社会人として一定のマナーを身につけている第二新卒は、新卒よりも教育コストがかからず、かつ新卒に近い柔軟性があることから、さまざまな業界が注目しています。もちろん、外資系企業も例外ではありません。
スキルや経験のなさをポテンシャルでカバーできる第二新卒の時期は、憧れの外資系企業に転職する大きなチャンスだといえるでしょう。
本記事では、外資系企業が第二新卒を求めている理由や、第二新卒で外資系企業に転職することのメリット・注意点、面接で問われるポイントなどを解説します。
第二新卒での転職の武器はビジネスマナーと柔軟性
第二新卒という言葉には、実は明確な定義はありません。一般的には、新卒入社した会社で2~3年程度の就業経験を積んでから転職活動を行うビジネスパーソンを指すことが多いようです。大学を卒業後、就職しないまま2~3年後に就職活動を行う人は「既卒」と呼ばれ、第二新卒とは区別されます。
第二新卒の年齢はだいたい25~26歳くらいが想定されますが、最終学歴が大学院の場合や、浪人・留年・留学などで若干のずれが生まれることもあり、年齢でも厳密には区別できません。
第二新卒の特徴は、新卒とは異なり社会人経験があり、最低限のビジネスマナーと業界知識を習得していることです。同時に、新卒と比較しても見劣りしないポテンシャルがあること、前職の考え方や価値観が染みついておらず柔軟性があることも強みとして評価されています。
また、大卒の新入社員の約30%が3年以内に離職していることから、転職市場でも第二新卒の市場は活発で、採用難が続く企業が第二新卒に注目しているという事情があります。この傾向は、外資系企業も例外ではありません。
外資系企業が第二新卒を採用する理由
第二新卒にとって、外資系企業への転職は決して不可能ではありません。主に下記3点のような理由から、外資系企業は第二新卒も積極的に採用しています。
社会人経験を積んでいるので即戦力も期待できる
企業にとって第二新卒は、フレッシュさがあり、かつ新卒採用では期待できない即戦力人材と出会える可能性もある点で、魅力的です。
新卒で入社した企業で基本的なビジネスマナーの研修は受けているはずなので、そういった研修は省略し、スキルに応じていきなり現場に出てもらうこともできるでしょう。同じ業界からの転職の場合、一定の業界知識も身につけていると考えられます。
しかも、前職での就業期間が長すぎないため、前職のやり方や社風に染まりすぎていないことも採用側にとってはメリットです。新卒よりも教育コストが抑えられ、一般的な中途採用に比べて職場や業務にいち早くなじめる第二新卒は、企業にとって有用な存在だといえます。
ひとつの企業で長く勤務することを美徳とする日系企業とはことなり、外資系企業ではキャリアアップやスキルアップを目的とした短期間での転職が珍しくないことも、第二新卒の採用を後押ししています。「勤めた期間」よりも「どんなキャリアプランを持って、なぜ転職するのか」が重視されるので、これまでの転職理由と、志望先で実現したいことを明確に言葉にできるかどうかが勝負の分かれ目です。
ポテンシャルに期待している
企業が若手を採用する理由のひとつは、業界の常識に染まっていない分、一人ひとりがまったく新しい発想で潜在能力を発揮する可能性を秘めていることです。多くの経験を積んだベテランは、経験の積み重ねにより、できることは増えているものの、それまでの成功体験に縛られて柔軟性が薄れてしまっている面も否定できません。
一方、第二新卒は、本人ですら気づいていない強みや得意分野を秘めている場合が多く、その潜在的な能力が事業に良いインパクトを与えてくれることを期待できます。
日本での知名度が低い外資系企業が、新卒で獲得できなかった人材が欲しい
外資系企業の中でも、第二新卒に特に魅力を感じているのは、日本での知名度が低い企業です。一般的に、新卒で外資系企業を目指す人は知名度の高い企業に集まる傾向があり、魅力的な事業を行っていても、新卒採用では十分な人材を確保できないこともあります。
