憧れていた外資系企業に転職したものの、社風や仕事内容がフィットせず離職する人は少なくありません。特に、日系企業で働いていた人の中には、文化や考え方のギャップに苦しむケースも多いようです。
時間と労力をかけて転職する以上、縁があった外資系企業とはできるだけ長く付き合っていきたいところ。この記事では、外資系企業への転職を成功させるために、外資系企業の特徴のほか、外資系企業の転職に失敗する理由、外資系企業で成功する人・向いていない人、外資系転職に成功するコツを解説します。
外資系企業の特徴
外資系企業への転職活動を始める前に、外資系企業ならではの特徴を把握しておきましょう。外資系企業の特徴としてよく挙げられるのは、「実力主義」「英語力が必要」「独自の報酬体系」の3つです。
実力主義
外資系企業は、徹底した実力主義・成果主義の会社がほとんどです。誰より早く出勤して、誰より多く顧客に電話をかけたとしても、成果につながらなければ一切評価されません。
一方で、日本経済の停滞や、少子高齢化に伴う労働人口の減少などで機能しにくくなってはいるものの、日系企業では終身雇用を前提とした年功序列のシステムを採用している企業が今も少なくありません。そのため、明らかに実力不足だったとしても、「長くがんばってくれているから」「役職を与える年齢だから」といった、不透明で客観性のない理由で昇進・昇格が決まる場合があるのです。
英語力が必要
外資系企業では、社内外問わず外国人と接する機会が多いため、英語力は必須です。
外資系に転職したいと考える人の多くは、「ある程度は英語がしゃべれる」「これまでも仕事で英語を使ってきた」という人かもしれませんが、英語を公用語とする企業では、求められる英語力のレベルはかなり専門的で高いため、そのギャップに注意が必要です。
従業員のほとんどを日本人が占めている場合など、英語力をほぼ必要としない外資系企業でも、キャリアアップ
また、外資系企業は、明確に定義された仕事内容にマッチした人材を採用する「ジョブ型雇用」がほとんど。「1社でジョブローテーションしながら長く働く」という日系企業のような概念がないことも理由といえるでしょう。
外資系企業への転職に失敗する理由
外資系企業へ転職しても、残念ながら失敗に終わるケースがあります。転職活動の参考にできるよう、いくつかの典型的なパターンを知っておいてください。
実力主義が肌に合わない
外資系企業は基本的に、実力主義です。「成果だけでなく過程も評価してほしい」「常に成果を求められるプレッシャーには耐えられない」という人は、入社後のギャップに苦しむ可能性があります。
また、即戦力としての働きを期待されて入社した場合、入社後ある程度早い段階から高いパフォーマンスを求められるのが当然です。組織や業務に慣れるのに時間がかかる人にとって、成果を出せない期間が長引くほど周囲の目は厳しくなっていきます。それは、容赦なく給与にも反映されるため、高収入を得たくて入社したはずなのに、むしろ年収がダウンしてしまう人も。
業務負荷に耐えられない
リアルタイムのコミュニケーションを重視する社風の外資系企業の場合、海外本社の営業時間帯に合わせてミーティングが設定されることがあるので注意が必要です。
時差がある中での勤務に加えて、マネジメント領域では業務量が増加し、かつ多岐にわたります。成果を求められる中で自分と部下を管理するプレッシャーと戦う日々は、人によってはハードに感じられるかもしれません。
仕事に見合う英語力がない
あなたの英語力は、日系企業で時々発生する外国人クライアントへの簡単な説明では問題なかったかもしれません。しかし、外資系企業の本格的なビジネスシーンや、本国のネイティブスピーカーとの意思疎通が求められる場面では通用しなかったり、学校の授業で習った文法だけでは、相手との会話が成り立たなかったりすることも。
クライアントや上司、同僚とうまくコミュニケーションがとれなければ、当然ながら任せられる仕事のレベルが落ち、成果を上げにくくなります。英語力が原因で希望業務を担当できず、退職するケースもあるのです。
業務内容が専門的でついていけない
外資系企業は、採用する人に期待する仕事内容とスキルレベルを明確にした上で採用する、「ジョブ型雇用」が一般的で、基本的には入社後のジョブローテーションはありません。担当分野を突き詰めてレイヤーを上げていくのです。
「日系企業在籍時には突き抜けていたスキルや知見は、外資系企業ではごく一般的でありふれたものだった」と驚く人も。外資系企業は即戦力としての活躍を期待して採用しているため、専門性の高い人材にもまれながら頭角を表していかなくてはなりません。周囲と比較して劣等感を感じ、自信を持って仕事ができなくなる人もいるので注意が必要です。
成果が出せないときの対応に耐えられない
日系企業と外資系企業には、成果を出せなかった場合の対応の違いがあります。外資系企業ではキャリアダウンや報酬カットに加え、最悪の場合は解雇もありうるもの。
