元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は転職初心者に向けて、「初めて外資系企業へ転職を考える時、自分の適性を確認する」というテーマについて解説していきます。
外資系に転職したい動機は、「もっと英語を使いたい」「もっと早く昇進したい」など人それぞれでしょう。動機に関係なく転職活動を始める前に確認したいのは、そもそも本当に外資系に向いているかです。
25年間外資系企業の人事部に勤務して社員の相談に乗り、独立して7年間個人の方のキャリア相談をしながら思う事は、英語力に問題なくても、外資をお勧めしない人が存在するということです。それでは、どういう人材が外資系に向いているのか改めて考えましょう。
1. 成果主義の企業を求めている
年齢、性別、国籍などに関係なく、実績を出している人の昇給が大きく昇進が早いことを望む場合、環境として外資の方が向いていることになります。
どのぐらいのスピードで昇進できるかは、業界や企業によりますが、少なくとも「このポジションに最低何年いなくては昇進できない」「できれば男性を昇進させたい」という縛りはありません。私の人事経験で最速は、マネージャーからディレクターまで3年で昇進できました。
2. 謙虚すぎず、自分をアピールすることができる
非常に重要なポイントです。「大した実績ではないのですが」と表現される方が、日本人には少なからずいます。相手がアメリカ人なら「どうでも良い業績に興味はない」になってしまいます。彼らは相手が謙遜しているかもしれないとは一ミリも思わず、額面通りに取りますので自分が損をします。外資はアサーティブである人材、自分をほどよくアピールし売り込める人材の方が得なことが多いです。
程度は文化圏によって異なります。自己主張が必要な度合いは、アメリカ > ヨーロッパ > アジアの順番で、アジアの中でも13億の人口で競争している中国・インドは例外です。
外資との面接では、自己肯定感を高く持ち謙遜しないことが大切です。とても謙虚な性格で、アピールを高くする方向に持っていくのが心理的に辛いようだったら、外資系ではかなり損をするのでやめておいたほうがいいです。
3. 自由度を求める
組織人の場合、どうしてもある程度は時間に縛られることになりますが、テレワークできるかどうかは「自由度」に大きく影響します。自宅でなくても国内のどこからでも、もしくは海外からでも仕事が出来る外資が増えています。
例えば、大手外資に勤めている知人の例です。彼女の居住地は東京ですが、去年から3ヶ月に1回くらい海外旅行をしていました。そんなに休暇が残っているのか不思議に思って聞いたところ、リモートワークをどこからしても良いので海外好きな彼女は、海外で仕事をしていたのです。
よりワーク・ライフ・バランスの高い自由な働き方を求めるのであれば、外資系がお勧めです。
4. どちらかと言うと個人主義である
アメリカ企業が「チームワーク」と盛んに叫ぶのは、社員の大半が実はチームプレイヤーではないからだと言われています。ホフステード異文化論でも、大まかに分けると欧米は個人主義、アジアは集団主義になります。「個人」が大事な人、仕事とプライベートを分けたい人は外資系の方が居心地いいはずです。
出社している場合、同じ部署の同じメンバーでいつもランチを囲まないといけない雰囲気があったり、飲み会や多い企業文化を避けたい人は、オンとオフの切り替えがはっきりしている外資系がお勧めです。
5. スピード
日本企業と外資系の働き方の違いは企業の持つスピードの差に現れます。日本企業はよく考えて慎重に計画を立て、関係者の合意を取るプロセスを踏むので意思決定に時間がかかりますが、結論が出たら全速力でプロジェクトが進みます。外資は「とりあえずやってみる」を優先させるので、走りながら考えることができる人材を好みます。やってみて不具合が出たら走りながら修正すれば良いと考えます。どちらが良い悪いはありませんが、個人の好みに合うかどうかは存在するので、自分にはどちらが合うのかを確認したいです。
まとめ
外資系の日本法人に勤めるデメリットが1つだけあるので、お伝えします。それは最終決定権を本社が持っているので、例えば商品開発などゼロからイチを作り上げる仕事に就いている場合、日本のリクエストが受け入れられるかどうかわからないことです。日本市場に合った商品を投入したくても、本社から見て世界市場で売上が見込めない商品を開発するはずはないからです。
職種によっては、日本企業で働いた方がスケールの大きい仕事がグローバルにできる場合もあるので、自分の職種が該当するかどうか考えてみてください。
本日は初めて外資に転職する前に、どんなポイントを確認して適性を判断するかを記事にしました。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンでは、外資系・日系グローバル企業の案件を中心に、国内外のさまざまな優良企業の採用活動を支援しています。そのため、それぞれの方が求める最適なキャリアの選択肢をご紹介可能です。
「グローバルに働いてみたい」「より自分が輝ける場所で働きたい」「自分の選択肢を広げたい」といった方は、一度ご相談ください。業界経験豊富なコンサルタントが、みなさまのキャリアを全力でサポートいたします。