そのため、「若手を補強して新事業の原動力になってほしい」「比較的若い人材を採用して人材の循環を図り、高齢化を解消したい」といった組織の課題解決を第二新卒に託すべく、優先的に第二新卒を採用している企業も多いのです。
特に、人員不足が顕著で思うように事業を展開できていない外資系企業であれば、経験や知見が第二新卒として十分で、人物像も企業が求めるものと一致しているような人は、スムーズに採用される可能性が高いでしょう。
第二新卒で外資系企業へ転職するメリット
第二新卒の転職希望者にとっても、外資系企業に転職することにはメリットがあります。
下記のような部分を魅力的に感じるのであれば、積極的に外資系企業への転職を狙ってみるのもおすすめです。
語学力を活かした仕事ができる
ほぼすべての外資系企業で、一定の英語力は必要です。つまり、一定の英語力を身につけていてそれを活かした仕事がしたい人にとっては、外資系企業は最適といえます。
いくら第二新卒のポテンシャルに期待しているといっても、求められる語学力の最低ラインは存在します。海外にある本社や支社などと、業務報告や業務上の指示、伝達事項のやりとりをメールで行う際は英語ベースになっていることが多く、日常業務で英語が必須となるからです。
公用語が英語となっている企業もあれば、日本の事務所内でのやりとりは日本語が基本で海外の本社・支社とのやりとりでだけ英語を使用するといったような企業もあり、求められるレベル感はさまざまですが、語学力があれば仕事の幅が広がることは間違いないでしょう。
新卒で就職した会社で語学力が活かしきれなかった人や、海外とつながる仕事がしたい人は、第二新卒で外資系企業にチャレンジして夢を叶えることができるかもしれません。
「英語力不問」とする求人も見かけますが、その分、専門的なスキルなどが条件となっていることも多く、経験が浅い第二新卒では転職成功率が低くなるといわざるをえません。語学力に不安がある人は、転職前に基礎的な会話レベルまでは習得しておくことが望ましいといえます。
成果を出せば高収入が期待できる
外資系企業といえば、完全実力主義。実績を残せば年収がアップするわかりやすい方針が特徴的です。キャリアプランの実現に向け、転職を重ねてキャリアアップしていく人材も多いので、流出を防ぐためにも優秀な人材を正しく評価し、年収に反映して報いています。
若くても高収入が期待できることは、外資系ならではの魅力のひとつです。
「現職が典型的な日系企業で、年功序列で給与が上がっていく仕組みに納得できない」「先輩より結果を出しても、言葉でほめられて終わってしまう」といった不満を持っている人は、実力主義の外資系企業の社風が向いています。
成果を上げた分だけわかりやすく自分の報酬に返ってくる環境で、モチベーション高く働き続けることができるでしょう。
ただし、企業側が期待する結果を出すことができないと、年齢が下の人にも入社年次が後の人にもどんどん抜かれていき、企業によっては契約の継続に難色を示される場合があります。
日系企業の年功序列、終身雇用の安定性とは真逆のチャレンジングな環境で、プレッシャーを跳ね返せるだけの意思と実力が問われます。
実力主義なので年齢を問われない
実力主義が基本の外資系では、年齢や入社年次などにかかわらず、従業員の働きを平等に評価する企業がほとんどです。第二新卒であっても、任された仕事で継続的に成果を残せば、公平にキャリアアップの機会が与えられます。結果次第では、先輩社員に先駆けて昇進することも夢ではありません。
日系企業のような手厚いフォローやメンター制度などはありませんが、最初から裁量権を持つことができ、現場で勝負させてもらえるため、現職でなかなかチャンスが与えられずもどかしい思いをしているという人には最適な環境だといえます。
性別にかかわらずチャンスがある
性別を問わず活躍の機会があることも、外資系企業の特徴です。特に、ライフイベントがキャリアに影響しやすい女性にとっては、外資系企業の精神が助けになることは多いはずです。
