現職に対する不満の有無にかかわらず、仕事をしていると「環境を変えたい」「別の業界や企業で働いてみたい」と思うことはあるものです。仕事へのモチベーションが高く成長意欲がある人ほど、「転職」の文字が頭にちらつくことがあるでしょう。
ところが、新しい環境に挑戦したい気持ちがあり、スキルや経験にも自信があるのに、不安な気持ちのほうが大きく転職活動に踏み出せない人は多いようです。
なぜ、転職活動に不安を感じ、そしてどうすればその不安を解消して転職活動を成功させられるのでしょうか。
本記事では、転職活動が不安になる理由のほか、転職活動の時期ごとによくある不安の種類と、その解消法を解説。併せて、転職活動で失敗しないためのコツについてもご紹介します。
転職活動が不安になる理由とは?
転職活動に不安を感じるのは、転職活動の具体的な内容や成功への道筋が見えていないことが原因です。特に初めての転職だと、多くの人が下記のような理由で不安を感じるようです。
転職活動の進め方を知らない
転職経験がある人は、大まかな活動の流れや面接の雰囲気がわかっているため、転職の進め方自体にはそれほど不安を感じずに済みます。しかし、初めて転職活動をする人は、何から始めるべきかさえわからず、不安でいっぱいになってしまうのが通常です。
未知の領域に挑むのは、誰でも怖いものです。まずは、転職活動全体の流れややるべきことを調べ、具体的なイメージを持つことから始めましょう。
いい転職先を見つけられる保証がない
未経験の業界・業種にチャレンジしようとしている場合、「いい転職先がないかもしれない」「自分を求めてくれる企業が見つからないのではないか」といった不安がつきまといます。実際、未経験からのチャレンジだと実績やスキルがないため、その業界・業種の経験者より転職活動に時間がかかりやすい傾向があります。
自信を持って志望業界に臨むには、資格取得に挑んで独学で志望業界の知見を深めたり、関連業界でワンクッション置いて経験を積んだりしてから転職を目指すのも手です。
スキルやキャリアを評価してもらえない可能性がある
現職の上司や同僚からは高く評価されているスキルでも、「第三者が客観的に見た場合は同じように評価してもらえるのか」と、不安になることがあるかもしれません。転職活動を進める上でも、できれば企業に応募する前に、社内や関係者からの評価ではない客観的な自分の市場価値を把握しておくことは重要です。
転職時の市場価値は、主に「資格・スキル」「ポータブルスキル」「経験・実績」「キャリアプラン」で構成されます。4つの要素をバランス良く満たしていれば、目指す業界や企業からも良い評価を受けられる可能性が高いでしょう。
転職エージェントに相談すると、業界や職種に精通したコンサルタントが経験やスキルをヒアリングし、市場価値を分析してくれます。
転職時の市場価値についてはこちらの記事もご覧ください。
転職時の市場価値とは?自分の市場価値を知り高めるためのポイント
年齢が高いことで不利になる可能性がある
2007年10月から、事業主が労働者を募集・採用する場合は、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないという年齢制限の禁止が義務化されました。法律上の年齢制限がある場合など、一定の例外を除いて、年齢を理由に不採用とすることはできません。
しかし、その例外の中に、「期間の定めのない労働契約の場合で、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を募集・採用する場合」には、募集年齢に上限を設けることができるというものがあります。多くの企業は、中途採用の場合もできるだけ長く自社でキャリアを形成してほしいという思いから若年層を募集する例が多いため、実際には30代後半、40代と、年齢を重ねるにつれて応募できる求人案件は減っていくのが一般的です。
また、30代後半以降の転職では、ポテンシャルが評価される若年層に比べて、専門性やマネジメント力など、求められる能力も増えていきます。即戦力として組織を牽引できるスキルや経験を、いかにアピールできるかがカギとなるでしょう。スキルや経験を棚卸して、自己分析を深めておくことが大切です。
