元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、日本企業から外資系に転職する時の引継ぎと、最初の90日で気をつけたいことです。
外資系企業で誰かが辞める時、ほとんど引継ぎはされず有給休暇の消化で退社日も早いということは日常です。比べると日本企業は、周りに迷惑をかけてはいけないという思いが強いので、2~3ヶ月引き継ぎをする事は当然のようです。 オンラインセミナーの営業メンバーが外資に転職するにあたり、自分の後任にお客様の細かい癖まで3ヶ月かけて引き継いだ話は、外資出身の私には驚きでした。
「飛ぶ鳥跡を濁さず」とはよく言われますし、この引き継ぎをしっかりしないと後々まで指をさされると言う話も聞きます。実際には日本企業から外資系企業に移ると、人間関係の話が重ならなくなるので そこまで気にする事はないと思います。転職を決めたのであれば、どちらが大事かと言えば、現職ではなく次の会社なので、入社の時にどのぐらいの期間で入社できるかどうかを聞かれたら、これから入る会社優先で現実的に入社日を決めるのが良いでしょう。
さて無事に外資系企業に入社しました。最初の90日間、つまりは3ヶ月が非常に重要です。外資は即戦力を見込んで採用しているので、一人ひとりの社員に早く職場になじみ会社への貢献を進めてほしいと考えます。
新しい会社に馴染む上でどんなことが変化すると考えたら良いのでしょう。
1. 意思決定の仕方
日本企業では、とりあえず担当している責任者はいますが、合議制で根回しをしながらたくさんの人の承認をもらいながら、仕事を進めるのが一般的です。
外資系企業の場合は担当者イコール責任者なので、日々の判断はその個人が行うことになります。それなりに裁量権があり、裏返しとして成功すればその個人の手柄になり、失敗したらその個人の評価が低くなる可能性があります。もちろん1回失敗した位でクビになったりはしませんので安心してください。つまり自分で考えて判断できない人、決断力がない人は仕事ができないとみなされる可能性が高いので要注意です。
会議の根回しは、参加者の中でNo.1, No.2 の実力者には事前に話をして、応援してもらえるようにしておきますが、それ以外のメンバーと一人一人根回しをすることはしません。あくまでも会議で議論し、その場で決定されると言う意思決定のスタイルです。
2. 仕事を進めるスピード
これは業界にもより一概には言えませんが、比較すると同じ業界・業態で比較すると、外資の方がスピードは速いです。人間関係より結果重視で生産性が重んじられること、根回しのプロセスがほとんどないことが主な理由です。同じ業界で日本企業から外資系企業に移った場合でも、最初は戸惑いを感じるかもしれません。周囲がどのぐらいのスピードで、メールやメッセージを返しているかなどを注意深く観察し、自分自身に求められているスピードを判断することをお勧めします。
3. 責任範囲
外資系企業には、JD (Job Description)なるものが一つ一つの業務に存在します。ある個人の仕事の内容と、責任範囲が明文化されています。外資での仕事は、それぞれの個人がこの責任範囲をきちんとカバーし、集合体としてのチームや会社の成果が上がるようにできています。
日本企業のように、ボールが落ちないように全員参加の草野球方式ではありません。「これは自分の仕事ではありません」と社員が言う事は考えられるのです。
個人の責任範囲を超えた仕事を、何の話し合いもなく部下に振る事は、外資での正しいマネジメントではありません。また その人にとって自分の仕事だと認識している領域に、安易に踏み込む事もお勧めできません。こうしてみると外資系の仕事の仕方は、 個人主義の上に成り立っているといえます。
4. 自立型人材
即戦力を見込まれたといっても、会社が変わることによってカルチャーだけではなく、日々の些細なこと、例えば文房具をどのように買うかなども変わるので、Day1からから会社に貢献をしてくれとは企業も思ってはいません。
90-day Orientation と言いますが、最初の90日は猶予期間です。会社の企業に慣れること、社内の人脈社内のステークホルダーが誰なのかを見極めること、この先1年間自分はどのような業績目標を持って仕事すべきなのかを、この90日で見極めるのです。
この90日は、中途採用者がどんな質問をしても、周囲が温かく答えてくれる期間なので、社内の略語など積極的に自分から質問をして、必要な情報を入手できる自立人材であることを見せるチャンスでもあります。
まとめ
本日は、日本企業から外資系金融に転職するときの現職の引継ぎに関してと、新しい職場で最初の90日でやるべきことについてお話ししました。何回転職しても、最初は慣れなくて大変ですが、やりがいのある仕事が待っています。ワクワクしながら効率的に最初の90日を過ごしましょう。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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