体質が古い日系企業では、妊娠・出産・育児に対して、「人手がさらに足りなくなる」「仕事に穴を開ける分、引き継ぎだけはちゃんとしてほしい」などと、ネガティブに受け止められることもあるかもしれません。一方、外資系企業では、妊娠・出産に対する反応もポジティブな傾向があり、当たり前に休暇を取って当たり前に復帰できる企業が多いでしょう。
また、産休・育休後に復帰できても、日系企業では、子供の体調不良などで就業が不安定になると「戦力としてみなしにくい」ということで、業務内容を大きく変えられたり、事実上、時短勤務しか選べなくなったりしてしまうケースも見られます。
その点、外資系企業では、育休が明けた後も、本人に意欲があれば産前と変わらない仕事を任せてもらえる場合がほとんどです。現職は考え方や方針が古く、長く働くのには適していないと考えている第二新卒の女性にとっては、外資系企業はおすすめの選択肢といえます。
近年、若い男性の子育て参加意識が高まっているといわれています。外資系企業はもともと休暇がとりやすい風土があり、男性が育児休業や有給休暇を取得しやすい環境が整っていることも特徴です。第二新卒として転職を考えた際に、育児休業の取得しやすさは、外資系企業を選ぶ理由になりうるでしょう。
第二新卒で外資系企業へ転職する際の注意点
第二新卒でも、外資系企業への転職のチャンスは十分にありますが、転職する際に気をつけなければならない点もあります。
キャリアアップのチャンスや高額な年収を得られる可能性にばかり注目せず、下記のような注意点にも目を向けなければ、ミスマッチが起きて短期間で再び転職先を探すようなことにもなりかねません。
終身雇用・年功序列ではない
終身雇用・年功序列は、日系企業で慣習的に行われてきた雇用の仕組みです。
終身雇用制度のもとでは、企業側は新卒採用した人材を定年まで雇用することを想定していて、業績悪化による整理解雇や懲戒解雇といったようなよほどの事情がなければ、解雇はしません。これにより、企業は中長期的な視点で自社の理念に沿った人材を育成し、安定的に事業を伸ばしていくことができます。
また、年功序列は、終身雇用を前提として、年齢や勤続年数に応じて役職・賃金を上げていく人事制度です。経験やスキルは長く勤めることによって養われ、勤続年数が長いほど貢献度が高いと考える日系企業ならではのシステムだといえるでしょう。
さらに日系企業では、職務や勤務地などを限定せずに雇用契約を結ぶメンバーシップ型雇用を行っていることがほとんどです。
これらによって、若くても高いスキルを持つ労働者にも低い賃金しか支払われないデメリットはあるものの、年齢に応じて賃金は伸び続けて下がることはないため、安定した長期的なライフプランを描けるというメリットもあります。
一方、外資系企業の考え方は真逆です。ジョブ型雇用の場合、成果が出せなくなれば雇用契約に赤信号が灯ります。企業の要求する水準を満たさない従業員には昇格も昇給もなく、現時点での給与と同じ金額が来年も受け取れる保証はありません。
日本人が中心の外資系企業では年功序列寄りの体質のところもありますが、多くの外資系企業では、成果を出すプレッシャーに常にさらされ続け、スキルを磨き続けなければならないのです。
さらにいえば、外資系企業におけるジョブ型雇用において、スキルアップをするためには自主的な努力をするしかありません。企業内のトレーニングや教育制度などは充実していないのが当然と考えておく必要があります。
外資系企業への転職を志す場合は、そのような環境でも耐えられる自信があるかどうかを、しっかりと確認してください。
ビジネスレベルの語学力が問われる
外資系企業では、経営陣はもちろん、顧客も直属の上司も外国人であることが珍しくありません。そうした企業では、第二新卒にもビジネスレベルの語学力が必須となります。応募段階で英語のレジュメを求められることがほとんどで、多くのケースで外国人が面接も担当します。
もちろん、メールでのやりとりができれば十分なのか、ビジネス会話をスムーズにできる必要があるのかなど、求められる語学力は業務内容や企業によって異なりますが、一定レベル以上のスキルが身についていない場合は選択肢が大きく狭まることに注意が必要です。