周りの反対が想像される
自分の決断に対して家族や友人などからの反対が想像される場合も、転職に踏み出そうとする意思が鈍りかねません。反対意見を跳ね返すだけの強い理由を言葉にできなかったり、年収減や転勤など家族に影響が及ぶ可能性があったりすると、「転職したい」と口に出す勇気がないまま時間だけが過ぎていくこともあるのではないでしょうか。
転職に対する自分の気持ちの強さを確認し、どうしても転職したい気持ちが消えなければ、周囲に伝えるしかありません。まずは「転職したいと思っているんだけど…」という相談からスタートし、反応を見てみることをおすすめします。
時期別・転職活動における不安の種類
転職活動で感じる不安は、活動を始める前から内定をもらった後まで、さまざまなものが浮かんできます。「転職前」「転職活動中」「内定後」の3段階それぞれで、生じがちな不安について確認していきましょう。
転職前の不安
転職活動前の段階では、主に下記の4点のような不安を感じることが多いといわれています。その大部分は、活動そのものがイメージできていないために生じるものです。
・転職活動をうまく進められるか
就職活動と異なり、転職活動は誰もが取り組むものではなく、先輩などから具体的なやり方や注意点について指導を受けられる機会はあまり多くありません。転職活動をしていることは公表しにくいため、活動中の人の話を聞くのも難しい面があります。
身近な人からの情報が得られず、転職活動の全貌がわからなければ、「自分にできるのか」と不安に感じるのも当然です。特に自分のスキルや経験に自信がない人は、そもそも自分に転職ができるのか、活動にかけた時間が無駄になるのではないかと考えて、躊躇してしまうかもしれません。
このような不安は、成功への道筋が見えないことに起因しているので、インターネットや書籍などで、ほかの人の体験談や転職の流れを知れば乗り越えていけるでしょう。
・現職と両立できるか
就職活動とは異なる転職活動の特徴として、現職と並行して行うケースが多いという点も挙げられます。もちろん、先に退職して転職活動に専念することもできますが、収入面などを考えると難しいという人が多いでしょう。
「現職での責任を果たしながら時間をやりくりするなんて、できる気がしない」とあきらめてしまうこともあるかもしれません。
・どれぐらいお金がかかるのか
転職活動にかかるコストも、不安要素のひとつです。服飾費のほか、パソコンといった必要な備品の購入費、交通費といった費用の概算を出してみると、漠然とした不安を明確な課題として捉えられるようになります。
また、転職活動には平均で約3ヵ月かかるといわれているため、活動に際して現職を辞める場合は、3ヵ月以上にわたる生活費の工面についても考えておかなければなりません。
・転職活動が現職の上司などにばれるのではないか
転職活動を現職と並行して進める場合、現職の上司などにばれて関係性が悪くなることを心配する人もいます。
しかし、現職にばれる場合、服装がいかにも面接用である、同僚につい活動中であることを話してしまう、社用のパソコンを使って転職サイトを見るなど、自身の行動に端を発していることがほとんどです。情報収集や面接の日程調整などは転職エージェントに任せ、自分の行動に注意を払えば、活動がばれることはほとんどありません。
転職活動中の不安
転職活動を始めてから感じるのは、主に選考過程への不安です。下記の3点がよく感じる不安として挙げられますが、これらは入念な準備によって払拭できます。
・どこからも内定をもらえないのではないか
書類の不通過が続いたり、面接でうまく答えられなかったりすると、次第に自信を失って「もし、1社も内定をもらえなかったら」と弱気になってしまいがちです。
しかし、応募書類の作成や面接の受け答えは、回数を重ねていけばどんどんブラッシュアップされて、内定に至る確率が上がっていくはずです。
・圧迫面接に遭うのではないか
