元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日の記事は、転職経験がある人向けに「次の転職前に考えておきたい3つのポイント」をテーマに書きます。
変化の多い時代に、長く転職市場に求められる人材であり続ける事は重要です。次に転職をする時に、どんな視点を持つと道が拓けるのか3つのポイントについて説明します。
1. 時代の変化にアンテナを高く掲げる
2022年11月にリリースされたChatGPTのユーザーが、わずか3ヶ月で1億人を突破しました。会話形式で検索を簡単に続けられる非常に便利なツールの登場、Googleキラーとも呼ばれています。
AIの進化で自分の仕事を奪われはしなくても、一部をAIに譲ることはこの先あるでしょう。わかりやすい例で説明すると、経理の人材であれば、数字の計算そのものはAIに敵わないので計算作業は任せて、結果であるデータをもとに「判断」ができる側に回れると人材としての価値が上ります。
翻訳という仕事は、もともとDeepLの登場で将来性を疑う声もありました。ChatGPTは翻訳ソフトを凌ぐ存在になるかもしれないので、風向きが変わった時にどう対処するか、機械に負けない翻訳とは何かを考えておいた方が無難です。
今の自分に何をプラスすれば、作業をする側から「判断する」側に回れるかを頻繁に問うこと、時代の変化に対してアンテナを高くする、もしくはアンテナが高い人のそばにいることをお勧めします。
2. 軸をずらす
従来は、私のように人事の人材であれば延長線上の、人事のポジションに転職するのがごく普通でした。現在は、軸をずらすことによって、自分の新しい価値を見い出したり高めることが可能です。実例を挙げます。
友人のKさんは、損保業界で長く働いていました。日本企業から外資への転職も経験しています。このたび、外資の宇宙ビジネスに転職しました。最初に聞いた時は、全く新しい領域にチャレンジするのだと誤解しましたが、直接話を聞いて違うとわかりました。宇宙ビジネスは、世界の自然災害の衛星写真を保険会社に提供しています。保険会社の知識があり、保険業界に人脈がありお客様もいるKさんは、保険業界での経験を買われて転職したのです。全く新しい領域に踏み込んだのではなく、軸をずらしたのです。
もう1人の友人Oさんは、外資系投資銀行でのオペレーション業務のベテランでした。海外に駐在している時にリーマンショックが起こり、現地で解雇になりました。二度とこのような目にあわないために、自分の価値を高めるにはどうしたら良いかを真剣に考えたそうです。
その結果、彼女は外資のAML (Anti Money Laundering、資金洗浄を防ぐ部門)に転職しました。AMLはネットの進化とともに需要が高い割に人手不足で、経験はなかったけれど、必要な資質を全て兼ね備えていた彼女は採用されたのです。候補者が沢山いるレッド・オーシャンの分野に挑んだら、「経験がありませんね」で終わったでしょう。彼女もまた全く新しい領域に踏み込んだとは言えず、軸をずらしたのです。
皆さんの現在の仕事の軸をずらすと、どんな可能性が開けるでしょうか。一度ゆっくり考えてみましょう。
3. 自分の強みを活かす
新鮮味がないようで、意外にできていないのがこの3番めのポイントです。それぞれに理想像があり、「こんな仕事がしたい」という願いがあるでしょう。その仕事、皆さんが生まれながらに持っている強みを活かせる仕事ですか?
私の友人で成功している人たちは、実はバランスが取れていて何でもできる人材ではありません。その代わり、就いているポジションに必要な資質を、高いレベルで持っています。例えばマーケティングの責任者であれば、創造的・革新的ですし、営業の責任者であれば、結果重視で目的意識が高く負けず嫌いです。
強みに良い悪いはありません。日本人はとかく、弱みを改善してなんとか向上させようとしがちですが、9社の外資人事で沢山の社員を見てきた経験から、残念ながら「無駄な努力」と明言せざるを得ません。もともとその「強み」を持っている人には敵わないし、改善しようと努力しても微々たる差しか生まないのが現実です。
自分の強みを強く意識することは成功のカギです。自分の強みがよくわからない方は、精度の高い適性検査を受けるのも一つの方法ですし、自分で棚卸しをして家族や親友にリストを見てもらうことも有効です。
まとめ
転職経験のある人が次に転職を考えるときのヒントを、本日の記事にしました。
皆さんの転職活動を応援しています!
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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