積極性や自己主張が求められる
上司や同僚を立てる謙虚さが人間的な魅力として評価される日系企業に対して、外資系企業では積極的に自己主張できる人でないと生き残っていくことができません。外資系企業は成果によって評価しますが、従業員が自分でどれだけ成果を上げたのかをはっきりと主張しないと、企業側に正しく認識してもらえず、高い評価をもらえない可能性があるからです。
謙遜したり遠慮したりする人は、「意欲がない」「意見がなく、何をしているかわからない」と判断されることもあるため、上司や先輩にもはっきりと自己主張できる強さが必要になります。
第二新卒が外資系企業の面接で問われるポイント
第二新卒は競争相手も多い分、面接などでうまくアピールできることが重要です。外資系企業の面接では、下記のようなポイントを見られることが多いため、十分な準備をして臨みましょう。
キャリアプランを持っているか
外資系企業で働いていくためには、日系企業に比べて会社のサポートが少ないため、自分でキャリアを切り拓いていく強い意志が必要です。大まかな展望を描き、それをベースに詳しいキャリアプランを立て、今やるべきことを明確に整理できている人は、外資系企業に高く評価されます。
応募前に、まずキャリアプランを明確にして、同時に企業研究をして志望先企業の仕事内容への理解も深め、キャリアの実現に向けてその企業で何ができるのかを整理しておくことが大切です。
論理的思考ができるか
業務を遂行する上で「なぜそう考えたのか」「そのやり方で進めていくとどうなるのか」といった論理的思考(ロジカルシンキング)は重要です。
特に外資系企業では、成果に直結する筋の通った結論をスピーディーに導き出せる力が重視される傾向があります。客観的に納得できる答えをすみやかに導き出し、かつ第三者に理解できるよう説明できる人が評価されるでしょう。
応募先で活躍できるようなビジネススキルを持っているか
希望の業種や職種がある場合、即戦力として活躍できるようなスキルを持っていることも重要です。
例えば営業職なら、前職で雑談力や交渉力などを培っていれば高評価が得られるでしょう。ITエンジニア職なら、プログラミングの知識をなるべく多く身につけておくと有利です。
ビジネスレベルの語学力を持っているか
外資系企業において、語学力は必須スキルのひとつです。面接では、これまでの経験、転職後に実現したいキャリアプラン、自身で自覚している強みなどは、英語でもしっかり主張できるよう対策しておくことをおすすめします。
社会人としてのビジネスマナーなどが身についているか
社会人としての基本的なビジネスマナーが身についていることは、外資系企業が第二新卒に期待するポイントです。応募書類の書き方のほか、面接での言葉遣いや身だしなみ、挨拶などでおおよそ判断されるため、TPOに合わせた服装や行動を意識してください。
書類の書き方や面接での受け答えに悩んだら、転職エージェントの書類添削、面接指導などを活用するのも手です。
第二新卒での外資系企業への転職は、外資系に強い転職エージェントに相談しよう
新卒での就業経験を武器に、ポテンシャルで勝負できる第二新卒を対象とした求人は、大手企業、有名企業を含めて確実に増加しています。
新卒時には縁がなかった大手外資系企業に入社できる可能性も十分ありますので、第二新卒に該当する転職希望者は、キャリアアップの機会を逃さないように前向きに外資系企業への転職を検討しましょう。
ただし、注意が必要なのは、「第二新卒枠」として扱ってもらえる期間は限定的だという点です。せっかくのチャンスを逃さないよう、挑戦する際は万全の対策をして臨まなければなりません。日系企業とは考え方や方針が異なる外資系企業への転職を成功させるには、外資系企業の事情に精通した転職エージェントへの相談をおすすめします。
外資系・日系グローバル企業の案件を中心に、さまざまな企業の採用活動を支援するRGFプロフェッショナルリクルートメントジャパンに、ぜひご相談ください
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