圧迫面接というと新卒採用で話題になるイメージがありますが、実は中途採用でも圧迫面接は行われています。ストレス耐性を測るためとはいえ、厳しい物言いや表情で質問されるのは、想像しただけで緊張します。経歴やスキルの中で、面接で突っ込まれそうな部分をピックアップし、厳しい聞き方をされても対応できるように回答を準備しておくのが有効です。
・どの会社がいいのか判断できない
どの企業に応募するかでその後の生活や仕事のやりがいが決まると思うと、志望企業の選択にも悩むのではないでしょうか。「自分なりの基準」を明確化しておくと、人生のプラスになりそうな企業だけに応募できます。
内定後の不安
内定をもらった後は、転職先が決まったという意味ではひと安心ですが、現職の退職や次の職場への不安は尽きないものです。このフェーズでは、下記の5点のような悩みに直面する人が多いと思われます。
・現職を円満に退職できないのではないか
第一志望の企業から内定をもらっても、現職を退職できなければ新しいスタートラインには立てません。同業他社への転職の場合、角が立たないように気配りすることも大切です。
基本的には、社内で定められた手順を守り、同僚や上司に大きな負担をかけないように繁忙期などを避けた退職日を選び、丁寧に申し出ればスムーズに退職できるはずです。
・社風になじめないのではないか
同じ業界の同じ職種に転職する場合でも、職場が変われば雰囲気も変わります。実際に働いてみて初めてわかることも多いですが、企業の内部事情に精通した転職エージェントなどから情報を得ておくのも手です。
・転職後にどのようなキャリアパスが描けるのか
転職後のキャリアパスは、長く仕事を続けていきたい人にとって重要です。志望先の企業で実現できるキャリアパスについては、面接や内定者面談の時間などを活用して質問すると良いでしょう。
・業務についていけないのではないか
経験やスキルに自信がない人や、勤務経験が1社しかない人などは、転職先の従業員全員が、自分より優秀に見えるかもしれません。「入社したものの、まったく活躍できないのでは?」「むしろ足手まといになるのでは?」と感じたら、入社までに少しでもスキルアップできるように努力するのをおすすめします。
もっとも、内定をもらえたのは、経験やスキルが評価された結果です。必要以上に卑下せず、自信を持って仕事に向き合う姿勢が大切です。
・ほかにいい会社があるのではないか
数ある企業の中から次のキャリアとなる1社を選ぶ直前という段階では、隣の芝生が青く見えることがあります。「ほかに選考が進んでいる他社のほうが良い環境なのではないか」「良い条件を出してくれるのではないか」という思いがよぎるかもしれませんが、理想を追い求めすぎると活動に区切りがつかないため、自分の中で転職先に求める条件の優先順位を決めておくことが重要です。
転職活動の不安を解消する方法
転職活動では、上記のように多くの不安がつきまとうものです。思い悩んでも答えが出ない場合もあれば、事前の工夫次第で不安がやわらぐこともあります。
悩んだときは、下記の6つの方法を試してみると、不安を解消できるかもしれません。
条件に完璧を求めない
転職活動では、志望先に求める条件に優先順位をつけることが重要です。あれもこれもと条件を求めすぎると、志望企業の選定で選択肢が大きく減ってしまいます。すべての条件を満たす企業を見つけるのは容易ではなく、また、本当に自分に合う企業かどうかは働いてみなければわかりません。
条件を一部満たしていないような求人にも、多くの部分で満足できるのであれば、まずは応募してみることが大切です。視野を広げて複数の企業に応募し、選考が進む企業も複数出てくるようになると、不安はやわらいでいきます。
書類選考や面接対策を万全にする
内定を得るには、書類選考と面接を通過しなくてはなりません。応募書類の作り込みや面接準備に時間をかけたほうが、内定を勝ち取れる確率は高まります。
転職エージェントの書類添削や面接指導を活用することも、客観的な視点が得られるのでおすすめです。
活動期間は3ヵ月程度を目標に、スピーディーに進めることを意識する
転職活動が長引けば長引くほど、「このまま決まらないのではないか」「資金は続くだろうか」といった不安が膨らみます。場合によっては、今後への不安から現職の業務に集中できなくなるような事態にもつながりかねません。
