元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。職場で感情的にならないことは鉄則ですが、人間誰しも他人の行為に振り回されて、感情が乱れることは多いです。スキル・知識の研鑽は大事ですが、感情をコントロールできること、ビジネス・プライベートどちらにおいても成功する鍵となります。
“Mood Elevator”は、アメリカのラリー・セン著のお勧め本です。人の感情をエレベーターにたとえ、感謝に満ちているから絶望しているまでの20段階の何階に今いるのかを意識して、なるべく上の階にいられるようにしようという内容です。
鍵は好奇心。誰かに嫌なことをされた時「怒る」代わりに、「どうしてこの人はこういうことを言うのだろう?」と相手や状況に好奇心を向けられれば、しめたもの。怒りやストレスに支配されて自分の時間を台無しにしないで過ごすことが可能になります。著名なコンサルタントであるラリーは、60歳くらいの時に人生の危機が3つ重なり、精神的にかなり危ない状態でしたが、自分が提唱してきたMood Elevator理論を適用して切り抜けることができました。その時のリアル・ストーリーは迫力と説得力があります。
本著では、より上の階にいる時間を長くするための工夫がいくつか具体的に取り上げられています。ここで短く紹介しますので、どれかひとつ出来ることから実践することをお勧めします。
1. エクササイズ
ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動に加えて、無酸素運動の筋トレを加えることで、エレベーターの良い上の階に長く留まれるようになります。エクササイズは血流を良くし持久力を高めるため、簡単には疲れにくくなります。体と心は一体なので、健康な体には健康な心が宿りやすいことになります。またエクササイズによって、エンドルフィン「ポジティブで活気あふれる感情を呼び起こす化学物質」が生成されることも、わかっています。
2. 食べ物
You are what you eat.とはよく言われることで、食べ物が体と心に与える影響は大きいです。
肥満大国アメリカに住む著者は、以下のものを進んで避けるようにしています。(理由については本をお読みください)
-
乳製品、加工肉(ソーセージ、ベーコンなど)、赤身肉(牛・豚・羊・山羊・鹿など)に含まれる飽和脂肪酸
-
焼き菓子・ケーキ・炭酸飲料
3. 呼吸法
10年前ヨガ人で呼吸法を学んだ私には納得できるパートでした。自律心が必要ですが、練習で呼吸に意識を向けられると、精神統一が早いことは実感でわかります。よく慌てている人に「深呼吸して」と言いますが、ちゃんと理由はあるのです。
ヨガの本格的な呼吸法となると躊躇する人もいるでしょう。著者はもう少し取り入れやすく、「動きを止めて、深呼吸しながら、今に集中する」と自分に言い聞かせることで十分と説いています。慌ただしい日常の中でストレスに食べられてしまう前に、意識して呼吸する瞬間を持つ習慣を手に入れたいものです。
まとめ
自分が下層階にいるとわかっている時は注意が必要です。下層階にいる時の考え方は信頼性に欠くので、浮かんだ考えを信用せず、すぐに行動しないよう心がけたいです。昔、本社とやり取りをしていた時、「全く日本のことを理解していない」と憤慨することがよくありました。もらったメールにすぐ返信を書くと感情的になりそうでした。このような時、私は返信をその日にはしないか、宛名がブランクの下書きを作り想いのたけを書きなぐって保存していました。翌朝メールを開くと、そのまま送れるような内容ではないと冷静に判断できるので、破棄して会社員としてふさわしいメールを書いて送信しました。
現代はレスが早いことを良しとする傾向があって、どんな時も早く返そうとしがちですが、自分の心の状態が良くない時、つまりストレスや怒りなどの負の感情を抱えて下層階にいる時は、後悔するような行動を取らないようにテンポをずらすことが有効的です。
本人は感情的でなくても、仕事仲間が感情的で巻き込まれることはあるので、この本を全ての方にお薦めします。ネガティブ思考は良くないと決めつけても、感情が揺れ動くのが人間です。エレベーターの何階にいるのだろうと客観的に見る視座と、より上の階にいるために自分ができる工夫を学び、より豊な日々を送りましょう。
日本語版 (まだKindle版は存在しません)
英語版 (Kindle版あります)
最後に、グローバル人材塾の朝活でMood Elevatorをご紹介くださった、積水フーラー株式会社の代表取締役 丸山タケシさんに感謝を捧げます。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンでは、外資系・日系グローバル企業の案件を中心に、国内外のさまざまな優良企業の採用活動を支援しています。そのため、それぞれの方が求める最適なキャリアの選択肢をご紹介可能です。
「グローバルに働いてみたい」「より自分が輝ける場所で働きたい」「自分の選択肢を広げたい」といった方は、一度ご相談ください。業界経験豊富なコンサルタントが、みなさまのキャリアを全力でサポートいたします。