一方、日系企業の場合、「せっかく縁があっていっしょに働くことになったのだから、すぐに成果が出せなくても長い目で見よう」という思考が一般的です。この違いを受け入れられないと、外資系企業で長く働くのは難しいかもしれません。
カルチャーの違いを知らない
外資系が徹底した実力主義であり、減給やキャリアダウンもあるように、日系企業と外資系企業のカルチャーは大きく異なります。どちらかといえばドライで、個人主義的な社風が肌に合わないと、働く上で大きなストレスになるでしょう。
漠然とした印象のまま、外資系企業への転職を希望したり、高年収や仕事の内容だけに注目したりして、日系企業と外資系企業とのカルチャーの違いを知らないままに転職し、失敗するケースもままあるので注意してください。
結果を出せず年収もダウン
外資系企業の年収の高さに惹かれて転職を決め、結果を出せずに年収がダウンすると、そもそもの転職の目的が失われてしまいます。自分のスキルや経験は、専門性の高い外資系企業でどこまで通用するのかの客観的な把握が必要です。
外資系企業に向いていない人
外資系企業への転職に向いていないのは、どのようなタイプでしょうか。ここでは、性格や思考の観点から、外資系企業に向いていないタイプについて見ていきます。
実力主義に合わない
外資系企業は、「メンバー全員で助け合う」というよりは、「一人ひとりがそれぞれの専門分野で個別に力を発揮し、全体を底上げする」カルチャーです。会社にアットホームな雰囲気を求める人には、実力主義を基本とした競争社会である外資系企業のビジネスライクな関係は不向きといえるかもしれません。
英語力が低い
現時点で英語力が低く、且つ英語力を向上させる気のない方は、外資系企業には向いていません。最初は何とか活躍できていても、業務範囲が広がるにつれて英語力不足が仕事に響くシーンが増えていくことになります。転職前に求められる英語力レベルの見極めは必須です。
専門スキルが低い
何でもこなせるジェネラリストも、外資系企業には不向き。どちらかといえば、「この領域だけには自信がある」「この知識ならだれにも負けない」といった、突出した専門分野を持つ人のほうが向いています。
福利厚生や退職金がないことが不満
外資系企業は、福利厚生や退職金などがありません。成果を出せばそれを補うだけの収入を得られますが、そうでなければ、福利厚生や退職金はおろか、解雇されるリスクも…。
こうしたハイリスク・ハイリターンに抵抗を持つ人は、外資系企業そのものにフィットしない可能性が高いといえるでしょう。
受け身で安定志向
外資系企業では「上司の指示がないと判断できない」「あまり挑戦や冒険はしたくない」「これまでどおりのやり方を踏襲したい」といった受け身の態度や、安定を第一とする思考は好まれません。主体的に仕事に取り組み、高いパフォーマンスを発揮することが評価に直結します。業務効率化につながるアイディアがあれば、積極的に実践していく姿勢がある人も重宝されるはず。
年下の上司が受け入れられない
年齢や入社年次を問わず、実力がある人、結果を出した人を登用するのが外資系企業です。年齢や昔ながらの昇進の仕組みにこだわり、年下の上司の実力を認められない人は、外資系企業では働きにくいでしょう。若手が中堅層を飛び越えてマネジメントのポジションに就くことは、外資系企業ではよくあるケースなのです。
本国の意向に対応できない
外資系企業では、基本的に本国の意向が事業計画や経営方針に強く反映されます。本国の鶴の一声で日本での事業展開が決定し、それに応じて人員配置が行われることも。
ですから、本国の判断で日本事業の事業縮小・撤退も決定されるのです。外資系企業で働く場合、本国が主導権を握っていること、本国の決定によって職場がなくなる可能性があることは認識しておくべきですし、それを「不安定」と感じる人には、外資系企業は不向きといえます。
外資系企業で成功する人
外資系企業への転職を成功させ、活躍する人もたくさんいます。ここでは、外資系企業で成功する人の特徴を見ていきましょう。
自立心と主体性がある
外資系企業では、みずからやりたいことを探し、手を挙げて積極的にプロジェクトに参加する主体性と積極性があることが求められます。意見を求められたときにも、上司や同僚に配慮した曖昧な発言に終始するのではなく、自分自身の考えをはっきり主張できることも重要な要素です。
所属従業員の動向に気を配り、その人の志向に合った仕事とチャンスを与える日系企業と違って、外資系企業では「待ち」の姿勢でいる人は置いていかれるでしょう。外資系企業において、仕事とチャンスはみずから取りに行くもの。誰かが与えてくれるのを待つものではないからです。
高い専門性がある
外資系企業では、何でも平均的にこなせるジェネラリストより、専門分野において突出したスキルを持っているスペシャリストのほうが働きやすいのは事実。「これだけは誰にも負けない!」と自信を持って言える分野があると、事業の一翼を担う存在として認めてもらいやすくなります。
成果主義が合っている
プロセスではなく成果を評価する実力主義が肌に合っている人にも、外資系企業はおすすめです。外資系企業では実力と意欲次第でいくらでもキャリアアップできるでしょう。
