元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。今回は、転職経験がある人むけに「転職回数によって異なる注意点」をテーマに書きます。
すでに数回転職を経験している人材は、キャリアヒストリーが2つのパターンに分かれることが多いです。
まずは一社に6年以上、長めに在籍した企業がある場合。二つめは3年位で転職を繰り返してきたケースです。
次の転職を考える前に、自分がどちらのパターンに属しているのかを改めて振り返って下さい。
1. 長く在籍した会社が1社ある場合
採用担当から見て、安心感を持てる候補者です。長く働けば良いわけではありませんが同じ職場で色々なことが起きる中で、何とかそれを乗り越え、1つの会社で働き続けられたという事実は、その候補者の「安定性」を表しています。採用担当が、履歴書を一瞥しただけで落とす事は、まずないと思って大丈夫です。
長く働き続けた職場を離れた後のキャリアはどうでしょうか?
昔の上司に誘われて転職したところ経営状態が火の車だったり、知らないで入社した会社が5ヶ月後には日本法人の閉鎖を決めたりなど、不運が続きで在籍年数1年未満くらいの会社が、3社続いていることはあり得ます。
このような履歴書を、採用担当者が見たとき、「ジョブホッパーでは無いはずなのに、どうしたのだろう?」と言う疑問が湧きます。例えば、日本法人の閉鎖など、自分の落ち度ではないとはっきり言える退職理由を、そもそも英文履歴書の中に1行を書いてしまうなどのリスクヘッジをお勧めします。退職理由を人間関係にしないことは大事なポイントで、自分ではコントロール出来なかった理由を挙げた方が説得力を持ちます。
面接の時には、短いながらも在籍期間の中で何を成し遂げたのか「成果」を問われますので、どのように答えるのかを考えておいてください。
2. 3年位で転職を繰り返している場合
確かに日本における労働市場の流動性は高くなりました。そうは言っても、日本にある外資ということは、採用面接官が日本人であることが多いです。転職が多いと、「飽きっぽいのではないか」と思われるのは、仕方ないと言うことです。
採用担当の立場に立てば、自身の評価は各ポジションを埋めるまでの時間や一人当たりの採用コストなどで決まります。「この候補者、入社しても2年半位で辞めるんだろうな」と最初からわかる人を敢えて採用する事はしないです。例外は、特殊なエリアのエンジニアだけでしょう。彼らは市場での価値が高いので、渡り歩くことが今のところは可能です。
採用担当者の書類選考にそもそも通らないかもしれない不利な状況で、候補者にできる事は何でしょうか?
a) 応募先のスペックを少し下げる
自分のこれまでのキャリアヒストリーと応募先企業のレベルが合わないと、書類選考で落ちることが多発し、自己肯定感が下がるばかりになります。「落ちる」という経験が積み重なることは、心のタフさが必要になる転職活動においてプラスに転じる要素ではありません。明らかにデメリットです。
自分としては納得が行かない少し格落ちに感じる転職先だとしても、入社できないことには次に繋がらないので、現在の市場価値を冷静に見極めることは大事です。しっかり実績を積み、将来レベルアップの転職にチャレンジすれば良いのです。
b) 人脈を見直す
何回か転職した時にご縁があった昔の人脈をリストアップし、声がけさせてもらうことは有効です。一緒に仕事をしたことがある人は、スキル・経験値・お人柄をよくわかっています。企業が社員の紹介による採用(レファーラル)を好むのは、確実性が高いからです。将来のためにも、現職場での人間関係は大切なのです。
まとめ
いずれにしても、将来的に独立して起業するつもりがない場合は、転職したくなったら「本当にこの転職は必要か」と自分に問いかけ、転職回数ばかりが増えないようにキャリアを形成していきましょう。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンでは、外資系・日系グローバル企業の案件を中心に、国内外のさまざまな優良企業の採用活動を支援しています。そのため、それぞれの方が求める最適なキャリアの選択肢をご紹介可能です。
「グローバルに働いてみたい」「より自分が輝ける場所で働きたい」「自分の選択肢を広げたい」といった方は、一度ご相談ください。業界経験豊富なコンサルタントが、みなさまのキャリアを全力でサポートいたします。