元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は転職初心者に向けて「専門性×語学力のトータルスコアを見極める」をテーマに解説します。
転職するにあたり客観的に見極めたいのは、自分自身の「専門性×語学力」はどのくらいなのかです。成果主義の外資系企業が人材を採用するにあたり、突き詰めるとこの掛け算のトータルスコアが採用されるかどうかを決めるからです。
1. 専門性
キャリア相談をしていて、次の転職の打開策を考えるのが最も難しいのは、転職の回数が多く専門性が低い方です。例えば40歳近くですでに8回転職をしており、職種が全て違うとします。大学を卒業してからおよそ18年なので8回の転職回数で割り算をすると平均在籍年数2.25年。1つの職種に3年勤務していなかったことになります。残念ながらどの職種の専門性も高いとは言えません。
一方で、同じフィールドで18年間キャリアを築いた候補者が他にいたら、即戦力重視の外資が採用するのは専門性が高い人材に間違いありません。環境の変化が多い時代を生きているので、途中でキャリアの方向性が変わる事はありますが、自分の強みを活かして専門性を磨く事が外資系への転職に成功する秘訣です。
日系企業の一部に今でも存在する会社主導の社内異動は、人材をジェネラリストに育て、どの分野のスペシャリストにもなれない可能性があるので要注意です。専門性を高めたい人材、いつか外資系に転職することを考えている人は早めに動くことを考えた方がいいです。
これから専門性を築くフェーズにおられる方は、社会のニーズにも敏感になることをお勧めします。ChatGTPの登場などAIの進化目覚ましい中、例えば今から翻訳の分野に参入しようと考えるのは、時代を読むアンテナが低いと言わざるを得ません。どのような仕事であれば長期に渡って人材としての希少価値が高いかを、常に意識して専門性を磨く努力を続けましょう。
2. 語学力
本社がどの国にあるかによって、必要な語学力は必ずしも英語とは限りませんが、グローバルなビジネス公用語は英語です。外資系に転職するにあたって、どの部署・役職でも、英語がペラペラである必要はないので安心してください。
▶︎ TOEIC600点くらいでも外資に転職できる職種は、
営業 (お客様が日本人であることが多いから)
エンジニア (コードを見れば世界共通でわかるから)
但し、海外と関わる頻度が高いエンジニア、役職が上がり上司が外国人の可能性がある営業管理職にはもっと高い英語力が必要です。
▶︎ TOEIC800点くらいが必要になる職種は、
マーケティング (ウェブデザインなどビジュアルに関して細かい説明を本社相手にするには、それなりの語学力が必要だから)
人事 (パワハラやセクハラなどのケースを説明するには、それなりの語学力が必要だから)
以上に当てはまらない職種でエントリーレベルであれば、TOEIC700点あれば外資に転職できます。
日本の外資転職市場で、英語力が上がると人材の価値が急激に上がるのはエンジニアです。米系IT企業で、ある特殊なエリアのエンジニアを探したことがあります。採用の優先順位は、1. 技術力 2. 本社直轄だったので英語力 3. 日本語力です。日本人には該当者がおらず、最終的に日本語が話せないモロッコ人を採用しました。最優先である技術力(専門性) と英語力(語学力)を持っていたからです。
まとめ
転職活動をスタートさせる前に、まずご自分の専門性と語学力は客観的に見て、どのぐらいのレベルかを見極めたいです。現在のトータルスコアは少し低いと思ったら、転職先に一流企業を選ばず、ハードルを落とした方がうまくいきます。一流企業には優秀な人材が集まります。書類落ちもしくは面接落ちすることが続き、自己肯定感が低くなると転職活動に一番必要なメンタルな強さ落ちてしまいます。
急がば回れの諺通り、まずは今の実力に見合った企業に転職し、そこで経験値をさらに積んで必要なスキルを身につけ専門性を高めて、次回に転職する時に大きくジャンプすることを狙ってください。応援しています。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
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