元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は転職経験者に向けて、「面接で感じた違和感を見過ごさない」をテーマにコラムを書きます。
転職経験を何回か重ねると経験値が上がり、過去と比較して面接の過程で違和感を感じることもあるでしょう。この違和感を「気のせいかな」と見過ごしてしまうと、後悔することになりかねません。人間の直感は鋭く、違和感を覚えるからには原因があるからです。本日は、面接で感じる可能性がある違和感の具体例の4つについて解説します。
1. 圧迫面接
圧迫面接とは、過度な圧力をかけたり、威圧的な態度で候補者を追い詰めたりするような面接のことを指します。大手のいわゆるまともな外資では、圧迫面接をしません。一般的にはストレス耐性を測るとされていますが、候補者に対して失礼ですし、圧迫面接をしなくても人材のレベルを見抜くことは十分可能だからです。
圧迫面接をされた場合は企業の品格を問うべきですし、内定を承諾する前に企業風土の確認をしないと危険かもしれません。該当企業に関する評価を、OpenWorkのデータで調べるのは良い方法ですし、LinkedInで最近の卒業生を検索してDMを送り、会いに行って生の話を聞くなどよく調べた方が悔やまないですみます。
2. 追加の面接リクエストを断られる
例えば同じ仕事をしている同僚がいるとわかり、「仕事の理解を深めるために将来の同僚にお目にかかりたい」とリクエストしたのに、断られたとします。このケースも赤信号です。そもそもこの同僚が原因で、過去に何人か辞めているので会わせたくない、実は上司に問題があることを伏せたいなど、生の情報を取られると困る事情が企業側にある可能性が高いからです。
面接の目的は、企業が一方的に候補者の経験値・スキル・性格を測ることではありません。候補者と企業双方から見て、会社の方向性・企業風土・ポジションが求める経験値などの相性がマッチしているかを見るプロセスなのです。
候補者が内定にサインする前に、「もう一度確認したいことがあるので◯○さんとお目にかかりたい」「オフィスを見学したい」などのリクエストが出ることはあります。入社後3ヶ月で辞めるような残念なケースを避けるためにも、普通は決断を助けるように候補者のリクエストを採用側は受け入れます。追加の面接を断られた場合、何らかの事情がありそうなので、断られた背景をよく考えましょう。
3. オフィス
オフィスに関する違和感とは何か、具体例を挙げます。オフィスに行ったら、社外用の応接スペースと社員専用のスペースで、家具具のグレードが違いすぎる。フロント・オフィスと呼ばれる売り上げを立てる部署と、バック・オフィスと呼ばれる管理部門(経理・法務・社内IT・人事など)で、オフィスのロケーションがそもそも違ったり、明らかに家具のレベル感が異なったりするなどです。
自分が入社する部署の会社での立ち位置の象徴でもあり、イコール社員からの扱われ方を意味していることも多いので要注意です。フリーアドレス制に移行している外資が多い中、古いタイプのオフィス・スタイルで、しかも社内に格差がある場合、そのような企業風土でも気にならないか自分に問いかけてください。
4. 面接官が複数
外資での面接は1:1が基本で、複数同席するのは新卒採用だけのことが多いです。中途採用の面接で複数同席するのは、非常に珍しい独特のカルチャーと言わざるを得ません。
私自身が8回転職した中で一度だけ、同時に4人の面接官が参加されたことがあります。結果的には2名の方が話して質問され、あとの2名は一言も発しませんでした。なぜ発言されない方が面接にいるのか、外資が長い私は非常に不思議でした。この企業との就職活動は、違和感を感じる自分の直感に従って面接後に自らストップしました。のちに、過去に日系企業を買収したことがあり、外資系の割には現在も合議制を重んじるとわかり、日本的な企業風土があまり得意でない私は行かなくて良かったと胸を撫でおろしました。
まとめ
本日は、面接の過程で感じる可能性がある違和感を4つ説明しました。面接は候補者が企業を見定める貴重な機会でもあるので、萎縮し過ぎずよく観察して、違和感を持ったら原因を突き止めてから内定を承諾してください。次回の転職で正しい判断ができるよう願っています。
プロフィール
Mikako (Micky) Suzuki (鈴木美加子)
株式会社AT Globe 代表取締役社長
GE、モルガンスタンレーなど外資系日本法人の人事部を転職し、油圧機器メーカー現・Eaton)ではアジアパシフィック本社勤務、日本DHLでは人事本部長を務める。1万人以上を面接した経験を元に、個人向けに キャリア相談を提供している。自身が転職を8回しており、オーストラリアでビザ取得に苦労した体験もあるので、日本国内外、すべての転職相談に対応できるのが強み。
診断ツールLUMINA SPARK & LEADER 認定講
STAR面接技法 認定講師
ホフステード6次元異文化モデル 認定講師
お茶の水女子大学卒業。
著書
2019「やっぱり外資系がいい人の必勝転職AtoZ」(青春出版)
2020年6月「1万人を面接した元・外資系人事部長が教える 英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業)
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