のスタンスで複数人にスカウトメールを送っている可能性もあります。
いちいち断りの返信をしてあなたの貴重な転職活動時間を失ってしまわないように、スカウトメールは通常のビジネスメールとは別物だと割り切るべきです。もちろん、明らかに不特定多数の人に送られていると判別できる自動送信スカウトメールや転職サイトからのスカウトメールについては、無視しても問題がないのはいうまでもありません。
Q. スカウトメールに返信、応募したら内定は確実?
スカウトメールが届いたとしても、内定が約束されているわけではありません。そもそもスカウトメールは、企業の立場に立ってみれば、「匿名情報へのピンポイントなお声掛け」です。当然ながら、その時点で転職エージェントや企業側は、あなたの人となりを知りません。面談や面接などのコミュニケーションをとることで、ようやくそれを知ることができるのです。「相手は自分とコミュニケーションをとりたいと好意的に思ってくれている」と捉えておくぐらいがちょうどいいのかもしれません。
企業の採用担当者からのスカウトメールであれば、書類選考が免除されたり、一部選考がショートカットされたりする可能性はありますが、それでも採用の責任者などとの面接選考は必須です。企業研究や志望動機の作成など、しっかりと対策をして選考に臨む必要があります。
なお、自動送信スカウトメールなどから応募した場合には、選考で優遇されることはほとんどないと考えるべきでしょう。
スカウトメールで思わぬ優良企業と出合う可能性も
今回は、転職サイトのスカウトメールの仕組みや見極め方を、わかりやすく解説しました。システムによる自動送信スカウトメールなど、現状では必ずしも求職者にとって有益なものばかりとはいえないかもしれません。
しかし、求職者が企業に売り込まなければならない従来型の転職活動に比べ、企業の採用担当者やそれに近い転職エージェントから、労せずしてアプローチをもらえるのがスカウト機能のメリットです。スカウト機能を上手に活用すれば、思いがけない優良企業と出合う可能性もあります。
そのような企業と出合うためにも、各スカウトメールの違いと見極め方をしっかりと理解し、「企業や転職エージェントが思わずスカウトしたくなる情報」の登録に努めましょう。
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