なるべく長引かせないために、活動期間の目標を3ヵ月に設定して、複数社への応募を同時並行で進めましょう。短期間で駆け抜けたほうが、不安を抱えずに済みます。
退職に向けた準備を進める
退職がスムーズにできるか不安な場合は、最終面接に進むなど内定獲得の可能性が高まってきた段階で、現職でお世話になった人に迷惑をかけないように少しずつ退職の準備を進めてください。携わっていた業務のマニュアル化や引き継ぎ用の資料の作成なら、転職活動と並行して取り組むことも可能です。
現職への気配りを忘れないようにすれば、退職の意思を伝えても上司の心証を害することもなく、円満に手続きが進む可能性が高くなります。
転職後に向けてスキルを磨く
転職後に活躍できるかどうかは、転職先の社風に左右される部分もありますが、何よりも転職する人の努力が大きなポイントになります。
「入社後に全部教えてもらえばいい」といった他人任せのスタンスでは、即戦力を期待している転職先の印象も悪くなるでしょう。転職後に不安がある場合は、書籍で独学したりセミナーに参加したりして、スキルを磨き続けるのがおすすめです。
信頼できる人に相談する
不安を抱えたまま転職活動を進めると、途中でネガティブな考えにとらわれたり、視野が狭くなって判断を誤ったりする可能性があります。
そのようなとき、信頼できる人に悩みを打ち明け、考えを整理するのは良い方法です。家族や友人に打ち明けにくいときは、転職活動の途中からでも転職エージェントを活用するという手段もあります。
転職活動で失敗しないコツ
「転職活動に失敗したらどうしよう」という不安は、活動前から内定獲得後まで尽きることはありません。下記のような、転職活動の失敗を避けるコツを実践していき、不安をやわらげていきましょう。
企業分析を徹底する
企業分析は、応募する企業について詳しく調べ、理解を深める活動です。自分が転職先に求める条件を軸に企業分析を徹底して行うと、企業と自分がマッチする部分がわかり、自己理解も深まります。
企業分析は、書類選考や面接の通過率アップ、入社後のミスマッチの防止にもつながります。
キャリアの棚卸を行う
キャリアの棚卸は、時系列でこれまでのキャリアを振り返る作業です。自分のやってきたことを丁寧に洗い出すことで、自分でも気づかずにいた強みや大切にしている価値観が理解でき、ぶれない転職活動につながります。
キャリアの棚卸によってキャリアプランが明確になれば、その実現のために足りないことややるべきことも明確になり、転職先に求める条件を把握しやすくなるでしょう。
これまでの仕事のスタンスややり方を引きずらない
転職先に溶け込むためには、「郷に入っては郷に従え」の精神が重要です。同じ業界、同じ職種でも、企業が異なれば考え方や業務の進め方も異なります。「自分のやり方」「前職の考え方」に固執せず、柔軟に新しい手法を取り入れる努力をしなければなりません。
家族に相談する
転職活動の失敗で意外と多いのが、「家族の思わぬ反対」です。内定をもらってから家族に転職の意思を告げたところ、「転職してほしくない」と大反対に遭い、あきらめざるをえないケースも多くあります。活動を開始する前から、「転職を考えていること」「転職したい理由」「生活面への影響」などを少しずつ家族に伝え、話し合う時間を持つことが大切です。
転職について家族に相談できる環境は、転職活動中の不安解消のためにも、最後の段階で反対されないためにも、大きな意味を持ちます。
転職エージェントに常に相談する
転職の失敗を回避するには、プロの手を借りるのが最善の方法です。
多くの転職希望者と接してきた転職エージェントのアドバイスは、迷ったときや悩んだときの意思決定を助けてくれます。信頼できるパートナーを見つけて、二人三脚で転職活動に取り組みましょう。
準備を万全にして、転職の不安を軽減しよう
転職活動には不安が付き物です。「心配だな」「大丈夫かな」と感じたら、活動のフェーズに合わせて、今回ご紹介した不安解消法を試してみてください。
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