実力があっても正当に評価されないことに不満を持っていたり、年功序列で結果を出していない人が昇進していく仕組みに疑問を感じていたりする人にはおすすめです。
Yes・Noを伝えられる
外資系企業では、意見を求められたら、自分の価値観にもとづいて「Yes」「No」を意思表示する姿勢が重要です。日系企業のように上司に忖度して黙って従う姿勢を善しとする雰囲気はありません。周囲の意向や雰囲気にかかわらず、きちんと自己主張できる芯の強さがある人が外資系企業には向いています。
ただ、自己主張は重要とはいえ、あなたの昇進や降格を決めるのは直属の上司。いくら外資系企業がドライなカルチャーでも、上司には人間としての好き嫌いがあり、そんな上司に気に入られることも必要です。そのバランスを意識したふるまいができる人は成功するでしょう。
本国との対応を柔軟にできる
業務上の関わりが薄い本国の上司にそつなく対応できる力も、外資系企業で成功する上で欠かせない要素です。外資系企業では、本国との物理的な距離感からトップマネジメントと顔を合わせてコミュニケーションできる機会はほとんどありません。そのため、年に数回程度、本国のトップマネジメントが来日視察をします。このタイミングであなたが適切なパフォーマンスを発揮できれば、早期昇進・昇格も見込めるはず。
英語力がある
外資系企業では、ほとんどの人が一定以上の英語力を備えています。求められるレベル以上に流暢な英語を話せる人は、昇進・昇格が早まるはずです。
プレゼンテーション力
仕事の成果を披露できる機会や場があれば、時間内で自分の実力をプレゼンテーションし、達成した実績をできるだけアピールするのが外資系企業で働く人に共通のマインドです。企業側も、自分自身を効果的にプレゼンテーションできる人を「仕事ができる人」と認め、能力を高く評価する傾向があります。謙遜することなくアピールできる人や、的確に伝える力を持っている人には有利でしょう。
多様な外国人上司・同僚とうまくやれる
外資系企業で働いている外国人上司や同僚は、みずからの「個性」と「独自性」を重視しています。自信を持って自分の意見を主張し、相手の意見を尊重した上で、みずからの意見を明確に伝える「アサーティブネス」な特性を持っているのです。それは周囲と同調すること、目立たないことを美徳としがちな日本人と大きく違う点。
こうした仲間と働くには、あなたもアサーティブネスである必要があります。アサーティブネスは後天的に習得できる能力のため、日頃から「自分の意見」を意識し、相手の意見を踏まえつつ自己主張する訓練を積むようにしてください。
コミットメントにこだわる
みずからコミットメントにこだわり、短期間で最高のパフォーマンスを上げられる人こそ、外資系企業における理想的な人材です。外資系企業は、各々に課せられた数字を達成することに対して非常にシビアです。プロセスは基本的に評価の対象にはならないため、目標達成こそが最大の貢献であるといっても過言ではありません。
外資系企業への転職を成功させるには?
外資系企業への転職を成功させるにはどうしたらいいのでしょうか。最後に、外資系企業への転職成功につながる、効果的な方法を5つご紹介します。
日系企業とのギャップを理解する
これまで日系企業でしか働いたことがない人は、外資系企業の特徴を理解することから始めてください。ポイントは、「カルチャー」「給与体系」「仕事内容」「評価の仕方」です。どんなに仕事の内容が自分にとって理想的で、年収アップにつながる可能性があったとしても、カルチャーが合わない企業で長く働くのは現実的ではありません。
外資系企業と現職とのギャップをよく知った上でやっていけるかどうか、冷静かつ客観的に検討することが大切です。
キャリアの棚卸をする
外資系企業では、何らかの領域における高い専門性が求められます。これまで、さまざまな仕事に携わってきた人や、器用に仕事をこなせる一方で自分の専門分野がわからない人は、キャリアの棚卸をして、自分の強みを見つけてください。
キャリアの棚卸のやり方に悩んだら、転職エージェントのサポートを受けるのもおすすめです。
働き方やカルチャーへのリサーチを欠かさない
日系企業と同様、外資系企業もそれぞれに異なる特徴を持っているもの。外資系企業の全体像を理解した後は、志望企業にフォーカスし、活躍している人の層やカルチャー、具体的な働き方などのリサーチを進めてください。
それでも、個人で得られる情報には限りがあります。志望企業で働いている友人・知人から情報を集めたり、志望企業とのあいだに太いパイプを持っている転職エージェントに相談したりするといいでしょう。
仕事に見合った英語力を持つ
転職して挑戦したい仕事、および将来的なキャリアプランに沿って、求められる英語力のレベルを確認しておいてください。自分の英語力が客観的に見て不足しているようなら、語学学校や通信教育など、現職の隙間時間を有効に使って学びつつ、転職活動を始めるのが賢明です。
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