元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日のテーマは日本人がグローバルに活躍するにはどうしたら良いかです。
日本人が英語で外国人や海外と仕事をするようになった時、悩む事が3つあります。
1. 会議で話に割りこみ自分の意見を述べる
アサーティブであること、自分の意見を主張できることが大事だとわかっていても、人前で自分の意見を伝えるように教育されていない日本人が、これを英語でやるのはなかなか骨が折れます。
多様性の高い職場で仕事をする場合、会議に黙って座っていたのでは参加していないと同じで、最悪、次の会議から呼ばれないこともあります。 初めてNYに出張した時、早口の英語と矢継ぎ早に意見が出る会議の場に圧倒されて、私は一言も話すことができませんでした。会議の終盤、私の左にいた発言者が、私の右にいた同僚に話しかける時、間にいる私のことを完全に無視していてまるで透明人間のように扱われたショックを、今でも鮮明に覚えています。英語での会議で発言する事がいかに重要かを物語っています。
そうは言っても、英語力に自信もなくなかなか口を挟めないときにどうしたら良いか。簡単なのは、誰かが良い意見を言ったときに “I agree.” と相手の発言にタイミングよく同意することです。英単語たった2つですが、発言したことになります。反対意見を述べたわけではないので、自分はどう考えることかをペラペラ話す必要もありません。まずは会議で自分の意見を発する便利なフレーズと捉え、やってみてください。だんだん慣れて、自分の意見も言えるようになります。
2. 英語でのプレゼン
外資系で働くもしくは海外で働くようになると、英語でのプレゼンをする機会が増えます。たった15分や20分で、ある人材の何がわかると言う日本人の感覚は通用せず、そのプレゼンで仕事ができるかどうかの評価がくだることも多々あります。
つまりは人前で英語を話せるだけではなく、素晴らしくプレゼンできる必要もあると言うことで、日本人にはなかなか高いハードルです。これをどう克服するか、方法は2つあります。
a) 自分の専門性を磨き自信をつける。
アクセントが多少あることや英語力が少し弱いことを、周りが気にしないレベルの人材になるということです。GE時代の大先輩が英語でプレゼンする機会に同席したことがあります。「英語」だけを取り上げると、確かに日本人アクセントがあり 英語のネイティブスピーカーと比べると、見劣りするかもしれません。ただ、彼の圧倒的な知識とプレゼン能力がすべてに勝り、彼の英語力が気になる聴衆は1人もいなかったと思います。英語はあくまでコミュニケーション・ツールなので、肝心なのは実力、つまりは専門性です。
b) 発音矯正をする。
日本人が英語力に自信がない時、自分の発音が気になることが考えられます。かく言う私も、英語を真剣に学び始めたのが21歳と発音の観点からすると遅いので、コンプレックスを今でも持っています。私を含め完璧主義が多い日本人、どうせならその発音コンプレックスを取り除こうというのが2つ目の案です。ELSA SPEAK と言うアプリをご存じですか?自分の英語の発音を、AIが評価して採点してくれる便利なアプリです。発音の改善に困っている方は試してみてください。
3. グローバル化の3段階
グローバルに仕事ができる日本人を目指す時に、現時点の自分の状況を理解しておくことは重要です。皆さんはどの段階におられますか?
a) 日本流を唯一無二だと信じている。
海外や外国人との接点もなく育つと、日本しか知らないため日本流が全てと誤解しやすいです。このコラムを読んでくださっている皆さんには当てはまらないと願いたいです。
b) 多様性に対して興味が高くなり、ステレオタイプ化しがち。
私もこの段階にいたことがあります。ホフステード異文化6次元モデルの認定講師になり、国ごとの指標スコアで物事を判断しがちでした。ホフステードは素晴らしい異文化モデルですが、 肝心なことが1つあります。国民性の傾向がすべての人に当てはまるわけではなく、最後は「個人」であることです。この段階では、多様性に興味があるゆえに悪気がなく「Where are you from?」と 相手の出身地が気になったり、日本人同士に多い相手の年齢を知りたがたっりするようなことが起こります。
c) 相手の国籍が気にならなくなったら、真のグローバル人材に到達したといえます。
例えば、国籍はオランダ人だけれどパキスタン系で、長い間サウジアラビアに住んだことがあり現在ドイツに住んでいる人の国籍だけを取り上げて、国民性を当てはめる事は無理です。日本でも47人に1人はハーフの方と言う時代を迎え、国籍・国境を越えて、1人の人間として相手と対峙できたらと思います。
一緒にグローバル人材を目指しましょう。
おまけ
10月3日からClubhouse行ってきた朝活を、Twitterの音声SNSであるSPACEに移しました。平日の8:15 a.m.から15分間、グローバルにご活躍のゲストと対談形式で進めています。もちろん無料です。このコラムも先週の朝活からヒントを得ています。外資・海外で働く・英語に興味がある方は、お気軽にご視聴ください。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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