元・外資系人事部長、現・グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。今回のコラムは転職書初心者向けに、転職理由について書きます。
30代初めくらいまで転職は比較的簡単です。企業が将来のポテンシャルを大事にするので、これまでの平均在籍年数が短くてもキャリアチェンジを伴う転職ができることが多いです。ただ、一生これが続くかというとそうではないのが外資の採用事情です。
外資は即戦力重視で採用します。その過程で、在籍年数が短く転職回数が多い人は次第に書類選考を通らなくなるの現実です。採用にはコストがかかるので、履歴書から「たぶん2年半で転職するんだろうな」とわかる人材を、一部の高度な技術職を除いて積極的に採用したい企業はありません。
転職する前には「なぜ転職したいのか?」を、よく考えたいです。大事なことは「逃げ」の転職をしないことです。今いる環境に少し不満があるからと転職してみても、次の職場には違う種類のストレスが存在します。変化していく組織の中で、不満が無い状況はほんの一瞬しかないのです。
企業人事時代に1万人を面接する中、「転職の動機」は必ず聞いていました。人事的にNGは人間関係です。極端なハラスメントを除いて人間関係に不具合が生じた時、どちらか一方だけが100%悪いことは、ほとんど存在しないとわかっています。「この方の相手に質問したら、先方はこの人間関係をどう説明するだろう」と、中立を保ち冷静に判断しようというマインドにすぐ切り替わります。ハラスメントが理由で転職したい人は、状況を「わかりやすく説得力を持って」伝えられるようにしておかないと誤解されかねません。
良く聞く転職理由について、どのようなアプローチで面接官に話すのがお勧めかを挙げます。
1. 年収アップ
わかりやすい理由です。人事・経理・法務など業界をあまり選ばない「つぶしのきく」職種のステップ・アップ転職や、同じ職種で同じ業界に移る場合は、これまでの経験を加味して年収アップになるのが自然なので、ここはスタートの給与をしっかり交渉したいところです。その際、現在の自分の市場価値をデータを集めて理解しておきましょう。
2. Work-Life-Balance を取り戻したい
このまま行くと過労死になるのではと感じるほど、追い詰められている方もいます。大きくは2パターンあって、業界的に長時間労働が当たり前な場合と、上司が長時間労働を良しと時代錯誤している場合に分かれます。残業時間など数値化して話せば、面接官に理解してもらえます。毎月80時間の残業を強いられている人に対して「あなたの努力が足りません」と言う企業はないです。
長時間労働になりやすい業界で働いている場合は、制作する業者側ではなく業者さんの力を借りながら仕事を進める企業サイドに転職するという手があります。PR会社やWEB制作会社などはこの展開的な例だと思います。
3. 経験を積みたい
経験がまだ足りないと感じていて、今の職場では前進できないと感じる時、他社で少し自分にとってストレッチな仕事をしてみようという転職が成立します。
この場合は、経験を得ることが優先なのであまり給与に固執しないで、「実力に必ずお金は付いてくる」と信じて、目の前の仕事に全力を尽くしとにかく経験を積むことを大切にしてください。経験を積み実力が伴った段階で、必ず収入は追いついてきます。
4. キャリア・チェンジしたい
企業は、あなたのポテンシャルに賭けてみようとしてくれています。花開くかどうか保障がない人材を育てようとしてくれているのです。運の強さに感謝して、なるべく早くキャッチアップできるように、仕事に邁進してください。年収は大幅ダウンになる可能性がありますが、本来の目的を思い出し最低3年は経験を積んでください。最初の1年で新しい仕事を覚え、2年めで創意工夫をして自分なりのやり方で仕事をし、3年めは完全に独り立ちするイメージです。3年の経験があれば、英文履歴書に「経験がある」と自信を持って書けます。
まとめ
面接では「採用する側の視点」に配慮して、転職理由をわかりやすく伝えられると合格率が上がります。次の転職前に、転職理由の棚卸しをしてみてください。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
グローバル企業で働くことは、グローバルに働きたい人や語学力を生かして働きたい人だけでなく、自分の可能性やワークライフバランスを求める多くの方にとって、多くのメリットがあります。
RGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンでは、外資系・日系グローバル企業の案件を中心に、国内外のさまざまな優良企業の採用活動を支援しています。そのため、それぞれの方が求める最適なキャリアの選択肢をご紹介可能です。
「グローバルに働いてみたい」「より自分が輝ける場所で働きたい」「自分の選択肢を広げたい」といった方は、一度ご相談ください。業界経験豊富なコンサルタントが、みなさまのキャリアを全力でサポートいたします。